「ああ」
「思い切ったことをしましたね。
彼女たちは戦闘未経験でした
あそこでは『あなたが戦う』という選択肢もあったはずですよ」
「彼女たちには素質があったからな
見ていただけの事はある。だが、少しだけ予想外のことが起きた
思った以上に強かったことだ
彼女たちの覚醒が驚くほど早かったのと、覚醒時の能力値が異常に高かったことか」
「隊長の判断力には恐れ入ります
私(わたくし)たちがあの場にいたら、隊長ほどの適切な判断が取れなかったかと
・・・恐れ入りますがもうひとつだけ質問させてもらってもいいですか」
「なんだ?」
「隊長は・・・どうしてここまで事情を知っておられるのですか」
アドヴェンチャー2期 〜平穏のレストラン〜
「これまでに入った情報によりますと、怪物R−3の被害は・・・(1チャンネル)」
「・・・わけで、この怪物は何のために日本に現れたのか(4チャンネル)」
「先日、日本に突如発生した、怪物R−3について、各国の首相などが集まって
対策会議などを行っています(6チャンネル)」
「怪物R−3が発生した要因などを専門家に聞いてみました
生物学に詳し・・・(8チャンネル)」
「怪物R−3が発生した時刻、場所、その他の情報から考察するに・・・(10チャンネル)」
「おーっとカニですよ、カニっ!
リポーターたちが目にしたのは、あの宿泊費の安さから考えられないほどの料理だった(12チャンネル)」
「・・・いつもどおりだな」
テレビのチャンネルをコロコロと変えると、いつもどおり、NHK+民放各局(−1つ)が特番を組んで
この前の事件について放送している
もうこの事件についての情報は飽和するほどの情報を得ているので、
チャンネルを変えまくるが、結局たどり着くのはテレビ東京だった
まあかといって、テレビ東京ばかりみていると、時代劇・ゴルフ・経済ニュースなど、
ほとんど興味のわかない番組ばかりなので、最近は映画館へ行ったり
ビデオをレンタルしてきて水月と一緒に見ることが多くなった
(水月の水泳の練習に付き合って、帰りに。というパターンが多いか)
水月がホラー嫌いなのは知っているので、あえてわざと、借りてきたりする
そんなときの怒りかたとか、強がって見ているときの、しぐさとか
そんなのがかわいかったりするのだ
まあ、これだけ見てるんだからそろそろ慣れてくるかとおもったがそうでもないようで・・・
さて、新学期が始まった
クラスに水月が「3人娘隊」であるということを知っているやつは何人いるだろうか
そう思っていたのだが、実際気づいていた人が誰も居ないという事態だった
それはそれで、好都合なのだが、俺と慎二は一目見ただけで気がついたぞ
あー特にクラスの人に自慢したいわけでもない
ただ単に驚いただけだ
水月は、あの「覚醒」とやらが何だったのか聞くために、あの地下組織の元へ出向いた
俺もついていく
涼宮さん(遙だ、一応誰かと勘違いする人もいるかもしれないから書いておく)や、
茜ちゃんも同じ考えだったようで、同行している
・・・えっ!?
確かに数日前は、そこに地下組織の存在を見た気がする
だが、その数日後である今日の俺の目には、地下組織と呼べるようなものはなかった
「貸店舗 電話番号○○○−××××」
どういうことだ?
「どういうことなの?」
「さあ・・・必要がなくなったということか?」
そのことはすぐに判明した
俺が家に帰ると、部屋のポストに「超重要機密書類在中」という文字が書いた
封筒が入っていた
というか、そんなに機密書類を、こうポストに無防備に入れておいていいのか?
どうせなら、書留ぐらいは使えばいいのに
封筒を開封した
もちろん封筒の上のほうをはさみで切る
万が一、書類を傷つけてどうにもならないことになったら仕方ないので、
慎重にやった
封筒の中に入っていたのは、1通の手紙と、1万円札1枚
・・・やっぱり書留使ったほうが良かっただろうよ・・・
鳴海孝之君か?
君はあの3人娘隊の交点を担う役になっているので、この手紙を送った
3人にぜひとも今回話すことを伝えて欲しい
・・・なんで俺の名前を知っているんだ? という突っ込みは面倒なのでか
単に頭が回らなかっただけなのか、避けていた
そのまま続きを読む
私たちの組織は、少し非科学的な上、もちろん政府に公認されているわけではない
よって、私たちの存在が世に知れると少々大変なことになる
そのために、一時あの場から退散することにした
どこまでも勝手な組織だな
あそこまで俺たちを巻き込んでおいて
・・・そうだ?いくら組織の名が知られないといっても、3人娘隊の存在を
テレビに映してしまったじゃねぇか、あれに関してはどうするんだ?
3人娘隊の存在だが、彼女たちはまだ覚醒して間もない
世間に公表するのも時期尚早な気もする。
あなたと3人娘隊本人以外の「3人娘隊に関する記憶」を消滅させた
テレビを見ていた人の記憶にも残されていない。記憶操作というやつだ
もちろん、次回3人娘隊が出動するようなことがあれば、記憶を元に戻すがね
3人娘隊が出動する事件が半年以内に起こることはないからな
そういうことだったのか
クラスの人が誰も気づいていないし
そうそう、学校で慎二もその話題に触れなかったな
これは助かるものだ
それにしても、知った口だが、彼はどこまで知っているのだろう
そもそも「1年」といわずに「半年」ということは、半年〜1年の辺りにまた来るって事か
ついでに彼女たちに伝えて欲しい
まだ覚醒して間もない。必要なときにならなければ変身はできない、と。
ああ、あいつらも好き好んで変身しようとは思わないだろ
フリフリな衣装を身に着けるチャンスといえばチャンスだが、たぶん、というか絶対水月は
そういう服を着るのが好きではない
詳細はいずれ話す
必要なときになれば、必ずあなたたちの前に現れるだろう
そのときまで待っていてくれ
それと君にお願いがある
水月さんをこれからも守ってあげて欲しいといことだ
人の恋愛にとやかく言うつもりはないが、少なくとも今の彼女には精神的な助けが必要だ
ああ、言われなくてもわかってるさ
俺は水月を守ると約束したからな
覚醒とかなんとかをした後の水月には到底かなわないだろうが、
それでも俺は水月を守るつもりでいる
最後に、その同封した1万円は、報酬のようなものだ
あわてていたものでね、それだけしか用意できなかった
それ以外のものに関してはあとで検討しておこう
今はその1万円で、彼女たちに飯でもおごってあげてくれ
最初、あれだけのことをして1万円しか報酬がないのかよ、と思ったが
検討するといったな
水月たちが地球平和にかかわるような大きな活躍をしたら、
将来の水月との住まいを・・・って何妄想してるんだ俺
3人に連絡を取ると、
水月=練習
茜ちゃん=練習
涼宮さん=ぽわーんとしてる
らしく、暇ではないみたいなので、今日の夜、飯を食べに行こうと約束した
そのときにこの手紙のことを話すつもりである
さて、夜になって、水月は時間通り、茜ちゃんは3分遅れで登場
涼宮さんは、待たせたらいけないと思ったらしく、20分前にきてぽわーんとしていた
少しだけ豪華なレストランである
さて・・おれは何を食べよう・・・と考えていると、
3人の食事額の合計が9890円になったみたいだ
・・・俺の分110円かよ・・・
まあ、ここで突っ込むのも男らしくないので、自分の分は自腹さ・・・
さて、そんな感じで彼女たちにこれらの状況を説明した
納得したらしい
「でもそれって、また来るって事よね」
まあそういうことだ
そもそもなぜ彼らがこれらの事実を知っているのかが気になるが、
まあきっと「わかっちゃう」だけなんだろう
ついでに言うと、最後の「水月のことを支えてあげて」の部分は
紙が別だったので、それは家においてきた
いくらなんでもここで取り出すのは小恥ずかしすぎる
まあそんなわけで、俺はビーフソースオムライスのビーフソース抜きという
きわめて意味不明なメニューを食べ、店を後にした
この手紙によれば、いつかまた、彼女たちが活躍するときが来るのだろう
誰もが思うことだが、やはり来て欲しくない
いくらそんな能力がある、とはいえど、戦わせたくないというのが本音
だが、地球の命運が彼女たちだけにかけられてしまっているというのならば
それは送り出すしかない
どうして、彼女たちはこのような運命を背負ってしまったのだろうか
水月・・・辛いだろうな・・・
守ってやるからな。次の戦いまではまだたっぷり時間はある。
その間はそのことを思い出さずに、楽しい時間を作っていこうな