一通の手紙は俺たちをあの世界へと戻した

至急、あの地下組織へと集まってくれ、という内容だ

果たしてこのまま駆けつけてしまってもいいのか

ここで、水月たちを送って、本当に帰ってくる保障があるのだろうか

・・・無駄だな

もう水月たちはこの世界というものを知ってしまったのだから

そして・・・彼女たちにしかあいつらは退治できないのだから



アドヴェンチャー2期 〜風に負けない炎〜



<孝之視点>

これは、あの事件から約1年後のことである

彼女たちはわざわざこの日を選んでいるのか

365分の1の確率でこれらは一致するが、やはり狙って選んでいるとしか言いようがない

なにせ8月27日という日は、特別な日なのだから


事をさかのぼること、一週間程度

俺の部屋のポストには1枚の封筒が入っていた

あ、ちなみに水月は俺の部屋をよく出入りしているが、まだ結婚とかそういうのはしていない

よって、この部屋に水月が毎日いるわけでもないので、この手紙を水月に見せに行くには
水月を探さなければならなかった

その手間は、「孝之ーこれからデート行かない?」と突然やってきた水月のおかげで省けたのだが

とりあえず水月に手紙を見せる

手紙の内容は以下のようである

「突然ですまない。1年前にあなた方にお世話になった地下組織の者だ
 正確な日時はわからんが、これから1週間程度の間に、あなた方に
 また活躍してもらう機会があるだろう
 あなたたちにも予定があるかもしれない
 だが、地球を守るためなんだ
 今日、都合が悪ければ明日でもいい
 地下組織へ出向いて欲しい」


ずいぶん自分勝手な組織だな

勝手にいなくなったと思えば、いきなり一週間前だと言い出して、現れる

まったく・・・迷惑だよ・・こんなの・・・

だけど・・・

「行くしか・・・ないね・・・」

「・・・そうかもな・・・」

このまま水月を送り出してしまえば、前のような状況になる

あのあと、水月は何度も夢を見たらしい

あのときの夢

そりゃそうだよな

いくら強いといっても、あんな敵を目の当たりにしておびえない人がいるわけがない

倒したといえど心に刻まれている

涼宮さんも、茜ちゃんも・・・そうだよな・・・

だけど・・・仕方がないんだろうな・・・

水月だけに任せるだなんて選択肢しかなかった

俺は、水月を守ってやるといった

だけど俺にはなにか「能力」があるわけでもない

もしあの場に行けば勝てるかどうかなんてわからない

最低・・・だな

果たして最低なのか・・ということすらわからない

立派な人間はここでどうすることができよう


さて、俺の視点はここで終わりだ

水月たちは、次の敵を倒すための「修行」を行うらしい

あーもちろん、地下組織に泊まると何をされるかわかったもんじゃない
(最終兵器に改造されたりとか・・・しないよな)ので

また、彼女たちの不安を察してか、地下組織側は、
一番近いホテルのシングル3部屋1週間の予約を行った

宿泊費はちゃんと払ってくれるらしい(当然だな)

ここからは水月の視点になる

もちろんこれは水月から語られたことであり、俺の目で見たわけではないので
信憑性100%というわけではないが、水月がここで嘘をつくことはないと思うので
少し忘れたところがあるぐらいで、ほとんど真実だといってもいいとおもう

とりあえずここからは水月の話である


<水月視点>

地下組織に到着した私たちはまた唖然とする状況を見た

彼らがいつやってきたのかは不明だが、確かにそこに地下組織は存在した

見た目といえば、「あのときのまま」である

すこし記憶に節があって、正確に表現ができないともいえど、「同じ光景」なのである

これは開発者の趣味か、まったく同じ光景を出しているのだ

これを表現することすら難しいだろうに


唖然とする私たちを前に、数人の研究員たちが、
「やあ、いらっしゃい、来てくれてありがとう」

と私たちに会釈をする

奥へ行くと、確かに隊長なる人がいた

隊長は少し美形の人といった感じ、あ、私は孝之が一番好きだからこんな男ぜんぜん好きじゃないけど・・
って何言わせるのよっ!

遙の目のキラキラは、・・・好きになっちゃった・・・?

なんでも、遙いわく、共鳴する部分がある、らしい

すこし・・・よくわからないけど・・・

その隊長のほうも、遙の目のキラキラに圧倒されたのか、少し顔を赤くするが、「コホン」といい
気を取り直して、事態の説明にかかった

「これから1週間ぐらいの間に、ヤツはまたやってくる
 必ずやって来る
 私の予想と、上からの予想は一致した
 99.9%来るといってもいいだろう
 そうだな・・・俺の予想だと8月26日の夜から8月27日の朝にかけてだろう」

「どうしてそのようなことがいえるのですか?」

茜は反論する

そりゃそうだ、いくら2人の予想が一致したからといって、99.9%の信憑なんてありえない

よくて60%程度というところだ。

地球が危うくなる敵がやってくるという確率が60%あるだけで、高いというのに

「まあそうだな、確かにこれだけの言葉では伝えられないものがあった
 だが、敵はかならずやってくる
 その予想がどうとかいうものではない、必ずだ」

説得力は低いが、その真剣さに息を飲む

「そのため、彼女たちにはいつでも出動できるようにこの周辺の居住と、
 多少の修行を願いたい」

彼らはこのあたりで一番近いホテルを用意してくれたらしい
これで、カプセルホテルだの、おんぼろのホテルだのだったら、殴り飛ばしてやりたいところだった

結果的にいえば、ここから一番近いホテルは「ロイヤルホテル」と名のつく高級ホテルだったわけで


部屋に入れば、寝心地のよさそうなベッドとまくら、広い部屋

すこしだけ許してしまいそうになったが・・・だめだだめだ
私たちは一応使われる身なのよ・・・何感心してるのよ・・・

修行は散々だった

一応変身道具は所持していたのだが
少し傷がついているためか、それとも単にその能力が今ないのか、
私たちはあのときのように変身することができなかった

変身しなければ、「覚醒」などもってのほかなので、基本ができていないということ

1日特訓したが、どうにもならない

・・・あれは奇跡だったのか・・・?

しょうがないので、私たちは講義だけを行う

まずは、茜の「情報戦」である

前回は隊長から情報を受信した

少しだけあのときのことを考える

記憶操作という言葉が一番正しいかもしれない

いきなり脳内に「相手の情報」という記憶がインプットされたのだ

少しだけ気持ち悪いが、敵を知ることが第一歩だと隊長はいうので、それに従うことにしよう
次に、覚醒後の戦い方である

これは、特訓あるのみだが、今の私たちにはそれができないので
「あとはそのときに任せる。念じれば必ず攻撃はできる
 弱くても仕方がない、前回のように戦って欲しい」



8月26日は準備態勢だった

いつでも移動できる状態にある

いくら日にちが予想できても、出現場所は予想ができないらしい

8月26日の午後ともなると、隊長は自家用ヘリみたいなものを用意していた

それをどこで買ったのかと質問したら、「上(本部)からもらったという」

そんなことはどうでもいい

「今日出る」という保障はほとんどないわけだが、彼らは自信満々なわけで、
それゆえに、いつでも出動できるようにと、ヘリの前から解放してくれなかった

まあそんなわけで、待つこと10時間あまり。
一報が入ったのは夜の9時半頃だった


「茨城県霞ヶ浦付近に、E−02(識別番号)出現」

その発言とともに、その組織にある巨大なモニターは敵の姿を映し出す

さて、これはどこで撮影しているのだろうか

といってもこれらを気にしている暇はなかった


「私たちががんばるしかないのよね」

「うん、私たちにかかってる」

「だから・・・」

「変身っ!!!」

前回と同様、所持していた手鏡のようなものを開いて念じる

前回一発で成功したのが奇跡だったのかもしれないと思えるほど
あれから一度も成功することはなかったのだ

でもそれは・・・奇跡なんじゃなくて・・・

「成功・・だな」


私たちは変身を成功させた

こんどは、なんていえばいいか、体操服に・・・赤いブルマ?

「・・・動きやすいだろ?」

「まあそうだけど・・・」

なにかとてつもない殺意を感じたので、隊長を10発ぐらい殴っておいた

隊長は400のダメージを受けた。隊長は倒れてしまった

「まったくもう・・・」

遙が手を上げたあと、隊長に向けて手を振りかざす
すると隊長はすぐに起き上がる

「俺は・・・?」

「今まで倒れてたのよ?」

「そうか・・俺はあのあと意識を失って」

隊長は、仕掛けてあったカメラのようなもので1分間ぐらいの状況を確認していた

そういうことか・・・

「驚いた。覚醒したばかりでこのような技を使えるなんて」

遙がつかった技は「リライブ」と呼ばれている技である

大きくダメージを受けた場合、この「リライブ」では効力をなさないこともあるが
ある程度の意識不明の場合、それを治癒し、ほとんどMAXのライフポイントまで
回復することができる

「話には聞いていたが本当に存在するとは・・・
 っと、話が長くなってしまった。そろそろ出撃しよう」


3人娘隊および、隊長は飛び乗るようにヘリに乗り込む

隊長の運転(無免許)で、ここ、神奈川県から茨城県の霞ヶ浦まで向かう

ヘリコプターには、怪物の出現位置を知らせるレーダーなどが搭載されている

そもそも、このような設備を搭載できるなら
怪物を倒す装置をいくらか積んでもいいだろうに・・・

そのようなことを隊長に言うと

「たしかにそのようなことはできる
 だが、それで怪物を倒せる可能性はきわめて低い
 怪物との戦いには君たちの能力のほうが有効だからな」

納得できないが、たしかにそうらしい

よく聞いてみると隊長も、「上が言っていることだから」と
それほど理解していないようだが・・・


遠くから見ればすぐだった

怪物の出現箇所は無残な状況になっていた
遠くから見た感じだと、その怪物は「風」を用いる者らしい

怪物がいる西側、北側はほぼ全壊の様子だった

ヘリコプターを、E−02の近くにある敷地におろし、
私たちはE−02の前に立ちはだかる

「北は青森」

「南は和歌山」

「3人娘隊、ただいま参上っ!」

鹿児島辺りに出現した場合、3人娘隊は出撃しないということなのだろうか?
隊長もそんなことを突っ込む暇などなく、
「前のように戦え、敵のペースに巻き込まれるな
 自分たちのペースに巻き込むんだ
 あと、敵のことは知っておけ、相手のことが分からないと
 弱点などがわからん」

「わかった、『ライブラ』」

手順はあらかじめ教えておいた

もちろん修行では変身を成功したことがなかったので、これは初の実践だ

私の脳内に次のような情報が送られてきた


AT ・・・1820
DE ・・・  65
MP ・・・  10
HP ・・・2007

※AT=攻撃力 DE=守備力 MP=魔力(マジックポイント) HP=ヒットポイント(ライフ)


「水月先輩・・・あの怪物は攻撃力が強いです」

「・・そうね・・・1撃受けただけでもピンチかもしれない」


今回は小さい敵がおらず、3(4?)対1での戦いである

「こいつは溜めてから攻撃してくるだろう」

隊長が言う

「自分のターンが回ってくるとともに、あいつは『構え』を取るだろう
 2ターン溜めるとあいつは『準備態勢』になる
 あれだけの攻撃力があるがゆえに、カウンター攻撃は最強だろう」


それまで倒しちゃえばいいのよ!!

「それができれば・・・いいんだがな」

残されたターンは2ターン

敵は巨体がゆえに、攻撃力は強いが、移動速度が鈍い

攻撃がHITしないことはないといえるだろう

だが、敵の構えが終わる前に・・・倒せるか?



「新・ドルフィンキック」(水月の攻撃)


説明・・・するまでもないか

敵に140のダメージ


「量産・ドルフィンキック」(茜の攻撃)


敵に160のダメージ


「かーめーはーめーーーーーーーはーーーーーーー」(遙の攻撃)


説明しよう。かーめー(略)は、まああの
7つの球を集めると願いがかなうという漫画の技のひとつである


敵に180のダメージ


「遙・・・いつその技を覚えたの?」

「えっと・・・さっき暇だったから研究室にあった漫画読んでたんだ。」

「やはり・・・彼女たちには予想もできないほどの秘められた力が存在する・・・」


敵は構えた


「やっぱり、隊長の言ったとおりになったわね」

「これまで与えたダメージは480だ
 このままだと確実に足りない」

「私たちが構えて大きな攻撃を与えるってのは?」

「構えたとしても敵の準備態勢も整う
 こちらが攻撃しないならと、攻撃を仕掛けてくるかもしれない
 構えたとすれば、攻撃チャンスは1回
 その後は必ずカウンターを食らうぞ
 あと1500ものダメージを一度に与えられるとは思えない
 500ぐらいは残ってしまうだろう
 そうなってしまえば、カウンターの餌食になる」

「アタック・ザ・ライブラ」

隊長がそういうと、私たちが構えて、人技を仕掛けたときの攻撃数値を計算した
「985〜1130程度のダメージしか与えられない」


2つ、考えられる戦闘態勢を考えてみよう

まずはこのターンを溜めに回すことだ
そのとき、敵は溜めを行うだろう
その次のターンで「3人技」を仕掛けることができる
ただしその技で敵が倒れる可能性は皆無で、カウンターの餌食になる
この場合3人技であるがゆえに、全滅する可能性がある


もうひとつのパターンは
このターンに通常攻撃を行う方法である
与えられるダメージは約500であろう
そのときに残る相手のライフポイントは1020程度
このとき、敵の構えは完成する

通常攻撃を行ったもんならすぐにカウンター攻撃をうけるだろう

その後に、3人が構えて、「3人技」を仕掛ければ、倒せる可能性はある
だが、それまでに敵が攻撃してこないともいえない


しかし、まあ、いえることは
「前者にはまったく希望がない」ことだった

仕方なく後者パターンをとる


「銀色のリング!!」(水月の技)


敵は136のダメージ



「明るい応援」(茜の技)


敵に153のダメージ
水月の攻撃力が10上がった
遙の攻撃力が10上がった
隊長の攻撃力が10上がった



「長靴だっしゅっ!」(遙の技)


敵に177のダメージ



敵の残りライフ=1061


「厳しいわね」

「ああ・・・1000ぐらいならほぼ確実だったんだが、
 1050以上残るとなると、1撃で倒すのも難しいかもしれない」


敵は構えた


敵の体が光る。敵は「準備態勢」になった



「敵の攻撃はよけられないの?」

「敵の攻撃は見た感じ風のものだ
 風は「大気」中に存在する気の変化によって発生するが
 敵はその「大気」を変化させる能力をもつ
 そしてその「大気」は俺たちの周りにいくらでもある」

「ということは、どこへでも攻撃がくると」

「そうだ」

「攻撃を受けたら?」

「攻撃力をみたでしょう
 あの攻撃力に巻き込まれては、ひとたまりもない
 即死だ」

唯一の希望にかけたとしても、成功率はきわめて低い
全滅する可能性は、隊長によると「98%」だという


「もし、一人が攻撃したときにはどうなるんですか?」

「あくまでも予想だが、攻撃をした者のみがカウンターを受ける」

「それなら遙の生還魔法でなんとかならないの?」

「無理だ、さっきも言ったように、大きくダメージを受けた場合
 「リライブ」が効かない」


「もう・・・どうすればいいの・・・」

遙が泣きそうな顔でいる
だが、そうしていたとしても、何も解決しない

いつもならこんな状況に巻き込まれれば、私だって泣きたい

だけど・・これを着ていることがそうさせるのか、いつもより冷静に判断できた

「もし、誰か一人が特攻すれば、一人が戦力からはずれたとしても
 2人が残る。カウンターを行った後はまた溜めないといけないので
 敵への攻撃チャンスは5回ある
 もしくは、溜めたとしよう、
 そうすれば、誰も死なずに敵を倒すことができるかもしれない  だが、敵が攻撃してきた場合は全滅だし、私たちに戦う人がいないとなれば、
 日本、いや地球の崩壊につながりかねない
 地球の崩壊の確率が98%だなんて高すぎる・・・」

だが、そこまで来て、冷静でいられなくなった

「どうすればいいのよ!!」

悩んでいた時間は1分もなかっただろう

だが、いろいろなことをかんがえた

それでも、解決する方法が・・・ない

・・・どうすればいい?

・・・どうすればいいの・・・?孝之・・・?

そうだ・・・今回も・・いま・・・私の誕生日なんだ・・・

時計をみる。12時にはなってなかった

11:24分

去年はあんなふうになっちゃったから・・と、
今回は0時に一緒にいたいな、といっていた

約束した、12時にあの丘の木の上でキスをしようという約束


・・・どうして・・・?

・・・どうしてまたこの日なの・・・?


許せなくなった

孝之の笑顔を思い出す

孝之・・・孝之・・・私のことを大切にしてくれた孝之・・・

・・・

孝之は・・・・

私がまもるっ!


怒り、悲しみ、それらを全て力に変えていた

自分自身でも周りに青い炎が渦巻いていたのがわかった


もし・・・わたしが死んだとしても・・・孝之は守られる

だから・・・私は・・・そっちを選ぶ


「待って!!」

「水月、いかないでっ!」

「そこまでいわれたら逆に行かないわけにはいかないわ
 あとは・・・みんな、よろしくぅー!」

いつものように少しだけおちゃらけた感じの笑顔をみせて、
敵の方向にダッシュ!

そして渾身の力をこめて、攻撃をしかけた


「全ての怒り」(水月の攻撃)


「覚醒・・・か・・・
 もしかしたら、一発でいけるかもしれない」


「うりゃああああああああああああ!」


敵に・・・700のダメージ


「足りない!」

「水月ーーーーーー!!」

「水月先輩っ!!!!」


「風を味方につけた攻撃」(敵のカウンター)


「怪物だかなんなんだかしらないけど、
 来る日を選びなさいよねっ!
 こんな日にこられては迷惑なのよ!
 孝之は私のために祝ってくれるんだから!
 それを・・・それを・・・
 邪魔しないでよっ!!!!!!」


「水月が・・・光った・・・」

「なんなんだ・・・水月さんも大気の流れを自ら変えたというのか」

「そんなことが可能ならいってよ!」

「いや・・・不可能だとおもった
 そもそも彼女にそのような能力はない
 彼女は水に関しての技耐性はあるが、風の能力なんて・・・」


水月は全ての攻撃を跳ね返した

敵に80000のダメージを与えた


「やったっ!」

敵は消え去った

私はは倒れこむ

「疲れたんだろうな・・・」


「これも・・・覚醒の力なの?」

「そうかもしれない・・・前回から、彼女の能力は強いと思っていた
 だが、これでもうはっきりした
 彼女はなにか特別な「覚醒能力」を所持している
 彼女の怒りや悲しみ、それらを言動として、底知れずに強くなるようだ」


「そうだ、水月は12時に鳴海君と丘の上で会う約束を・・」

時計を見ると11時40分

「急いでっ!」

「といっても事後処理がある」

「じゃあ隊長、あなた一人でお願い、
 水月だけを送っていく
 後で迎えに来るから」

遙は急いでヘリの操縦席に載る

だが、操縦の仕方がわからないようだ

「私に任せて。」

「茜?大丈夫なの?」

「わからないけどできる気がする」

そういって茜が操縦席に座ると、いとも簡単に離陸させた

「なんだかわからないけど、できるみたい」

そういって、できるだけ急いで、自分たちの住んでいるところへ向かった

残り8分

・・・

残り7分

・・・

「つきそう?」

「わからない・・・あーでも微妙かも・・・」

「いそいであげて」

「うん!」

低空を飛びながら、一箇所に向けて飛ぶヘリ

近所迷惑極まりないが、でも・・私たち地球を守ったんだから許してくれるよね

・・・

「あと2分だよ」

「うん、あ、見えたっ!」

いつもの丘があった

そこには来る可能性が1%もなかった水月を待つ孝之が居た

ヘリコプターが突然登場したことに驚いていたが、一瞬で笑顔に変わる

孝之はそこに駆けつけ、水月の姿を見る

孝之は水月をおぶって、丘の上へ

11時59分・・か

丘を登り終える

残り30秒で0時になる

そんなとき私は目を覚ました

目の前に孝之がいてびっくりした

「お帰り、水月」

「孝之・・・、ただいま」

私は起き上がってすぐキスしようとするが、孝之が「0時まで待つ・・んだろ」

と笑顔で言う

孝之の時計(電波時計)をみると10秒ほど時間があった

「孝之は・・そういうところはまもるんだね」

「一応、水月との約束だからな」

そんな風に2人で笑っている、そんなうちに3秒前、2秒前・・・

そして0秒になると同時に私たちは口付けを交わした

「私たち・・・見ててもいいのかな」

「ちょっと・・・恥ずかしいかも・・
 あ、隊長のところに、迎えに戻る?」

茜はすこし顔を赤らめる

耐性が・・ないということか


「さて・・・部屋で祝おうか
 水月のためにいろいろ準備したぞ
 去年よりも長く準備できる時間があったから、びっくりするほどの規模になったぞ」

「ほんと?楽しみだなー」

さっきまで強かった私は、孝之に甘える普通の一人間に戻っていた



「私たちは・・・どうしよう?」

「隊長のところへもどってつれてこないと」

「そうだね・・・あ・・でも私たち変身きれちゃったよ・・・」

「・・・ってことは・・・運転できないかも・・・」

一応茜はヘリコプターに乗って運転を試みようとするが、さっきできたのが嘘のようにできない

「放っておこうか」

「・・・う、うん・・・」

まあそんなふうに、ヘリを放置したまま、丘を下り、家に戻っていた

一方その隊長はというと、タクシーに乗って戻ってきたらしい


ヘリコプターは次の日にはなくなっていた

晴れやかな8月27日

事件の爪あとはまだ残る

この事件で果たしてどれだけの人が亡くなったのだろう

気が重くなるかもしれないけど・・・

私はみんなを救ったんだもん、今日ぐらい笑顔でいたいな。
そんな風に思っていた


―――あとがき―――

アドヴェンチャー1期とはまた違った風味を持つ2期です
まあ今回の敵をみれば、もうお分かりでしょう
1期と2期の連結性について
果たしてこれらの連結性はどのような意味を持つのか・・・ね
少しだけ解説があります
まず、水月が気絶しているときの「水月の記憶」について
これらは、茜の「情報配信能力」によって水月に随時情報が送信されていました
変身が解けたのは、水月=疲れて倒れた瞬間
茜+遙=12:00 で、茜の変身は水月が起きるまで続いていたので、可能だったわけで

主に今回の話は、事前の話(孝之視点)
戦いの話(水月視点)の2つに分かれていますが、
違和感はとくにはないと思います

>共鳴する部分がある

どういうことでしょうね

>99.9%来る

まあほぼ確定ということでしょう
100%とはいえないのですがね

>ライブラ

敵の情報を測ることである
茜の場合、それと同時に3人娘隊のメンバーに発信する能力を持つ

>無免許

隊長が操縦できたのは、一応練習させられたから である

>上

組織、および隊長を支持する団体
果たしてその正体とは?

>体操服に赤いブルマ

誰かの趣味です

>アタック・ザ・ライブラ

ネーミングセンスはまったくないですが
3人の攻撃を行ったときの推定ダメージ値を計算するものです
隊長が可能とする能力(そもそも隊長がなぜこのような技を持つのかはまだ不明)
ただし、自分のターンはそれで終了する

>いま・・・私の誕生日なんだ
>時計を見ると11時40分

とっくに0時を回っているとおもったのだが
実はまだまわっていなかった、という例

>来る可能性が1%もなかった水月

その時間に終わる可能性すら考えると、水月が来る可能性は極めて低かったですね


まあここで解説しきれていないところは「4話」で解説しますよ
次回はたぶん『戦闘』よりも『状況』メインのお話ですね
戦闘はこのまま行けば5話の予定です
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