設定=2章茜トゥルーエンド後
呼び方=孝之→茜   茜
    孝之→遙   遙
    孝之→水月  水月
    茜→孝之   孝之
    遙→孝之   鳴海くん
    水月→孝之  孝之


9月1日

長かった夏が終わる

ここでのいみは暦上の夏が終わったということではない

ナツという抽象的な季節が終わったことを意味する

俺たちの「ナツ」は3年前のあるときから続いていた

決して「ナツ」は終わることはなく、続いていたのだ


俺の隣には・・・茜がいる


今思うと長かった、そしてあっけなかったかもしれない

結局は俺のせいなのだ

誰も傷つけたくなかった・・・というよりも、自分を傷つけたくなかったのだ

だから・・おれは全てにめを背けていた

苦しいことから逃げて、ただ、惰性的に流れのままに行動していた


遙に求められれば遙と、水月に求められれば水月と・・・

終わってからだからこそいえることだが、あの時のおれは本当にダメ人間だった

そんなおれはいつしか茜に想いを向けるようになっていた

決してコレは「ただの同情」でもないし、「惰性」でもない

そう気づくまでは時間がかかってしまったが、俺は今になってそれを確信できる

そうでなかったら、あの日・・・8月27日に二人に別れを言いに行くことは出来なかっただろう

もちろん、3年前の遙に向けた想いも、それからの3年間に水月に向けた想いも
嘘だったわけじゃない

だけど・・おれは。

茜に・・・想いを向けているんだ


〜誰もが”ニンゲン”であるということ〜


茜は一時期水泳の練習を休む時期があったが、今はきちんと練習をしている

あのころはタイムが低下し、もうだめなんじゃないかとコーチに言われたこともあったらしいが
いまではそのころ以上のタイムを出せている

きっと心理的な面でも何かが変わったのだろう


さて、俺もバイトのほうをちゃんと行くようになった

というより・・・一応学生じゃないんだし・・・バイトだけってやばくないか・・と危機感を感じている

このまま大学に入学するという手もある

そういえば茜に対してもフォレックスの話が来ているようで、行きたいと言っていた

ただ、俺が白陵に再度入学しようということを考えていると話すと
照れながら「私も一緒のところにしようかな」という

茜に「水泳の夢・・・あきらめてもいいのか?」と聞くと?

茜「あきらめないよ、白陵にいったって実業団にいったって練習する気は同じだから」と言い切った

ここまで茜に言わせておいて俺が落ちたなんていったら俺も再入学に関して必死こいて勉強している

3年間たつと忘れているところが多くて、あのナツにやった勉強なんかほとんど覚えてない

まあ・・それを忘れるぐらいのいろいろなことがあったからな・・・


バイトの合い間に勉強

休憩時間にも単語帳

いきなりまじめになった俺を見て「頭でも悪くなったんか?」と大空寺が突っ込んでくるが、そこは無視

【頭よくなるために勉強をやってるんだよ!】


日々は流れる

10月に入った


そのころには遙とも普通に話すようになっていた

まあ彼女のお姉さん・・・だし・・・

俺のせいでいっぱい傷つけてしまったけど・・・遙は許してくれた

きっとあのころは・・・遙のこんなところも好きだったんだろう

だけど・・いまはもうそうなることはない

俺は・・・茜を愛しているから

この想いは・・・茜にだけしか向かないから


そんな時、遙はこんなことを言う

遙「鳴海くん、茜の誕生日・・・って知ってる?」

孝之「・・・あ・・・知らないかも・・・」

遙「聞いてないんだ・・・茜はね、今月の20日に誕生日だよ☆」

孝之「やば、じゃあ早く準備しないと!」

財布を取り出してみる

・・・は?

6500円・・?

まあ、バイト代でてから休日に茜と一緒にデート(全部孝之もちでやったり)してて
かつ、昨日2週間分ぐらいの買い物をして・・・まあ・・ありえるな・・・

遙「・・・大丈夫・・?」

はは・・・遙に心配されちゃったよ・・・

孝之「まあうち、バイト代出るの10日だからなんとかするよ」

遙「鳴海くんがいっぱい祝ってあげてね、茜喜ぶから☆」


孝之「じゃあ俺、バイトだから、茜のために気合入れて働かないとなっ!」

遙「うん、がんばってね」


そうか・・・10月の20日か・・・

最近日が経過するのが早い気がするからな・・

いつの間にか前日・準備何もしてないなんてことにもなりそうだし・・

早めに準備しておこう


それから、赤いエプロンをつけたようにいままでの3倍の速度(自分比・自分調べ)で働くようになった

まあ決して時給はアップしないだろうから、気分的な問題だろう

こうなると「おぉ、気合はいってますねっ親方っ!」と玉野さんが突っ込んでくる

うん・・・この突込み自体がよくわからないけどね

大空寺は「亜種細胞分裂でもしたんか?」とかいってくるからとりあえずいつもどおりの儀式を行う


そして10日、バイト代を受け取り
バイト休みを18日に1日だけもらい、1日かけて茜のプレゼントなどを選ぶことにした

ちなみに、茜には内緒にするため、平日を選んだのだ

あとから驚かせようという作戦なんだ

茜も直前になっても誕生日のことを言わないもんだから・・・ね・・・

恥ずかしい・・のか?


〜10月18日〜

さて・・・どうしたものか

3倍になって働いたとしても、時給が上がらなかったせいで、所持金は108530円

で、今居る場所はSUGOというデパートの3F

なんとなく高級店をみてみようという欲望がおれを3Fに呼んだのだが・・・

まあ・・・世の中は景気いいんだね

いくら、不況だって言ったって・・・結局は景気いいんだね

いろいろな店に並ぶプレゼント用関係の商品を見て思う

足りないというより桁が違うものさえも存在する

それに足りないといっても1万・2万の世界ではなく6桁単位であることが多い

もうね・・・3Fは近づかないようにしよう

で、2Fにおりると本当に平和な値段が並ぶ

まあ高校時代から比べれば手を出せなかった額だろうが、まあ今となればいいところだ

所持金から40000ぐらい残さないとやばそうだから予算は68000円としよう

2Fの店でプレゼントを選ぶ

ある店に張ってある「値段じゃない、気持ちなんだ!!」というポスターが妙に印象に残ってたりする

それに勇気付けられて、2Fで選ぶ決心

2Fのところで茜に似合いそうなアクセサリー類や、茜がしたらまじで悩殺されそうな麦藁帽子・・・や

茜といっしょにしたい長いマフラーやら・・とりあえずいろいろ選んだわけですよ

もう、頭の中を妄想がぐるぐるしながら・・・

記憶ないけどもしかしたらにやけていた可能性あるな・・・そしたらまじで変人だろうな・・・

とりあえずプレゼントを選び、帰宅


帰宅したころにはもう8:00とかいう時間になっていて、適当にやるべきことを済ませ

それから茜の声がききたくなったからと電話

茜に電話したら、お父さんがでて「娘(茜)と話したいのかね」

「は、はい」というと、「待ってなさい、ちょっと茜を呼ぶから」

【おーい、茜(電話の向こう)】

そして、「呼び出し音の調子が悪いから、来るまでは私の鼻歌で我慢してくれ」と。

あのノリ・・・変わってないんだな・・・

なんとなくほっとした自分がいた

そして茜にかわるとあきれた様子で、「孝之・・・ずっとお父さんの鼻歌聞いてたの・・・と」

それからいつもどおりのラブラヴ(?)トークになる

正直10月20日パーティーとかどうするかを考えてなかった

二人だけですごすってのもいいなとも思っていた

まあ土曜日だし

茜をうちに招待して、茜のこと祝いますかっ!


〜10月20日〜


昨日茜に「明日うちこないか」と誘った

もちろん茜はOKし、午後2時と約束

15分前行動で1時45分に茜は到着した


茜に会うやいなや、俺は「茜、誕生日おめでとう」という

茜は「え、・・・あっ!うん・・・ありがと・・・」

ものすごく照れた感じでいう

きっと・・・俺が知らないと思っていたのだろう

だけど知っていてうれしいみたいな

遙に聞かなかったら俺も知らなかったんだけどね・・・

すると茜はいきなり俺の腕によりついてくる

きっとすごく甘えたかったんだろう

そんな感じが腕の組み方でわかる


強気になったなと思ったこともあった、だけどこういうところもあるんだ

甘えたい気持ちとか、そんなかんじのもの


茜を部屋に呼び寄せ、プレゼントを渡す

茜は「あけてみていい?」と、ちょっとはしゃぐ

こういったところは3年前と・・おなじかな

きっとこれは「閉ざされていた性格」なのかもしれない


いくつかプレゼントがあるけどそれ一つ一つ取り出すたびにうれしそうに身に着ける

これこそが選んでよかったと思える瞬間だ

茜と一緒にしたいマフラー      4850円
茜ににあいそうなネックレス    14800円
茜がしたら悩殺の麦藁帽子      2080円
茜の指に俺がつけてあげたい指輪   9980円
このとき見れた茜の笑顔      PliceLess


すると茜が
「5時からうちに来ない?姉さんとかお父さんとかお母さんが誕生日のお祝いやるんだって」

と。

ああ、行ってもいいかな


一度はあきらめていた

あのお父さん・お母さんに再び温かく迎えられること

そりゃそうだ・・・あれだけのことをしてきたんだから

だけどお父さん・お母さんは再び温かくむかえてくれた

涙が出るほどうれしかった

もう・・・あの二人を裏切れない・・・そう思う

再び家族として迎えてくれている


とりあえず茜と2人だけの時間(2時間半ほど)をすごし、出かける準備をし、涼宮家へ


涼宮家に到着し、ドアを開けると・・・うわ・・・

なんとなく予想はしていたが・・・どこまで凝ってるんだよ・・・

入り口には「茜、お誕生日おめでとう」と

コレは・・遙の字だな・・・

なぜか赤いじゅうたんが敷いてあって、居間へと導くようになってる

そして、お父さん・お母さんがクラッカーを持って待ち構えている

なんか大げさで・・・誕生日ごときにこんな・・・なんて思う人もいるかもしれないけど・・
コレが理想の家族像かもしれない

俺はいつも家だった

高校のころは1人暮らしという性質上、祝ってもらう家族はいなかった

水月と付き合ってたころは水月には祝ってもらってたけど、
家族に祝ってもらうことは数年はなかっただろう

なんとなく温かさを感じた


それから数分後、料理が到着

まあもちろんお決まりの茜の料理だけ豪華・・・ってえっ!?

なんか皿が4つしかないぞ?

おれ・・・やっぱり・・・

茜父「鳴海くんは、茜と一緒に食べなさい。
   いつかは寝食ともにするだろうからいいだろ?」

鳴海「あ・・はい・・・」

やっぱり・・・テンションたかいなぁ・・・

箸は二つ分あるのだが、なぜかスプーンは1個しかない

そして熱そうなスープがある

・・・これは・・・どちらかがフーフーして飲ませてあげる(大半は茜がふーふー?)
ためにあるものか?

まあそうだろう

目で訴えかけるとそのことを察したかのように行動に

お互い照れながら

1口・・・すると、

茜父「おっと・・・スプーンの数を間違えていたようだね(ニヤリ)」

確信犯・・・ですね・・・



パーティーはたぶん中盤へ、茜が今までしてなかったネックレスやらをしているのを見て茜父は
お、鳴海くんからのプレゼントかい?と、速攻で突っ込む

茜父「やるじゃないか、鳴海くん。じゃあ鳴海くんの誕生日には茜をプレゼントしよう」

二人で照れながら顔を見合わせる

茜父は「若いっていいな」と・・・

前以上にテンションが高いような気がするのは気のせいか・・?



するといきなり遙が「ちょっとまっててね」と退席する

外へ出て行った

誰か・・・何かあるのかな

そして、戻ってくる

足跡は2重・・・誰か連れてきたのか

もしここで・・・つれてくるとしたら・・・あいつしかいない・・・

ドアが開く

そこには・・・やっぱり水月がいた

水月「茜・・・」


そして、水月は「誕生日おめでとうっ!」

まるで「いつもの」水月だ

いままで茜の前ではまったく見せることがなかった
というよりも見せられなかった表情を見せた

茜ちゃんの表情が一瞬こわばる

やっぱり・・・水月は苦手か・・・

とおもったらすぐに泣き出した

思い切り泣き出した

そして「水月先輩ごめんなさい・・・」と駆け出す

3年前だったらこうやって駆け出すのは普通だったかもしれない

今までなかった光景・・・だけどそれは自然に感じられた

偽りでもない

本当のココロ

茜は本当のココロを前に出したのだ


水月は・・・どうなんだ・・?

事の発端は俺・・・俺のせいで茜と水月の中を引き裂いてしまったようなものだ

でも水月は、そんなことは関係ないといったように茜をかわいがる


ほんとうに・・・簡単なことだったんだな・・・

水月「ほら、茜、ずっと泣いてたら私・・・茜を祝うパーティーに参加できないでしょっ」

茜「うんっ!(泣)」

茜は・・・茜だったんだ


そしてその後水月と目が合う

水月「久しぶり」

孝之「だな」

あれ以来会うのは初めてだったりする

水月「茜とはうまくやってるの?」

孝之「そりゃ・・・みればわかるだろ?」

水月「ふーん、茜は私のかわいい後輩だし、
   それに、私を振って茜を選んだんだから、これから茜を悲しませたりなんかしたら
   ただじゃおかないからね」

孝之「わかってるって」


思わぬ水月の参加に少々びっくりした

1度はギクシャクしてしまった3人の関係・・・結局はみんな人間で
結局はむかし憧れだったり親友だったりしたものなのだ

1人は寂しい

だから、仲間を作る

そしてその仲間は・・・自分にとってかけがえのない存在なのだ


3年前という時間は取り戻せてないし、状態が3年前に戻ったわけでもない

だけど「今」という時間があって、今が幸せである以上・・・

もう「3年前を取り戻したい」なんていわないかな・・・


HappyBirthday 茜 俺の大切な人・・・






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