速瀬も、慎二も、涼宮さんも、茜も、そして俺もそれぞれ希望のところへ行くことができた
俺は茜と付き合いだしてから必死に勉強して白陵大に志望を変えた
そう・・・今日から白陵大でキャンパスライフをエンジョイするはずだった
入学式の案内を見て玄関へいく
そういえば、慎二や涼宮さんの姿が見えない
二人とも同じ学校のはずなのに・・・
茜「あっ、孝之」
孝之「茜、そうか、付属も今日入学式か。」
茜「うん、お姉ちゃんが同じ日だって言ってたから、孝之の入学式見れなくて残念だけど・・・」
孝之「俺も茜の入学式見れなくて残念だけどな・・・」
茜「じゃあ今日は・・・
孝之は何時ごろ終わるの?」
孝之「11時半ぐらいには終わっちゃう」
茜「ちょうどいいね。私のほうも11時半に終わるから」
孝之「じゃあ、11時半に校門の前待ち合わせ」
茜「わかった」
そして茜がもっとよってきて、
チュッ
ほほに茜の唇が触れた
一瞬にして俺の顔は赤くなる
茜「あーっ、やっぱり赤くなってる」
孝之「しょうがないだろ!」
茜「孝之、大好きだよ!」
・
・
・
なんかおかしい。
どうみても、今まで通ってきたような校舎のような気がする
これデジャヴーってやつか?
見たこともない土地なのに見たことあるって感じちゃう現象
まあ、気のせいだろ・・・
玄関口に行く
やっぱり見たことあるんだよな・・・
ここ・・・
とりあえず気にせずクラスを見よう
えーっと俺は何組になるのかな?
A組は・・・えっと俺の名前がないな・・・
B組・・・あった!
えっと、同じクラスには・・・あっと慎二がいないのか?
まあ科が一緒だけど今回は同じクラスにはなれなかったか
というか、大学にしては1HRにつきの人数少なくないか?
40人って高校並じゃないか・・・
あっと、同じクラスに涼宮さんか?
あれ、そういえば意外だ
科が違うはずなのに・・・
!?
あることに気づいてしまった
あるはずのない
そう、涼宮という苗字の後ろには・・・
茜・・・と書いてあった
〜大間違いの幸せ〜
茜「で、何で孝之がここにいるの?」
孝之「いや、俺にもよくわからない」
茜「・・・」
女子1「あーっ、そろっちゃいましたうわさのカップル!」
女子2「茜ぇ・・・先輩の彼氏をこんなところに呼んじゃだめだよ
いくら離れたくないからってぇ」
茜「いや・・・ちょっと孝之の入学案内見せて・・・」
孝之「うん」
茜「・・・」
孝之「・・・」
孝之の入学案内には、確かに白陵大付属柊学園と、普通に書いてある
どうみても、今まで通っていた学校の名前だ
孝之「・・・」
茜「・・・」
孝之「ちょっと先生のところへ言ってくるわ・・・」
・
・
・
先生「あー、知ってたよ。
鳴海のやつ最後の最後で変なところで間違ってるなぁって・・・」
孝之「どうして教えてくれないんですか?」
先生「まあ、面白そうだったから。」
孝之「・・・」
先生「でも気づかなかったか?いままで気づくところいっぱいあったはずだぞ
まあいろいろと忙しそうにしてたのはわかるけど、
途中で絶対疑問に思うはずだが・・・」
そういえば、手続きをしている間変だったかもしれない
慎二とかとはなぜか手続きの日や場所が違かったりしてたな・・・
孝之「で、どうすればいいんですか?」
先生「さぁ・・・とりあえず残り3年間がんばれ!ちなみに担任は俺だ」
孝之「・・・」
・
・
・
茜「どうだったの?」
孝之「なんか、3年間がんばれって・・・」
茜「・・・」
女子1・2「・・・まあ、茜、よかったじゃん、大好きな先輩とずっと一緒の学校だよ?」
茜「うれしいけど、なんか微妙・・・」
女子1「と、いうわけで、いちゃいちゃしちゃってください」
茜「こんなところでするか!」
・
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・
結局、入学式が終わった
いや、地獄のような時間だった
もちろん先生方は俺が大学と間違えてまた付属に来てしまったことを知っているわけで、
俺の名前を呼ぶときには少し笑いをこらえているような感じだったし、
ちらちら見ている先生が多かった
それに、生徒指導の秋田はなんだかあきれた様子でこっちを見ていた
散々だ・・・
先生が入ってくる
先生「よしっ、これから1年間よろしくな!そんでもって鳴海とは4年目だ
留年もしてないのに4年目の人なんて初めてだ」
みんな注目してるし・・・
・
・
・
結局11時半にやはり終わる
校門前で待ち合わせどころか教室で会っている
茜「まあ、これから3年間よろしくね。
ほら、どうせ先生方は面白がって大学のほうにいかせてくれないと思うから
前向きに、ほら、一緒のクラスになれたし。」
孝之「そうだな、もう無理なものは無理だ!
よし、これから3年間がんばるぞ。
というわけで、改めて・・・茜、よろしく。」
校門を出て歩いている
二人で並んでいると、後ろから走って近づいてくる人
どうみても慎二にしか見えない
もしこれが慎二じゃなかったら世界の神秘だ・・・なんてくだらないことを考えていると、
慎二がしゃべりだした
慎二「孝之!なんで?白陵大に受かったんじゃないのか?
何で名前がなかったんだ?
もしかしてもう一度3年生か?」
孝之「・・・いや・・・白陵には受かった・・・だけど・・・
」
今までのことを少しずつ説明した・・・
慎二「はぁ・・・孝之らしいけど・・・3年じゃなくて1年・・・?」
もうあきれ返っている
遙「あっ、鳴海くん。入学式出てなかったけど、どうしたの?
えっ、もしかして茜の入学式に出るために休んじゃったとか?」
孝之「いや、確かに、茜の入学式には出た・・・」
遙「・・・?」
孝之「生徒として・・・」
遙「・・・?」
状況がつかめてないらしい
というよりこれだけの説明であんなに複雑な状況をつかめるほうがおかしいかもしれない
とりあえず涼宮さんにも説明した
遙「よかったね、茜ぇ。大好きな鳴海くんと同級生だよ?」
いや、涼宮さんすごい・・・このような状況を少しもあきれずこうやって判断できるなんて・・・
孝之「まあ、どうせ何したって大学にいけるわけじゃないし、
前向きにいくとしますよ。」
慎二「まあ、がんばれ・・・あと・・・」
慎二はこそこそ話の体勢になって・・・
慎二「涼宮茜っていったっけ?お前の彼女?かわいいじゃん。
大事にしないとただじゃおかないからな!
大事にしろよ!」
孝之「わかってるって!」
俺たちはいつもの遊園地へ向かう
いつものというのは、本当にいつものなのだ
茜ちゃんはゴーカートやコーヒーカップが好きみたいで、
橘町の近くにある遊園地にここ半年で30回以上行っている
ちなみに、何でそんなにお金があるのかっていうと、
茜のお父さんが、そこの遊園地の年間パスポートをくれたのだ
というわけで、今日も茜にふりまわされにいってくるのである
まあ、それも面白いし、そんなときの茜のうれしそうな顔を見るのも
俺の幸せのひとつなのでいいのだが・・・
・
・
・
茜「今日も遊んだー。」
孝之「あー楽しかった。」
夕日と重なった茜の笑顔は最高の笑顔だった
また高校に入学してしまったと知ったとき、すごくいやだった
でも、こんな茜の笑顔を毎日見ることができるならば・・・
もう一度付属も悪くないかもしれない
大学へも行きたかったけど、茜と一緒にいる時間の方が俺はうれしいから・・・
茜「何考えているの?」
孝之「いや、夕日がきれいだなぁって・・・」
茜「何それ?」
茜もおんなじことを考えていてくれているかな・・・
そうしたらうれしいな・・・
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・
涼宮家の前に着いた
茜「今日はありがと。
じゃーね、孝之。
大好きだよ」
孝之「俺もだ。茜、大好きだ」
夜というやさしさと静けさに包まれた口付けを交わして、茜とわかれる
明日からまた付属の日々が始まるんだ
今までと同じようで違う日々
あの時はただのんびりとすごし続けた日々
でも今は違う
きっといい日
そう、茜がそばにいれば・・・
信じられる気がする
また明日・・・
いい日でありますように・・・
そして今日もいい夢見られますように・・・
続く〜To be continue〜