〜10月17日(日)〜


今日は茜と映画を見に行った

13日のことを知っている人ならわかると思うが、これはもらったものである

本当は大会の後に行こうとしたのだが、そのような状態ではなかったので、今日改めて行ったのだ

今日は思いっきり茜と遊んだ

11時に柊町駅前に待ち合わせをし、映画に向かう

電車の中で茜のおなかがなるのを聞いてしまった

茜は顔を真っ赤にして俺は一発殴られた

殴られ損といったところか?

そのあと映画の前にハンバーガー屋へ行き、食べてから、映画を見た

そして、そのあとぶらぶらデパートの中を歩き、いろいろ見た後帰ってきた

で、その楽しかった時間が終わり、家に帰ってきたところである

もちろん、家に帰ってきたからといって、ボーっとして寝てしまうなんてことない

今日俺には重要な任務があるのである

時計を見ると午後7時25分

「さて、そろそろ出かけるか」

目的は橘町である

電車に乗り橘町へ到着

今日2度目だ

それから、近くのデパートへ足を運ぶ

もちろん目的はひとつ

茜の誕生日プレゼントを買うためである

前回の誕生日は、当日の夜9時半に知ったということで、プレゼントすら用意しておらず、
また、相模湖のほうに研修に行っているということで、走ってそっちまで向かうということもした

当然、今年は忘れるわけにはいかない

そんでもって去年の分も合わせて今年プレゼントをあげようという計画である

『プレゼントは「俺」だなんて事は言わない

 というか、もう俺は茜のものだし・・・』なんて恥ずかしいことを考えちゃうぐらいだから
もう俺の思考は完全に茜中心だ

ゆっくりと歩く

最新式のトレーニンググッズなんかが目に入ったが、さすがに誕生日に水泳強化トレーニンググッズなんてもらっても
うれしくないだろう

水泳特設コーナーを抜けて、4階へ向かう

4階はいろいろなブランド系の店が集まったフロアである

目に入ったのは指輪である

しかしこれは、茜が高校3年生になったときのために残しておく

だから、今回はこれは除外である

閉店時間まであと1時間

まだ時間はたっぷりある

フロアの隅から隅まで見て歩く

マフラーがいいか・・・手袋がいいか・・・暖かそうなダウンジャケットがいいか

このどれかにしようかと、歩きながら見当をつけていく

うーんどうしよう

どれも捨てがたい

これだ!

隅にあった店(ある程度名が知れているブランドの店)で、このようなものを見つけた

そう、マフラー・手袋・ダウンジャケットの3点セットである

かなり都合のいい話である

迷っていたものがすべてついてくるなんて

なにかの陰謀か?などと感じてしまうほどである

値段は少し割高で、これを買ってしまうと、生活が少しだけやばくなる

しょうがない、今週は毎日の飯代の平均を100円に落としますか。

購入を決定し、ラッピングしてもらう

目的のものが買えたことでうきうき気分

即効で家に帰り、引き出しの中にしまう

そう、20日に茜に渡すまで・・・

〜10月18日(月)〜

学校が終わり、茜の練習に付き合う

今日も「茜との幸せ」のために8時半まで練習だ

もちろん、おなか減ったときのための「間食」は家のなかから漁り出して来たカ○リーメイト

これは1ヶ月前になぜか無性にほしくなって買ったものである

いまとなると、あのときに買っておいて正解だったなと思う


練習が終わり、いつものように「ラヴラヴモード」で地獄坂を歩く

茜は俺の腕を組み、よりかかる

茜が甘えてくれるとうれしいというか、かなり顔が赤くなる

最近よる少し冷えてくるようになったというけれど、暑く(熱く)感じる

歩いて茜を家まで送る

家が見えてくると茜は寂しそう

そうやって茜が「俺とはなれることが嫌だ」って思ってくれてるのはすごくうれしい

しかし俺もやはり寂しい

家の前に着いたら、茜は笑顔になって、抱き合ってキスをしてバイバイした

そして俺は家に帰る


家に帰ると、俺のおなかが鳴った

冷蔵庫を開けて、使えそうな食材を探す

やべぇ・・・食べるものがない!

カロリーメイトはさっき食べちゃったし、冷蔵庫にはほとんど何もない

おくのほうに先週買った肉がある

長持ちするやつをかったのだが、やはり品質保持期限は7日過ぎてる

そうだよな、いつもは土日のどちらかに買い物に行くのだが、
土曜日は茜の練習に1日付き合って、
日曜日は茜と出かけた後、またデパートに買出しに行ったんだから

食べ物をどうするべきか・・・

コンビニへ行ってもいいのだが、そうすると来週あたりの食費が大変なことになる

よしっ、決めた!

あの肉を食べよう

そして、あしたはちょっとだけ早く練習を切り上げて買出しに行こう

一か八か・・・

食べてしまおう

〜10月19日(火)〜


結局、おなかを壊した

腹痛と下痢が重なって、そんでもってしまいには頭痛がする

頭痛はなぜ起こっているのかわからないが、とりあえず、体調が非常に悪いということは確かだ

この原因の心当たりがある

というか、100%昨日食べた肉のせいだろう

力を振り絞って電話のところへ向かい、学校に連絡をする

事務担当の先生が電話に出た

そして、クラス・番号・名前・欠席理由を告げる

それから、ベッドの上においてある布団を持って、トイレにあと2・3歩でいける所へ向かう

そこで寝ていれば、急にトイレに行きたくなったときに有効だ

布団を雑に敷く

綺麗に整える気力すらなかった

よしっ・・・一眠りしてしまおう

頭痛を治してから、腹痛と下痢の治療に専念しようなんて思った

そういえば、頭痛薬があったなんて、薬箱をあけたが、2年ぐらい使用期限が切れている

期限が切れているものを口に含むのはもうこりごりだ

とりあえず、今度生活費が入ったら買い足しておこうとメモをして、眠りに落ちた

いいにおいがする

ああ、すごくおいしそうなにおいだ

夢の中ってにおいもかぐこともできたっけ?

じゃあ俺の嗅覚が完全に逝ってるんだな・・・

何時かと気になり、ごそごそと、目の前においておいた時計を探す

といっても、時計がおいてない

「あれっ?」

茜「あっ、目が覚めたんだ?」

近くから茜の声が聞こえてくる

「ついに聴覚まで逝ってしまったか」

茜「何いってるの?ほんと、大丈夫?」

時計を見る、すると、「12時半」

目の前に茜のシルエットが現れる

12時半って、学校の時間だよな・・・

「というとやはり・・・そして視覚まで逝ってしまったか・・・

 つい、茜の事で頭がいっぱいであるばかりに・・・」

目の前の茜が少しだけ照れたような顔をする

幻想はここまでリアルなのか・・・

不安に思っていると・・・

茜「私は・・・ここにいるよ・・・」

茜は俺の唇を奪う

やっと落ち着いた

幻覚でもない、ここに茜がいるのだ

「茜・・・」

まだ頭がボーっとする

ただ、幻覚ではないことがわかった

ただ、なぜこの時間に茜がいるのか?

まだ脳が働いていないせいなのか、考え付かなかった

「茜・・・?学校は?」

茜「あ、なんか、担任の先生が   『彼氏のことが心配なら帰ってもいいよ。
  茜の場合、1日ぐらい聞かなくてもわかるだろ』っていうから
  かえってきちゃった」

茜は笑顔で答えた

茜は、うちに来てからおかゆを作ってくれたみたいだ

おなかすいたというと、茜は「ちょっとまっててね」といって再び台所へ向かう

1分ぐらいが経過した

いきなり寂しくなった

そうだ、茜は台所にいるんだ

腹痛や頭痛を抱えているなか、おぼつかない足取りで台所へ向かう

茜はそれに気づいたらしく、「寝てなきゃだめでしょ」という

甘えようとしたら、「後でいっぱい甘えてもいいから、いまは少しだけまっててね」といった

とりあえず、その言葉で寂しさはなくなったので、歩いてさっきのところへ戻る

3分後、茜がおかゆを持ってくる

すごくうれしかった

スプーンをもってくる

おかゆとスプーンがおかれる

あー茜に甘えたい

ということで、気分悪いにもかかわらず、悪知恵だけは働く

手に力入らないということにしておく

もちろん、自分でも食べられるのだが、茜に食べさせてもらいたいということで、そういう試みに出た

すこしだけ手が震えているようなそぶりで・・・

すると茜が心配そうに、「大丈夫?」と・・・

そして、茜がスプーンを取った

よしっ、作戦成功だ!

茜はおかゆを少量とり、俺の口に運ぶ

おかゆは少しだけさめていて、口に入れても熱いとは感じない温度だが、

「熱っ」

っと、わざと言ってみる

すると、茜がちょっと「もう・・・」といった表情で、今度スプーンにおかゆをのせたあと、
ふーふーと冷ましてくれる

あーっ・・・もう幸せだ・・・!

最高に幸せだ!

こんな風に茜が世話してくれるなら、もう2・3日気分悪くてもいいや
なんて思ってしまう

食べ終わって、茜は皿を洗っている

そういえば、茜は1年ぐらい前までは家のことはからっきしだめだったと聞いたが、
それからいろいろ家事の修行(?)をしたみたいで、いろいろとできるようになったみたいだ

周りを見ると、掃除をしたみたいだし、洗濯物も干してくれたみたいだ

なんか、明日にでも茜と結婚したいな・・・というように思った

布団のところにずっと横なっている

洗い物が終わったみたいで茜がこっちへくる

俺はまた甘えたくなって、「隣で寝てほしい」という

茜は「わかった」といって、俺の隣で横になる

すごく近くに茜を感じて、胸が大きく高鳴るのを感じた

茜がここにいるのがうれしくて・・・もっと茜に甘えたくて・・・

茜を抱き寄せ、キスをした・・・

茜「もう・・・手に力が入んないんじゃなかったの?」

孝之「ごめん・・・ちょっと茜に甘えたくなって・・・」

茜「まあ、気づいていたけどね。でも孝之が甘えてくれるのうれしかった
  いつも私が孝之に甘えてばっかりだし
  私に甘えてくれるのすごくうれしかったよ」

もう一度キスをする

体調は良くなったものの、茜が「もうちょっとねてたほうがいい」というので、
もう一眠りすることにした

茜にあまえて、「ずっとここにいてもらっていい?」と聞くと、
「じゃあ洗濯物しまってくるね」という

5分後、「もう大丈夫だよ」といって、再び俺の隣で横になる

茜の事を軽く抱きながら目をつぶる

このほうがなんだか安心するのだ

すると茜の方もおれのことを軽く抱いてくれる

すごくうれしかった

いつの間にか寝てしまったようだ

外を見ると、もう夕方のようだ

茜はとなりで寝ている

俺がちょっとだけ動くと、すぐに目を覚ます

茜「あっ?大丈夫?」

心配そうに見る

孝之「ああ、大丈夫だ!」

俺は元気に答えた

気分が悪いのもなおっていた

茜のおかげだ

茜がおかゆ作ってくれたり、添い寝してくれたりしてくれたおかげだ

「茜・・・ありがと・・」

茜は笑顔で、「うん」と答える

あたりを見渡す

カレンダーが見えた

20日に丸してある

そう、茜の誕生日・・・あっ、今日が19日ということは、明日じゃん!

前日に体調悪くするとは・・・でも明日じゃなくて良かった!

ある考えが浮かんだ

茜がここにいるということは・・・茜が家に帰らなければ、1番早くおめでとうが言える

というわけで、「今日はずっと側にいてほしいな」といった

すると茜は、うちの電話を使って、家に電話をした

そして、了解が取れたみたいだ

茜はその後、「じゃあ今日から明日にかけてずっと一緒にいるね☆」といった

この話し方からして、多分一緒にいたい理由がわかっているだろう

ただ、「茜の誕生日が始まったとき、一緒にいたい」という理由を・・・

夜ご飯は、やはりおかゆだった

もう手に力が入らない戦法は使えないので、正直に食べさせてもらいたいというと、

茜が「もう」といいながらも、うれしそうに俺に食べさせてくれた

食べ終わって、ゆっくりする

茜とテレビでも見ながらゆっくりする

風呂入って、歯磨いて、後は寝るだけの状態

といってもまだ眠らない

時計をちらちら見る

茜はわざと気づかないフリをしているといったところか

時間は11時42分

あと18分だ

カチッカチッっと、秒針が進む

1秒1秒確実に近づいてきているのだが、実感がわかない

結構足っただろうなと思ってもまだ2分しかたっていないといったところだった

11時51分

茜の方もやっぱり時間が気になるようだ

いやっ、でも体調がよくなってよかった

茜の誕生日になっても体調悪かったら、茜のこと祝ってあげられなかったからな・・・

11時59分

残り1分だ

去年は1番遅いHappyBirthdayを言った

だから今年は1番早いHappyBirthdayを言う

10・・・9・・・8・・・7・・・6・・・

5・・・4・・・3・・・2・・・1・・・0!

心の中でカウントダウンをして、0になった瞬間、

「茜、誕生日おめでとう!」

茜「ありがと」

俺は引き出しを開け、茜にプレゼントを渡す

茜「あけていい?」

「うん」

茜は綺麗に包装紙をあける

茜「あっ!」

驚いたようだ

茜「ありがと☆」

茜はまた最高の笑顔を見せてくれた

なんだかんだいって、幸せの選択肢だったような気がする

あの時茜のプレゼントを買った

それは、茜の笑顔のためだ

茜の最高の笑顔を見て、俺はすごく幸せになった

ただ、その幸せのために食費を削ることになった

そのせいで、期限切れの肉を食べて、体調を崩した

でも、そのおかげで茜がお見舞いに来てくれたし

おかゆ作ってくれて、食べさせてくれた

これも、体調を崩したおかげだ

まあ、体調を崩したことが幸せだったなんていったら変かもしれないが

全くそのとおりなのである


まあ、そんな考察なんて関係ないか・・・

今、茜とこうやって過ごしている時間に意味があるんだから

ひとつの選択を間違った・正解した なんていうものは、もう関係ない

「今」という時間はここに存在していて、こうやって幸せなのだから


今度は茜が甘えてくる

「眠っている間もずっと抱いてて・・・」と



10月20日水曜日がはじまった

今日は茜の誕生日

俺は布団の中にいる

隣には茜がいる

軽く抱き合っている

ゆっくりと時間が流れる・・・

おれたちのことをやさしく見守りながら・・・

そして夜は更けていった・・・




―――あとがき―――

今回も誕生日ネタです
誕生日ということで、涼宮家ではパーティーが行われるのですが
それは書いてません
まあ、このシリーズではそのように孝之が涼宮家のパーティーに出るなんて設定なさそうですからね

またまたやってしまいました
また1日の描写が長くなってしまい、7日しか進んでません

今回行こうと思ってた場所まで到底たどり着いていないので、
秋〜冬にかけてのところは、6話以降になってしまいますね
もちろん、全国大会の模様も書かないといけませんので・・・

孝之は結局、茜にも体調悪い原因を話しませんでした
まあ、かっこ悪いだけですから
品質保持期限が7日切れた肉を食べた なんて・・・

ちなみに、孝之と茜のカップルは校内に知れ渡ってます
まあ、そうでしょうね。茜の有名度から考えて・・・
もちろん、孝之も別の意味で有名ですよ
この『大間違いの幸せ』シリーズの最大の設定である、
2度目の高校という点で
で、結局

孝之が休む&茜が授業に集中しない
   ↓
ほぼ全員が「孝之が休んでるからだ」と理解する

というようにして、「茜が早退してもいい」ということになったのですが、
孝之が休むだけで、茜が早退していいなんて・・・すごい学校ですね・・・
まあとりあえず、孝之の体調が治ってよかったということで

今回は孝之が茜にすごく甘えてます
まあ、いままで「かっこいい系」のキャラを通してきたのですが
やはり病気で心細かったんでしょうね

ちなみにわかっていると思いますが、この「去年の誕生日」は、
前回の茜の誕生日のときに書いた記念SSの続きです
そのときのSSでは23時59分に言ったのですが、
今度は0時00分に言うことができました
たぶん両方の出来事は茜の心に深く刻まれているはずです


テストインラブぐらい壊れてラブラブというまではいかないものの、
茜と孝之のラブラブSS、「大間違いの幸せ」
6作目も、頑張って書きますので、よろしくお願いします



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