〜4月7日(金)〜


今日は始業式ということで、久々の学校生活というものである

といっても俺はほとんど毎日学校きているようなものだが・・・

昨日は入学式が行われており、すべての部活は休みだった

というわけで、新1年生に対面するのは今日が始めてである

まあ、水泳部に入部希望している人は、春休み中に何度か見に来ていたが・・・

そして今日はクラス替えでもある

やはり、今年も茜と同じクラスになりたい

そんなことを願いながら二人で登校する

ちなみに、俺たち二人のカップルは学校中で有名である

たしかに、度が過ぎた(?)ラヴラヴ加減というものもあるが、
やはり、水泳の全国トップと、2度目高校生活者という有名になりそうな要素を持った二人なのだから
それも当たり前なのかもしれない


二人で仲良く校門を登校する

・・・ん?

なんだか、少し嫌な予感がした

別に電波を受信したわけでもないが、なんか嫌な予感がするのだ

男の第六勘といったやつか?

とりあえず、明らかになるまで気にしない・・・


クラス替えの割り振りの紙は、昇降口に張ってある

今日は嫌な夢を見た

茜とクラスが離れてしまうという夢
それも、授業で何の接点もなくなってしまう一番離れたクラスのAとFという関係

もちろん一緒のクラスになりたいが、最悪でも、1日のうちで1回でも会えるようなクラスであってほしい

祈りながら歩く

A組・・・

よしっ。ないぞ!

茜の名前も俺の名前もない

B組・・・

「あ」から順番に探していると・・・「す」のところに涼宮茜とある

「た」「ち」「つ」・・・と下降して「と」の次は、「は」になっている

つまり、俺の名前はないわけだ

茜と違うクラスか・・・

最悪、F組だけは避けたい

F組だけは違う一角にあり、遠いのだ

せめて、C・Dの近いところであってほしい

見る見ると俺の心は絶望に代わっていった

Cのところにも
Dのところにも
Eのところにもないわけだ

一番遠いFか?

しかし、それよりもつらい現実が孝之を待っていた


〜大間違いの幸せ 最終話〜


どの紙を捜しても俺の名前はなかった

打ち忘れ?
いや、多人数とはいえ、俺の名前だけ忘れるというのはありえないだろう
前年の名簿を参照しながらクラスをふりわけているわけだし
第一、俺はいろんな意味で有名であるわけだから、忘れるわけがない


茜はただきょとんとしている。

俺は走って職員室へ行き、異議を申し立てることにした



職員室には見慣れない先生らしき人がいる

見た目からいえば、先生というより派手な女の人といった感じか?

そして、隣にいるのは「まりも」という大きなネームプレートをつけた神宮司先生

あの先生に弱みを握られているというのか?

離れず監視されているぞ?


入り口のほうに俺を見つけると、その女の人は、俺のほうへ来た

周りの言動からして香月という先生らしい

香月「おはよう!」

「あっ、おはようございます・・・」

香月「あなた、この学校の生徒じゃないわよね?」

「・・・?」

香月「まあ、この前までこの学校の生徒だったみたいだけどね
   今の状況を説明するから、物理準備室に来てくれないかしら」

「・・・はい・・・」

何がなんだかさっぱりわからず、物理準備室に送られることになった

物理準備室は、かなり変わっていた

もしかしたら、この先生物理担当なのかもしれない

そしてこの先生はこの短い春休みの間にこの準備室を自分色に染めたのだろう

こぽこぽと、変な生物が浮遊している容器などは、物理とはいえないが、
とりあえず、理科室であることは変わりない

よくわからない威圧感を感じながら、ただ、導かれるがままにイスに座る

状況は全く理解できていない

ちなみに、さっき待たせた茜はというと、神宮司先生が状況を説明して教室に導いたらしい

悪く言ってしまえば、この先生が神宮司先生を操っていたということか?

これでは悪く言いすぎか・・・

学校に着たばかりだというのに、俺の状況を知っていた

書類を出すのを間違えてまた高校に入学してしまったということ

それから、茜と付き合っていること

そして、茜の専属マネージャになっていること

それまでの俺を見てきたかのように詳しく知っていた

二度同じ学校に入学するというのは法律上問題あるのかどうか、そんなことは知らない

ただ、成り行き任せに過ごしてきて、幸せだったからそれでよかった

大間違いだったことが、結果的に毎日の幸せを呼んだのだから
これでよかった

いま、その幸せを否定されることを言われた

香月「これから・・・この学校を退学してもらうわ
   退学という言葉はおかしいかしら。
   じゃあ来週から大学に進んでもらうわね
   学年とかそのあたりの面倒なことは私が何とかしておくから」

ただ、成り行き任せに任せていた

その理由はいくつかある

まずは威圧感だ

この学校に着たばかりの先生だというのに、なんだかこの学校を何年もやっていますといったような心構えで
なんというか、すべてを知っているみたいな・・・

少し変な悪寒がしたのは、多分あそこが物理室だったからか


1度「いや、残ります」といおうと思った

しかし、先生の口車に乗せられていたみたいで、言葉が出掛かってもでなかった

一言で言ってしまえば、悪徳商法というか、詐欺師のような口調

決して悪い話ではないと感じてしまったのだ

世間体も重要だ

あの先生によると、俺はここから入学すれば、去年から大学に入学していたという設定になるらしい

どういうような手続きをするのかとか、
その1年間のブランクをどうするのかというのは詳しくはわからないが、私が何とかするという

一人で何とかできるのかと疑問に思うが、あの先生ならやってしまいそうだと感じられるのも怖いところだ

茜の、水泳で世界にまたをかける茜の、彼氏が、2度目の高校を送って、高卒なんてもんじゃかっこつかない

ある程度は名が知れている白陵大の大学生といったほうが、世間的にも目が違う


どうすればいいのかわからなかった

香月先生は、そのまま俺を車に乗せ、誰にも会わせず、帰らせた

なんで・・こんな目に・・・

今まであんなに忙しかった日々

今は笑っちゃうほど暇だった

ただ、部屋の真ん中で大の字になって横になる

天井を見れば自分の部屋の電気があって、横を見れば、いつもどおりの風景がある

こんな当たり前のこともおかしくかんじるようになった

それもそのはず、昨日まで当たり前だったことが一瞬にして崩れ去ったのだから


テレビをつければ、芸能ファッション担当のタレントが、辛口の意見を出している

特に面白いと感じない

それから、いろいろ局を変える

ドラマやら、芸能ニュースやら、いろいろな番組がやっている

ほとんどの番組ははじめてみるものだ

といっても、見たいとも思わず、ただ「つまんねー」と口走っていた

何が一番つまらなくさせたのか

自分が一番わかるはず

なのに、何も考える気もなかった


ただ、同じ体勢でぼーっとしていた

ゆっくりと時間は流れる

ふと、のどが渇いてきた

でも、何も飲みに行く気がしない・・・

こんなんでいいのかな?俺

香月先生は、「来週の月曜から」といった

つまり、明日は大学にいかなくてはならないのだ

そして帰ると同時にもらった紙には、月曜に用意すべきものが一覧として書いてある

ほとんど物は必要ない。

ただ、荷物と、筆記用具だけでいいそうだ

後の必要なものは月曜日にその場で渡すと書いてある

汚い字だ・・・

こんな主張すらなにもない先生が・・・なんで俺にこんなことを押し付けて・・・

時計を見ると5時・・・

まだぜんぜん時間あるじゃないか・・・

1日というのは、どれだけ長いんだ!

嫌になって、近くのゲーセンまで足を運んでいた


イスに座って対戦ゲームを行う

バルジャーノンという、大型のコックピット視点ゲームもあるが、今はやる気がしない

ただなんとなく、格闘ゲームのレバーを握っていた

レベル1は難なくクリア

レベル2も楽勝ではないがクリア

そして、レベル3のところで、死ぬ

いつもならこの敵も楽勝クリアなのに、なんか燃える気がしない

やる気なく、ただ座ってやっていた

もしかしたら、このゲームを選んだ理由も、ただそこにあったからかもしれない

あとで特にやる気がなかったことに気づいたからだ

何も考えられなかった

??「すいません・・」

「・・・ん?」

急に話しかけられたことで、一瞬敵意を出そうかと思ったが、そこは押さえる

で、なんだ?

??「あの・・・もうすぐゲーム機の電源を落とすんですけども・・・」

よく見ると、このゲーセンの店員か

外を見ると、暗い

時計を見ると23:47

げっ

7時間以上遊んでいたってことかよ

この格闘ゲームだけで

「あっ、すいません。」

愛想なく返事をし、出て行った

財布を見ると、最初持ってきていた10000円札が、もう残り2000円になっていた

100円ずつゲームをしていたのだから、ざっと80Game粘ったということか

まったく・・・損しちまった・・・

気分転換どころか、逆にストレスがたまっていたような気がした

家までの道を歩く

なんでもよかった

目の前に石だの、ごみだのがあれば、思いっきりけっていた

そのようなことをしないと、知らない人に危害を与えてしまいそうになったからだ

そこまで精神は不安定だった

部屋の前まで行き、鍵を開けようとする

すると、部屋の前に数滴の水のあとが

雨・・・降ったか・・・?

その7時間は何も記憶がない

だから、特に気にしようとは思わなかった

もちろん、この水の跡は雨ではなく・・・

部屋に入り、電気をつける

やっぱり、出かけてきたときとは全くかわらない

気分が最悪だ

もうこんなときは寝てしまえ

今の服のままベッドに飛び込む

いろいろなことがありすぎて、脳は混乱していたのか、

そのまま熟睡で、朝の11時まで目が覚めなかった


〜4月8日(土)〜


もちろん、昨日のことを忘れているわけではない

朝起きたとき、もしかしたら昨日の出来事も夢だったんじゃないかなんて考えたが、
自分の着ているものを見てすぐに現実に戻った


ただ、大の字になって、ぼーっとする。

近くで階段を降りる音がして、目が覚める。

気がつくとあたりは真っ暗だった

時計を見ると、20:17

つまり、朝から夜まで眠ってしまったというのだ

とくに、何もする気が起きなくて、眠ってしまった

横を向くと、朝に食べた即席ラーメンの残骸がある

昨日の昼・夜とほとんど何も食べていない

そして今日の昼・夜もほとんど食べていなくて、かなりおなかがすいている

やっぱり何かを作るのが面倒なので、即席ラーメンを食べるとするか・・・

お湯を注いで、3分待つ

そして、食べ終わったものは、その場所に捨てた

〜4月9日(日)〜


自分自身でさえも何を悩んでいるのかわからなくなった

この2日間の記憶がない

ああ、そうか

大学へ行くことになったんだ

明日から大学生

うっ!

胸が痛い・・・

この胸の痛みは・・・

〜4月10日(月)〜


目覚めが非常に悪い

まあ、この週末はろくに動いていないし
食べたものの栄養も偏りすぎている

時計を見ると10:07分

ああ、完璧に遅刻だな

まあいいや。

どうせ、遅刻する運命だったんだ

さて、ゆっくり学校へ行くか

学校の校門を通過すると、香月先生がいた

大学を案内してくれるという

一通りの案内が終わったあと、講義に参加した

新鮮な感じがする

眠くなりそうな講義だが、この週末寝すぎたため、目がさえている

でも・・・何かがちがう・・・

なにか・・・胸が痛い・・・

なにか、頭の中にぽっかり穴が開いている

前までは、たくさんの幸せが詰まっていたところ

俺の頭は・・・何かを封印している

1つ目の講義が終わった

俺は嫌になって走り出した

とりあえず、気を紛らわしたい

橘町へ向かって走る


走る途中、急ブレーキの音

男「どこ見て走ってんだ、ボケが!」

そんなの気にしたくない

ただ、何か思い出すことを、拒否している

それは、なぜか

たぶん、それを思い出すことによって自分の甘さを認めることになるからだろう

もう、気づいているはずだ

あの日に玄関先にあった水の跡も・・・

あの日に階段を降りた人も・・・

それが誰だかわかっているはずだ

でかかっている


胸が痛い

締め付けるような痛みが・・・

ここは、牛丼屋?

茜「それで足りるの・・・?」

茜「おいしい☆」

茜「今日は・・・ごめんね・・・」

孝之「いや、謝らなくてもいい
   ほら、茜は笑顔になって」

茜「あ、うん☆
  孝之はすごいなあ
  私のこと、こんなにわかってて
  今日水泳で負けちゃったこと、一人だけだったら立ち直れなかったもん・・
  よし、孝之に応援してもらったんだから、もっともっと頑張るぞ!」

気づいている・・・

すべてに気づいている

うっ!

また胸の痛みが・・・

ここは・・・茜の家の前・・・

茜「今日はありがと。
  じゃーね、孝之。
  大好きだよ」

茜「孝之、ありがと☆
  あー、孝之はすごいなぁ・・・
  さっきまでこんなに笑えなかったのに・・・

茜「たかゆき、今日は本当にありがとう☆
  私、孝之のこと大好きだよ(はあと)」

ドンドンと思い出が浮かんでくる


そうだ・・・この胸の痛みは・・・

この何か引っかかった感じは・・・

茜のことだったんだ・・・

まだ俺は走る

駅前に着いた

周りを見ると幸せそうな子供とその母親らしき人が話している

子供「ママー遊園地行きたいなー」

子供の母「そうねぇ・・・じゃあ、明日にでも行きましょうか」

子供「うん☆!」

遊園地・・・?

茜「じゃあ、この観覧車の言い伝え知ってるんだよね?」

茜「この観覧車の一番てっぺんでキスをすると、その二人は何十年も一緒にいられる
  結婚してずっと一緒にいることができる って言い伝え」

茜「本当に・・・私でいいの?
  ずっと、何十年も、孝之と一緒にいるのは私でいいの・・・?
  孝之は優しくて、本当にやさしくて・・・
  私・・・水泳の練習とかで、いつも孝之に迷惑ばっかり掛けて・・・
  孝之が休みの時だって、いつも私に付きっ切りだし・・・
  これからもずっと水泳やってて・・・だからずっと迷惑掛けて・・・」

茜「私は、ずっと孝之と一緒にいたい
  孝之のこと、大好きで大好きで・・・仕方がないから・・・
  でも、そのために・・・これからも孝之にいっぱい迷惑掛けちゃうから・・・
  観覧車のって、この話したら、孝之は優しいから、きっとキスしてくれるって思った
  だけど、本当の気持ちじゃなかったらやだなって・・・
  私欲張りで・・・孝之を独り占めしたいって・・・思っちゃって・・・
  だから、これに乗って聞くのが怖かった・・・
  だけど・・・孝之とずっといたいって・・・
  どうすればいいのかわからなかった・・・」

あの日・・・

約束したじゃないか!

何があっても、茜を守るって

茜のそばにずっといるって

永遠に、何があっても茜と一緒にいるんだろ

どんなに遠く離れても
どんな試練にぶつかろうとも、

茜と一緒にいるんだろ!

香月先生はあの時、「断ることはできない、絶対的な事象・そしてそれは運命」といった

つまり、この高校にいることはできず、大学に行くことは絶対的なものだということなのだろう

よしっ!

俺は学校へ向けて走っていた

柊の前の地獄坂

そう、茜と通るときは、天国坂なんていってたっけな

明日からも・・・ここが天国坂であるために・・・

運動神経は上がっているみたいですぐに学校が見えた

香月先生はいない

確か、茜は2−B

よしっ。教室に乗り込むか!

ガラガラガラと、扉を開けると、誰もいない


時間割表を見る

「物理」か

面白いじゃないか!

これで、茜に会いに行くのと、香月先生に文句を言いに行くのが、同時にできるじゃないか

物理室まで走る

ついたか・・・


はぁ・・・はぁ・・・

さすがに、週末の偏りすぎの食生活は響いた

少しの運動でこんなに息切れを起こすなんて


勢いよく扉を開ける

B組のみんなの目がこっちに集中する

香月「この学校の生徒じゃない人が、侵入・・・」

「ちょっとまて!」

香月「じゃあ警告するわ。今、すぐに帰らなかったら、校長呼ぶなり、警察呼ぶなりの態度を取るわ」

「まてっていってるだろ!
 そちらがその気なら、そうすればいいじゃないか」

香月「へぇ。大学生になれば、大学にもいける、その利点があるじゃない
   涼宮だっけ、こいつと付き合ってる
   まあ、大学生になっても会えるのに、よくそこまでこだわるわね」

「俺は・・・この3日間、無心にして悩んだんだ
 たしかに、大学生になることは、利点ばかりだ
 世間体的にも、自分的にも得なことが多いかもしれない」

香月「じゃあ・・・」

「だけど、その得よりも・・・失うものの方が大きい
 俺が高校に入学したことは大間違いだけど、でもそれが・・・幸せなんだ
 俺は、今年も来年も、この学校の生徒になる
 誰がなんと言おうとだ
 追い出そうとしてもしぶとくここに残ってやる」

香月「まったく・・・あんたたち二人は・・・ホント・・・バカよね
   鳴海は鳴海で、こんなこといってるし
   涼宮のほうも、「孝之と一緒のクラスじゃないとやだー」とか泣いて訴えかけてくるし
   ほんと、二人ともお似合いすぎるほどバカよね・・・
   ほら、授業遅れるから、涼宮も鳴海も、早く席に座りなさい」

〜そして・・・3月2日(土)卒業式〜


茜は台の上で卒業生代表の言葉を読んでいる


おれは、その卒業式に・・・卒業生として参加している

2度目の同じ学校の卒業式

今回の卒業も・・・感動モノだった


最後のHR
卒業証書を受け取り、先生の最後の言葉を聞く

おわったんだ

6年間の高校生活が

茜と一緒に外へ出る

「よしっ。いくか」

茜「うん☆」

手をつないで天国坂を歩く

向かう場所は役場

俺たちは・・・これから結婚するんだ!

あの日誓った約束を胸に・・・



―――あとがき―――

大間違いの幸せ・香月先生の陰謀(?)編でした
今回のSSは解説することが多すぎです
この解説を見るまでは (?)なんて思っていることが多いかもしれません
話の内容を壊さないように、本文中ではほとんど解説しなかったので、
こちらのほうで詳しく解説していきます

1.なぜ、孝之は大学ではなく高校を希望したのか?

この答えは簡単です
茜と会える時間が減るからです
もともと、大学生と高校生という恋愛をするつもりが、
ちょっとした手違いで二人とも高校生
そして2年目には元の状態に戻るというだけですが
前の1年になれてしまったため、その生活を変えることができなくなったんです
これは、TIL(Test In Love)の設定と同じです
それまでは一人暮らしをしていたというのに、もう遙の家で過ごすということしかできなくなってしまう
1年、茜と同級生として過ごしていたため、大学と高校という離れた状況にはできなくなる
【1年】ですから、かなり影響力が大きいということでしょう
といっても、ほんと、純粋(バカ)なほどです
ちょっとの間でも離れることができないほどお互いが特別な存在になっていたわけです

2.金土日の孝之の行動について

ほとんど何もしてません
ただ、生きるために即席ラーメンを作っただけです
いや、金曜日はゲーセンにいってますね
どちらにせよ、ほとんどの時間が何もせずに流れています
何をしていたのでしょうか

そうです。悩んでいたのです
何もかも無にして悩んでいたのです
でも、自分では気づいていません
なぜなら、悩んでも無理だと決め付けていたからです
香月先生にとどめをさされて、それは定めなんだと決め付けていたからです
どんなに自分がこの学校の生徒でいたいと思っても、無理だからです
そしてその原因は、次の問題も引き起こしています

3.茜のことを出さなかった理由

これもそうです
無理だと決め付けられていたからです
だからこそ、自衛機能が働いたんでしょう
「茜といることは無理」「茜といることは無理」などと、思っていては、体が持ちません
だからこそ、脳内でコントロールされたのでしょう
普段の人間ならそのようなことはないでしょうが、もし、本当の絶望のふちに立たされたら
そのぐらいになってしまうかもしれません

たとえば、世にも奇妙な物語・劇場版 を見たことがあるでしょうか?
何度かテレビで放送されたので見たことがあると思いますが
このなかのチェスの話
ここの主人公は、チェスで負けてしまい、家を飛び出して、どこか、よくわからないところにいました
何も考えたくないといって、スラム街のようなところへいったのです
そのときには、ほとんどチェスのことなど忘れてしまったでしょう
思い出してしまえば、自分がつらいからです

結構大げさな描写でしたかね・・・
というより、孝之は金土日は、本当に廃人化していました

しかし、月曜日のいろいろな思い出フラッシュバックのシーンで
何かがかわりました
そして、意志が変わりました
ある種、捨て身攻撃を仕掛けることに下のです
もし、失敗すれば笑いものになるような捨て身作戦です
3話の観覧車の約束・・・それが一番勇気をくれたのです

さて、ここまで読んできて思ったかもしれません
再びこの疑問に戻ります

4.捨て身をしてまでそのようなことを・・そこまでするほど高校に価値はあるのか?

もちろん、あると判断したからそうしたのでしょう
いくらバカなほど純粋だとしても、自分のことはちゃんと考えます
だからこそ、この捨て身作戦を選んだのでしょう

もし、大学になってしまうと

1.茜との水泳の練習ができなくなる
2.茜の専属マネージャを辞めなくてはならない
3.クラスと言うか、学校自体が違うため、時間がほとんど合わなくなってしまう
4.大学に入るとそれなりに忙しくなる


1・2は孝之にとって甚大な被害です
もし、また大会に出るというときに
大学が休めるかどうかといってもそうとは限りませんし(必修科目の場合など)
第一、茜を応援するのはとおくの客席でってことになってしまいます

これほど違ってしまうのです
1年間これに慣れてきたため、その違いが孝之に耐えられるはずがありません



ここまでで大まかな解説はできています
それ以上解説してしまうと、「想像」というより「強制」部分が増えてしまいそうなので、あえて
説明しないところもおいておきます


大間違いの幸せシリーズ
ついに完結しました

ストーリー自体は、
1.まちがって入学
2.幸せな日々
3.夏の約束
4.誕生日
5.香月先生の陰謀
6.そして永遠に・・・

このように一本スジが立てられていました
そしてその中でかなり脱線しました


もともとはこのストーリーはInfinity Buttle大会のマニフェストとして
製作を始めたものなんですよね

というわけで、このストーリーを
Infinity Buttle優勝の涼宮茜選手にハッピーエンドとして贈呈します


感想などありましたら、メールや掲示板などでいただけるとうれしいです

最後まで読んでいただきありがとうございました

〜大間違いの幸せ・FIN〜


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