〜3月14日〜

この日は朝起きるのが早かった

時間は7時半

もちろん、今日の、計画を実行するためだ

失敗してはいけない

盛大におどろかすための計画を・・・


遙の家はまだ眠っていた

誰も起きている気配はない

俺は、門の脇の少し隠れられる場所で張り込んでいた

遙が新聞を取りに来るのを待つのみ・・・

遙が毎朝玄関に新聞を取りに来るのを知っている

だから、そのときを見計らって、あのプレゼントを渡そうという作戦だ


でも良かったよ。晴れていて

雨の中張り込みをするのは過酷過ぎる・・・

でも、今日は一段と寒い

「寝たら死ぬぞ!!」というほどではないが、冷え込んだ朝となった


ずっと遙の部屋を直視していた

もし、遙の部屋の雨戸が開いたのならば、ばれないように違うところに1度移動しなければならない

これは反射神経の問題だ

1秒の遅れも許されない

とにかく、俺は遙の部屋を直視している

じっと、何か獲物を狙うように

「遅いな・・・」

時間は8時

まだ起きないか・・・?

だんだん寒くなってきた・・・

「すいませ〜ん・・・」

あったかい飲み物でもほしい

「すいませ〜ん」

遙が起きてきたら、あとで何か飲み物でももらおう

「ちょっと、あなた聞こえてますか?」

孝之「へっ?」

こんな時に誰だ?

ただでさえ、目が離せないって言うのに・・・って、ケーサツ?

警察官「ちょっと、話を願います。」

孝之「うそ?」

警察官「ちょっと、あなたさっきから怪しすぎますから・・・」

俺って怪しかったか?

あっもしかして服着てない?

いやちゃんと着てる。

変人として見られたということはない

じゃあ、なんだ?

警察官「あなた、さっきからずっと同じ方向を見ていて、さっきから隠れるように張り込んでいて
怪しすぎるという通報が、近くの住民から・・・」

やべぇ、ぜんぜんそんなこと考えてなかった・・・

こんな時に・・・

まあ、本当のことを言えば解放されるんだろうけど

それでは計画が・・・

どうしよう

あっ、でもここで逃げたら本当に犯罪者になっちゃう・・

そして・・・

【その後のことを脳内シミュレート中】

ああ、オレの人生真っ暗だ・・・

遙のいない人生なんて・・・

「って、あれ?お兄ちゃん何してるの?って、何で警察に連行されそうになってるの?」

孝之「色々あって遙を驚かそうとして、ここで張り込みしてたんだが
その挙動がかなり怪しい人に見られて、誰かが通報して
そのまま警察に連行されそうになっているんだ・・・」
「まあ、私はこのまま連行されてもいいってちょっとだけ思ってるけど、お姉ちゃんが悲しむから・・・
すいませ〜ん。この人、ぜんぜん怪しい人じゃないので・・・
連行していかなくてもいいんですけど・・・」

警察官「・・・・」

そのまま警察官は帰っていった

孝之「はぁ・・・助かった・・・茜ちゃんありがとう。」

「も〜っ・・・・・私がいなかったらどうしようと思ってたの?」

孝之「・・・」

「じゃあ、遊ぼ」

孝之「今日はまあ、お世話になったし・・・でも、あとでな・・・」

「なんで?」

孝之「一応、やり遂げてない計画があって・・・」

「計画って?あと、その手に持っている、いか〜にも高そうなもの何?」

孝之「まあ、これが計画にかかわっているんだけど・・・」

「えっ、どんな計画?」

孝之「今は言いたくないけど、まあいいや。ばれてるし
とりあえず、遙にこれを渡すんだ。バレンタインのお返し
それで、驚かせようと思って、朝、新聞を取りに来る時に渡そうかと・・・」

「残念でした〜。今日は私がとりに来る当番なんだよね」

孝之「えっ?」

「あっでもお姉ちゃん、出てくるかもね。ずっと私がここにいたら心配して・・・
あっでもまだ起きてないか・・・
って、そういえば、あのでーっかいチョコレートは全部食べたの?」

孝之「まあ、二日でな・・・」

「・・・」

そして、会話は途切れた

ガチャ

よし、遙か?って、遙のお父さん!!

遙父「茜、遅いけどどうしたんだ・・・って、鳴海君じゃないか?おはよう。いきなりどうしたんだ?」

孝之「いろいろとわけがありまして・・・ちょっと遙を待っていたんですが・・・」

遙父「まあ、いい。茜も鳴海君も、そんなとこで話してないで、あがったらどうだ・・・」



いや、そしたら、遙をおどろかせてやれない・・・

遙父「まあ、遙はまだ寝ているが・・・」

あっそうだ!!

まだ起きていないのならば、あがって待ってよう

遙父「本当にいきなり、どうしたんだ?こんな朝早くから・・・」

「お兄ちゃんね、お姉ちゃんにすんごいプレゼントがあるんだって」

茜ちゃんにはすごいプレゼントだって言った覚えはない・・・

付加価値が着いてる・・・

まあ、すごいプレゼントなのは事実だけど・・・

「おはよ・・・・って、え、え、え・・・?」

遙が起きてきた

この流れって前にもあったような・・・

「え、え、なんで孝之くんがいるの?」

孝之「おはよう遙。まあいろいろあって・・・」

遙父「鳴海君から、すごいプレゼントがあるそうだ。」

「!?」

ぎゃーーーー

まだ流れつかんでないのに・・・

孝之「これ・・・まあ、今日はホワイトでーってことで、バレンタインの時のお返しだけど・・・」

遙は包みを開けた
「!?」

「あっ・・・」

遙父「・・・」

遙母「あらあら・・」


孝之「うん。そろそろ俺たちも卒業だし。それに、付き合いだして長いし」

遙家族全員「・・・」

孝之「オレ、遙のことすごくすごく大事だと思ってるし、うん・・・」

遙家族全員「・・・」

孝之「遙・・・オレと、け・・・けっ・・・・結婚してくれ」



和やかな家族の家の中で

二人は結ばれる

まだ、寒いと植物が芽を出さないころ

そんな二人の人生という芽が、満開に咲いていた・・・



「やったぁ、これで本当にお兄ちゃんだね。」

遙父「鳴海君。娘のこと、よろしくお願いします。」



孝之からの、本当のお返し・・・

本当に自分が、遙の元へ・・・

そんな、3月14日の物語・・・



〜おしまい〜



―――あとがき―――

はい。最後はすごく長くなりました。
最後って難しいです
最初の設定だと、あっさりと遙と対面なはずでしたが、
なにか色々なハプニング(ハプニングがなかったら孝之じゃないですから)がほしくて、
逆に入れすぎだというほど、ハプニングが多くなってしまいました
最後の最後はちゃんと「まじめ孝之」で締めました
最終的にはまじめになるという「孝之」が私の中では完成していますから
さて、イラストですが、入れたかったんです
でも、作れないんです・・・
絵は苦手+パソコンに取り込めないんです
というわけで、助けてくれる方がいたら、画像掲示板にでも合う絵を張ってください・・・
まあ、茜ちゃんが、警察に連行されそうになっている孝之を見てあきれているところ
遙が起きてきたところ
その辺を入れようとしたのですがね
まあ、とにかく、3編にも続く作品が完成しました
色々と考えて、何とか完成したこの作品
まあ、ホワイトデーの記念になるでしょう

ちなみに、本編中で茜ちゃんは警察がいてもかなり冷静でした
そして、孝之は警察に連行されそうになっているにもかかわらず、
警察のほうを無視するような形で茜ちゃんと話していましたからね・・・


最後に、本編+あとがきまで読んでくれた方ありがとうございます