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まえがき

これは、誕生日記念SSです

バレンタインデー・アンド・アフター・マンスシリーズは、3部作で終わったはずなのですが
その続きということにしちゃいました。
つまり、設定では、孝之が遙に「結婚してくれ」といった後ということになります

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〜3月14日・午後〜


遙父「はっはっはっ。鳴海君が、娘と結婚してくれるなんて、嬉しいよ」

遙母「あらあら、お父さん、酔いすぎですよ」

遙父「まあまあ、今日ぐらいはいいじゃないか」

遙父は上機嫌というより、壊れたように飲みまくっている。

茜ちゃんはあの後部活に行ったのだが、今日は練習に身が入らないということで

すぐに帰ってきた。

そして、まだ遙は顔を赤くしてぽーっとしている。

遙の家族に結婚について告げた。

その後、自分の家族にも連絡したが、「自分がいいと思うのならOKだ」という答えが返ってきた。


遙父「鳴海君。今日は飲みなさい。今日ぐらいは飲みなさい。ちょっとぐらいだったら大丈夫だ」

孝之「えっ、でも・・・」

遙父「まあ、一生に1度しかない結婚だ。今日ぐらいは飲んでもバチ当たらないだろ」

遙母「あらあら、父さん。大学の先生がそんなこと言っていいんですか?」

相変わらずの雰囲気だった。

結局俺は、その勢いに負けて、飲むことになった。



〜3月15日〜

孝之「う〜っ、気分わりぃ・・・・」

慎二「孝之おはよう!って、なんかきもちわるそうだなあ・・・」

孝之「あ・・慎二、おはよ・・・う・・・」

慎二「おいおい、孝之、大丈夫か?どうしたんだ?」

孝之「いや、いろいろあって、二日酔い・・・」

慎二「もうすぐ卒業だって言うのに・・・打ち上げか?まあ、しっかりしろ・・」

孝之「うん・・・」

速瀬「おっはよう!!って、孝之・・・なんか気持ちわるそうだけど・・・?慎二くん?なんか聞いてる?」

慎二「いや、なんか二日酔いなんだって。」

速瀬「あんたねぇ、未成年がそんなに二日酔いになるぐらい飲むなんて・・・」

孝之「いや、いろいろあったんだ。」

速瀬「まあいい。そういえば、なんか、遙、朝から上機嫌みたいだったけど・・・」

孝之「えっ!!あっ、なんでもないよ。多分、朝ごはんでもおいしかったんだろう」

速瀬「・・・?さては?今日、朝からラブラブモード全快でいたとか?」

孝之「えっ!!そんなんじゃないよ。まあ、だから、朝ごはんがおいしかったんだろ?」

孝之【やべぇ、もうちょっと黙っていたいのに・・・】

速瀬「まあ、いいわ。後で遙に聞きに行くから」

孝之「あっ、そうだ。速瀬、確か今日は掃除当番だったよな。だから、聞きにいく暇なんてないよ」

速瀬「休み時間があるじゃない」

孝之「いや、あっ、速瀬の委員会、今日集まりじゃなかったか?」

速瀬「それは、もう終わりました。」

孝之「いや・・・えっと・・・」

速瀬「ははあ・・・そんなに聞かれたくないことがあるんだね?」

孝之「そんなことないよ!!」

速瀬「あやしぃ。慎二くん。今から遙にでも聞きに行く?」

慎二「そうだな。孝之も二日酔いだし、今なら、抵抗もなさそうだし」

孝之「やめてくれ・・・速瀬・・・慎二・・・」




速瀬「へぇ・・・。孝之、結婚するんだ。」

慎二「孝之。なんだ、水臭いじゃないか。いわないなんて。」

孝之「いや・・・後で言おうと思ってたんだが・・・」

速瀬「あんなに知られるのを拒んでいたのに?」

孝之「うっ・・・」

慎二「そして、もう親には話して、完全に結婚モード突入と。」

孝之「まあ、いいだろ!!」

速瀬「まあ、遙がこれまでにないような上機嫌だから、まあそんなことだろうかとは思ったんだけどね
   いいじゃない。人前でもいちゃいちゃしちゃうようなお似合いカップルだし」

慎二「昔の孝之が懐かしいよ。今では、もう涼宮LOVEの孝之しか見れないからな」

孝之【慎二にまで・・・あっでも、今のオレも上機嫌だから、怒る気にもなれないや】

孝之「いいじゃないか。はい。これでもうその話はおしまい。」

速瀬「なんで?結婚だよ?一生に一度だよ。それが、ここで起ころうとしているんだよ?」

孝之「まあ、とりあえず興奮するのは、学校終わってからにしてくれ、一応二日酔いで気持ち悪いんだから」

速瀬「わかったわよ。でもすごいなあ。いきなり結婚なんて。
   7月のあのころが懐かしいよ。
   あのころの遙の性格とか、孝之の態度とかが懐かしい。」

慎二「じゃあ、涼宮のことも鳴海って呼ばなくちゃいけないのか?」

孝之「いや!学校ではやめてくれ。」

慎二「わかってるよ。でも、まあ、4人でいる時はたまに鳴海って呼ぶぞ?」

孝之「まだ結婚してないんだから。」




先生「はい。じゃあ今日も終わり」

委員長「起立。礼」

孝之「よし、ダッシュだ」

俺は、今までB組までの距離を何度も走り続けたおかげで、マッハスピードで移動できる。

短距離の金メダリストも顔負けだ。

そうこうしている間にB組前についている。

ここなら寝ながらでもこれるだろう。

B組はまだHR中だ。

B先生「事故など、怪我のないように。あと、服装などをしっかりして下校するように」

孝之【いつもおんなじこと言うのならば、そろそろとめてくれ。遙と1秒でも長くいたいんだ】

B先生「はい。じゃあ、終わり。」

ガタガタガタ。

みんなが帰りだす。

そして、スーパーコンピュータの処理能力よりも早く、人ごみの中から遙を見つけ出す。

孝之「遙。一緒に帰ろうぜ。」

「あっうん☆」

孝之「そういえば、速瀬とか慎二に、結婚のこと、話したんだって?」

「えっ、朝、水月が、『そんなに上機嫌なのはどうしてか』って聞いてきたから?」

孝之「二人の秘密が良かったなぁ」

「あっ、そうだよね。」

孝之「もぅ。遙にはこれだ。とりゃ。」

「あはははは、孝之くん。いたぁい。」

孝之「もう一回。このっ。」

「もう。痛いよう。じゃあ孝之くんにもお返し。とりゃ」

速瀬「あの、バカップルどうする?このまま後つけていく?」

慎二「いいや。学校の中だって言うのに、早速いちゃいちゃしているところ見てたら、
   これからどうなるのか想像もつかなくて、もういいや。」

速瀬「そうだね。あの二人、あのままにしておこう」

慎二「でも、いつまで小突き合いを続けるつもりなのか・・・」

速瀬「もう、見ているのも嫌になってきた。私達といる時とのあのギャップ何?」



〜3月20日〜

プルルルルルルル

休みの日の朝は、たいていは電話で始まる。

ほとんどが、いや全てが遙からの電話だ。

そして、俺は電話をベッドから2秒以内にとる方法を習得した。

体操選手も顔負けだ。

ガチャ

孝之「おはよう遙。」

「うん。おはよう孝之くん☆」

孝之「今日はどこ行くか?」

「えっとね、今日はうちに来て。」

孝之「うん。分かった。じゃあ、1時間後ぐらいに行くよ」

「うん☆じゃあ、待ってるね」

ガチャ

いつもなら、橘町とか柊町の駅前とかなのに、いきなりなんだろ?

まあ、いいや。1時間後行けば分かるだろ。



ピンポーン

「はい。」

孝之「あっ、オレだ。」

「あっ、孝之くん。あがって。」


孝之「遙、どうしたんだ?」

「うん、じゃーん☆」

孝之「ってうわっ。」

目の前には何故か婚姻届がある

そして、遙はもう名前を書いている

遙父「はっはっはっ、鳴海君。そんなにびっくりしなくてもいいだろう。」

「お父さんが、どうせ結婚するなら、誕生日にでもしなさいっていうから」

遙父「せっかくだし、娘の誕生日にでも結婚式挙げなさい。
   どうせあげるのならばメモリアルな日がいいだろ」

ってか話が早すぎですよーーー

孝之「あっ、でも式場とか予約取れるのですか?」

遙父「はっはっはっ、心配はいらん。もう予約したよ。横幅プリンスホテルだ」

おとうさーん話が早いっすよ!!

というか、娘の結婚について、父親は拒否を続けるというイメージがあるのに、
これじゃ逆じゃないですか?

っていうか、あさって?

遙父「もう、ほとんど準備はできとる。えっと、友達のなんていったかな?」

遙母「速瀬さんと、平さんですよ」

遙父「ああそう、その二人も呼んだから」

「ほらほら、お兄ちゃん。男ならびしっと決める!!」

このハイテンションさは何?

この流れ、絶対おかしい。

でも、遙と結婚できるのならばいいや。

こんなに楽しい遙の家族の中に入れるのも悪くない。

というか、むしろ嬉しい。

よしっ。

孝之「そうだな。じゃあ、印鑑とか持ってくるから、あとは、
   ちょうどオレの父さんとか母さんとか近くにいるころだし、
   とりあえず、ちょっと待っててくれ
   色々準備してくるから」

「うん☆」

遙はまたずっとぽーっとしている。

多分、オレが色々準備を終えてここに帰ってきたころも
同じ場所で同じ恰好で同じ体勢でぽーっとしているだろう。

そんなことを考えながら、俺は家に帰って、父さんと母さんに電話した。

そして、父さんと母さんとオレの3人で遙のうちへ向かった。

久しぶりに3人で出かけるのが、結婚前の訪問になるなんて。

そういえば、遙の家族と打ち解けられるかな?

遙のうちに着くと、家の前に遙のお父さんがたっていた。

遙父「あ、あっ、こんにちは。私が、あなたの息子さんと結婚していただく娘の父親です」

というか遙のお父さんも、緊張するんだ?

孝之父&母「あっどうも。」

遙父「とりあえず、中にお入りください」

中に入るとやはり予想通りの展開。

遙の時間は動いていないように見える。

遙は1時間経ったことを知っているのだろうか。

そして、なんか変なメンバーの結婚前の挨拶が始まった。

というか、この辺で色々話がかみ合わなかったり、打ち解けられなかったりして、
ごたごたがあるはずなのに、何もなく、話が進んでいく。

というか、何この展開?

うちのお父さんなんか、いきなり、遙のお父さんと仲良くなって酒を飲み交わしているし
うちのお母さんなんか、遙のお母さんと節約の話で盛り上がっている。

そして、うちのお母さんは、「あんなかわいいお嫁さん、あんたにはもったいないよ」と
上機嫌に話している。

何もなく、ことが進んで、本当に3月22日に挙式があげられそうだ。



〜3月22日〜

もう、婚姻届の提出が終わって、いよいよ式の当日。

孝之【マジで緊張してきた】

孝之母「いや、こんなにはなく結婚するとは思わなかったわ」

孝之父「お前の人生だ。人生を楽しめ。」

最後はまともな言葉をかけてくれた。

係員「鳴海様、準備が整いました」

俺は、旅立つ。

人生の一つ目の大きなゴール。

そして、二つ目の出発点を過ぎる。

ウェディングドレスを着た遙が歩いてきた。

いつもの遙。

だけどいつもと違う遙。

そんな遙に抱きつきたい衝動を抑え、遙がこっちに来るのを待つ。

そして・・・

式は進む。

長い時間だったが、ほとんど覚えていない。

慎二と速瀬のコンビで祝福の言葉をかけてくれたが、少し滑っていた、というぐらいしか覚えていない。

ずっと緊張していた。

ただ、覚えていることがある。

それは、永遠の愛を誓ったこと。

そして、その誓いのキスをした事。

今までキスは何回もしたが、いつもとは違った気がした。

そのキスで本当に何かが結ばれた気がした。

これからずっと、遙と一緒なんだ。

ぜったい幸せにしてみせる。

何年も何十年も遙をずっと幸せにしてみせる。

俺は心から誓った。



〜3月23日〜

速瀬「あぁ、昨日は感動的だったなぁ」

慎二「孝之、かっこよかったぞ。今まででいちばんかっこよかった」

孝之「まあ、いいじゃないか。っていうか、学校でその話はするな!」

速瀬「まあ、いいじゃないの。ほら、あんたのかわいい女房が来たわよ。」

「孝之くーん。」

速瀬「ア・ナ・タ・って呼ぶんじゃないの?」

「えっ・・・!?もぅ・・水月ぃ・・・」

孝之「だから、からかうのはやめろ。」

慎二「まあ、鳴海、さんも、これから色々あるけど頑張れよ。」

孝之「鳴海さんってなんだ?今まで孝之って呼んでたのにいきなりなんだ?」

慎二「孝之のことじゃないよ。今まで涼宮って呼んでたけど、涼宮遙じゃなくて、

   鳴海遙になっちゃったから、まあ、言いにくいけど・・」

孝之「慎二まで・・・学校ではやめろ。今日は卒業式なんだから、式が終わってから、そうしろ」

今日は卒業式だった。

俺と遙と慎二は、もう白陵大の進学が決定している。

遙と一緒に頑張って、俺の成績は、担任が1度腰を抜かすぐらい上がった。

そして、速瀬は水泳で実業団行きが決定した。

ただ、速瀬とはお別れというわけではない。

これからも、ずっと4人で友達でいるつもりでいる。

今までのように速瀬とは友達で馬鹿をやることはなくなる。

でも、ずっと仲の良い友達でいたい。

速瀬「ほら、そんなにしんみりしてないで!!」

孝之「よしっ、行くか。」

俺達は、卒業式の会場となる体育館に向かった。



式は始まった。

式は順調に進んだ。

卒業証書授与。

みんな証書を受け取る。

式は続く。

止まらずに流れた。

式の途中、高校生活の色々な記憶がよみがえってきた。

そして、遙と一緒いるようになった日々もたくさんよみがえってきた。

仰げばとうとしを歌った。

もう、卒業か。

この学校ではいろいろなことがあった。

速瀬と出会ったのもこの学校。

そして、遙と出会ったのもこの学校。

色々な思い出を作ったこの学校。

目に見えるぐらい、残りの時間は短くなっていく。

そして、その時間は顕微鏡で見なくてはならないぐらい、短くなっている事に気づいた。

司会「卒業生退場」

その言葉とともに、ブラスバンド部が演奏する。

その曲にあわせて俺達は退場していく。



速瀬「はぁ・・・いい卒業式だった」

慎二「まあ、最後ぐっと来て、ないちまったよ」

孝之「うん・・・」

速瀬「ははあ、孝之は私がいないと寂しいんだ?」

孝之「ばかっ、そんなんじゃないよ?」

速瀬「まあ、素直じゃないけど、ありがと。孝之とバカやっている時間、私も好きだし」

孝之「・・・」

速瀬「私も孝之がいないと寂しいかな」

孝之「・・・」

速瀬「でも、私が選んだ道だもんね」

孝之「これからも、頑張れよ!!」

速瀬「孝之も、遙のこと、大切にしなさいよ。まあ、見てた限りでは大丈夫っぽいけどね」

慎二「速瀬、水泳頑張れよ!!」

速瀬「孝之、慎二君。ありがと!!頑張るから。
   それに、私達ずっと友達だから、お別れじゃないから。」

孝之「そうだよな。よし、そうと決まったら、愛する妻のもとへ直行だ!!」

速瀬「あんたねぇ、学校ではその呼び方いやだって言ってなかったっけ?」

孝之「うるせえな、もう学校卒業したからいいんだ。」

速瀬「まあいいわ。よし、じゃあ、今日は4人で、どっか食べにいこっか?」

孝之・慎二「そうだな」



旅立ちの日・・・

4人はそれぞれ自分の道というものを決めた。

でも、4人は信じていた。

ずっと仲良しでいることを・・・

永遠の絆で4人の友情は堅く結ばれていた。

そんな桜散る日の出来事。

 

〜おしまい〜



―――あとがき―――

3日以上ネタを考えて、
3時間以上書き続けました
その結果がこれです
結婚式などとうてい経験したことのない私なので、
展開がめちゃくちゃかもしれません
その辺はまあ想像ということで、ご了承ください
さて、今回は、遙の誕生日記念ということなのに、4人の友情がクローズアップされました
というか、どこが遙の誕生日記念なのか?と聞かれたら、まあ結婚したところというように答えるでしょう
本当は卒業式のシーンはあんな感じではなかったのですが
色々と考えていたら、あんな感じになってしまったということです
というわけで、このシリーズ4作目ということで一応また完結ということで・・・
ただ気が向いたら、この設定で、また書くかもしれません
その機会があったら、壊れた孝之でもご期待ください
それでは・・・


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