孝之は、いつ、慎二に言われるかどうかをビクビクしながら過ごしていた
速瀬は、慎二の一言一言に怖がっている孝之を見て不思議に思いながらも
それでもまだばれることはなかった
ただ、それでも速瀬が知ってしまうことになる
〜9月4日〜
ピンポ〜ン
茜「あっ、水月先輩だ!」
茜が飛びつくスタンバイに入っている
私がドアを開けて、水月が一歩踏み出した時、やはり飛びついた
茜ぇ・・・いい加減にしてよ・・・
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水月「茜、水泳の調子、最近どう?」
水月のこの言葉に反応して、茜は目を輝かせながら、この1ヶ月の功績について話し出した
【水月先輩、褒めてください】といったところだろうか?
水月「で、遙のほうはどうなの?」
遙「えっ?」
水月「孝之のこと?」
遙「えっ?」
茜「うわっ、すごーい。一瞬にして顔赤くなっちゃった
たぶん、この速さはギネス記録だよ
お兄ちゃんの話になると、いきなりだね・・・」
遙「もぅ、茜!!」
水月「お兄ちゃん?」
茜「いや・・・鳴海さんとお姉ちゃん、もうすぐ結婚するみたいなので?」
水月「け、結婚?」
茜「だって、お姉ちゃん、お兄ちゃん、じゃなくて、鳴海さんのこと大好きなんでしょ?
それで、鳴海さんも、お姉ちゃんのこと、何よりも大切だって言ってたし」
遙「!?」
茜「まあ、鳴海、って本当に呼びにくいから・・・
鳴海って10回言ってみると、ろれつがまわんなくなっちゃうので・・・」
水月「まあ・・遙も・・・さっきより照れてないで・・・
孝之のことが好きなのは分かったから・・・」
遙「うぅ・・・水月まで・・・」
水月「それより、ずっと玄関先にいるなら、どっかの部屋行って話そうよ
まあ、私も今日は部活が午後からで、今ちょうど暇だから遊びに来たんだし
茜は、今日の部活は?」
茜「今日は、水月先輩が来てるからなしで・・・
・・・というのはウソで、私も午後から」
水月「じゃあ、せっかくだし、3人で時間まで遊んでよっか?」
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水月「・・・」
茜「また・・・おにいちゃんに関連するもの増えたね・・」
遙「茜だって人の事いえないでしょ!」
遙は、孝之の写真を壁に貼っているのだが、その枚数が半端じゃない
今見ただけでも、40枚はある
天井にも張ってあることから、下を向いている時以外、
どこを向いていても孝之の写真が10枚以上目に入る
一方茜はというと、水月の写真を2倍拡大コピーして貼ってある(1枚)
茜「それに、この前お姉ちゃんの部屋で、シャーペン借りようと思って
机の中をあさってたら・・・モガッ」
遙「茜!言っちゃダメ!!」
茜の口を押さえて何とか言うのを止めた
そう・・・(鳴海)というハンコをもう作ってあるということなんていえるわけがない
水月「あ・・・・・・・」
遙「水月ぃ・・・」
水月はもうすでに引き出しを開けていた
そして、ハンコを見つけてしまった
水月「・・・・」
遙「・・・・」
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茜「あとね、洋服のたんすの3番目には、たくさんチュープリ(プリクラでキスしているところを撮る)
がたくさん入っているし・・・」
遙「なんで、茜知ってるの!?」
水月「なんか、この引き出しには、もう遙のところだけかかれた婚姻届が・・・」
遙「水月まで!なんでそんなの見つけるの!」
茜「あと、絵本の棚の後ろのほうに、育児マニュアル・・・」
水月「そういえば、ここにすごく大事そうに飾ってあるシャーペンは何?」
茜「えっと、それは、お兄ちゃんが始めてうちに来た時、勉強で使ったシャーペンだから、
大事に取っておいてあるんだって。」
遙「水月ぃ・・・茜ぇ・・・(泣)」
水月「まあ、いいじゃないの。孝之には言わないから・・・。
そういえばこのカレンダーは?」
水月がたんすの裏に、いかにも隠してあるといったところで見つけた
水月「うわっ、なんかたくさん書いてあるね。
えっと・・・ミートパイ記念日?
ステーキ記念日?
仲間記念日・・・? あっ、そういえばあの日こんなこといってたね?
絵本記念日?
あっ、そういえば、孝之とこの日絵本作家店行ったんだっけ?」
カレンダーには、孝之のよりもぎっしりと書かれている
1ヶ月につき25日ぐらい書かれている
水月「あっ、そういえば、8月6日のとき、ミートパイ作ってたとか・・・
もしかして、これ・・・孝之との思い出・・・?」
遙「・・・」
水月「記念日?」
遙「・・・」
ピンポ〜ン
孝之「遙〜?なんかさっき、商店街のくじ引きで映画のチケット二枚ペア当たったんだけど、
一緒に行かない?」
水月「よしっ、孝之に問い詰めてみるか?」
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ガチャ
孝之「はる・・・って、速瀬!!」
水月「はいはい・・・愛しの遙ちゃんが出てこなくて残念でしたね!
ほんと、ラブラブみたいじゃない!
夏休み中たくさん思いで作ったんでしょ?」
孝之「?」
水月「ミートパイ記念日・・・だっけ?」
孝之「!?」
水月「あっ、動揺してる。心当たり・・・アリ・・・か・・・」
孝之「慎二から・・・聞いたのか?」
水月「ブブー、はずれ!その記念日って、孝之がつけたんでしょ?
こうやって見てると孝之って結構かわいいとこ(幼稚なとこ)あったんだね」
孝之「うぅ・・・なんで・・・」
水月「えっ、適当に言ったのに、大当たり?」
孝之「あっ・・・。」
水月「へぇ・・・」
遙「孝之くん、ごめんね・・・、水月にカレンダー見られちゃった・・・」
孝之「大丈夫だから・・・、ほら、泣かなくても・・・」
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水月「なんか、傍から見てると、今の私、すごく悪者じゃん・・・
まあ、人それぞれやり方ってものもあるし、
孝之の意外な一面も見れたし・・・
これはこれでよしとしよう!」
遙「・・・」
孝之「速瀬は、もうすぐ部活か?」
水月「あと二時間ぐらいある。」
孝之「茜ちゃんは?」
水月「茜も午後からだって」
孝之「じゃあ、4人いることだし、どこか出かけるか?
で、遙。その後映画見に行くか。上映は2時だし。」
遙「うん☆」
孝之「じゃあ、茜ちゃ〜ん、出かけるから二階から降りてこっち来て〜」
茜「わかった〜。」
遙は、あの二人にいつ、ハンコのことや婚姻届のことが言われるか恐怖だったが
からかいで言うぐらい以外は、言われることはなかった
ただ、からかいで言われた時、顔真っ赤にしちゃうけど・・・