設定=SFDで水月エンドを迎えて、その1年後の8月。

8月26日
水月「また今日も会えないの?」

孝之「ゴメン・・・今日はバイトが忙しくてさ・・・」

水月「最近バイトバイトって・・1日何時間ぐらい働いてるの?」

孝之「寝ている時間以外はほとんどバイトだよ・・・」

水月「ほしいものでもあるの・・・?」

孝之「まあな・・・でももうそろそろ楽になるから・・・
   ごめんな、最近ずっと忙しくて・・・」

水月「うん・・」

孝之は最近ずっと忙しい

買いたいものがあるらしいんだけど・・・

何がほしいんだろう?

夏季休業に入ってたぐらいずっと働きっぱなし。

わたしも水泳で忙しくて、孝之にあえる日は少ないけど、
でも休みの日ぐらいは孝之とどこか行きたかったなぁ・・・

といっても、私が部活ない日だけ休めなんて我が侭か・・・

寂しい・・・

孝之はそれを知っているかどうか、私だって寂しがりやなんだ・・・

こうやって寂しい時は孝之の声聞いて紛らわす

まえ通販で買ったボイスレコーダー

あれに孝之の声を録音して、いつでも聞けるようにってやっておいたんだけど、
最近そればっかりだなぁ・・・

時間的に夜になる

携帯電話を手に取る

ピポパ・・・

・・・

ただいまおかけになった電話は電波の届かない場所にあるか・・・
電源が入っていないためかかりません

ピッ

これで何度目だろう

今日のほとんどの時間をこの同じ作業にまわしている

孝之の声が聞きたくて

ただそれだけで・・・

ずっと電話をかけ続けた

繋がることの無い電話を

孝之のバカ・・・

こんなに寂しくさせるなんて・・・

長い長い夜

時計の速度はいつもより遅いように感じる

長い針もなかなか回ってくれない

コチッ

コチッ

コチッ

秒針の音だけが部屋に響く

寂しい夜、そして少し涼しい夜

コチッ

コチッ

コチッ

秒針までもがこの寂しさを強調させる材料となってしまう

少しだけ外に出てみる

まるで自分だけの世界にきたかのように、無音の世界が広がる

た・・・か・・・ゆ・・・き

庭の砂に指で文字を書いてみる

寂しさがまた強調される

ほんと・・・孝之のバカ!!

この1ヶ月の寂しさが爆発してしまった

ほんとはこんなこと言いたくなかったけど、言ってしまった

孝之「誰がバカだって?」

水月「あっ、孝之・・・」

寂しさの余り、やはり声が下がった・・・

孝之「ごめんな・・・今までずっと寂しい思いをさせちゃって・・・
   もう終わったから
   これから当分バイトで忙しくてあえないなんてことは無いから・・・」
孝之は抱きしめてくれた
私の奥深くに眠る寂しさを全て包み込むかのように

優しさに包まれて、寂しさは一気に無くなった


水月「ほしいものって、何がほしかったの?」

私は聞いた。
こんなにいっぱい働いて何がほしかったんだろう

孝之「えーっと・・・ちょっとまって!!あと20秒」

水月「はっ・・・」

孝之「・・・」

水月「・・・」

孝之「よしっ、もういいや。ほら、これだ」

孝之はケースのようなものを出す

水月「・・・?」

孝之「ほら、あけてみ」

水月「えっ・・・?」

私はそのケースを開けた

そこには銀の指輪が入っていた

水月「えっ、これ・・・?」

孝之「ほら、去年は露天の指輪しか買ってあげられなかったから」

水月「えっえっ・・・?」

水月は時計を見た

8月27日 0:00
そう、いつのまにか日付が変わっていた

孝之「誕生日おめでとう、水月。」

水月「あっ・・・」

気づいた・・・

この指輪を買うために、孝之はがんばっていたんだ

すごく高いというわけでもないが、学生には全然手の届かないものだろう

だから、バイト尽くしで、できる限りバイトをして、
できる限りお金を貯めたんだ

それで買ってくれたんだ

これまで孝之にバカって言っていた自分が恥ずかしくなった

自分のためだったのに・・・それに気づかなくて・・・

銀の指輪

ひときわ輝いているわけでもない

こういう指輪の価格から考えれば、下から数えたほうが断然早いだろう

だけど、この指輪には孝之の苦労や、孝之の想いがいっぱい詰まったものだ

嬉しかった

とても嬉しかった

私は思わず孝之に抱きついた

孝之「うわっ・・・」

孝之が転倒する

まあ、転倒といっても立っている状態から寝そべっている状態になったような形だ
(そんなに力入れてないので)

孝之に抱きつきたかった

力いっぱい孝之を抱きたかった

そして孝之とキスがしたかった

とにかく、表現しきれないほど嬉しかった

孝之「水月・・・ほら、夜だけど、水月のうちの庭だけど、外なんだから
   中行こうぜ」
水月「そのまえに、いっぱいキスしたい
   いっぱい抱きたい☆」

抑えきれないほど嬉しかった

それから、中で少しいちゃついた後、孝之は2時ごろ家に帰った

そして私はというと、嬉しさの余り、眠気もさめて目がパッチリ

まず、家に存在する全てのカレンダーの8月27日のところに花丸をつけた

それで、何度も指輪をはめてみた

その指輪を見るたび孝之の笑顔が浮かぶ

そして何度も幸せになる

朝になり、外へ出てみた

ふと見ると、きのう、「たかゆき」とひらがなで書いたところに文字が
書かれているのに気づいた

「たかゆき」の下に「みつき」と追加されていて、
その文字が大きなハートマークで囲まれていた

水月「もぉ・・・孝之ったら・・・」

孝之においしいところを全部持っていかれたような感じがした

でも、いっぱい幸せありがと☆

心の中で叫ぶ

「孝之、大好きだよ!!」



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