設定:2章終了後の春休み

遙を選んでからこれで半年以上が経つ

こんな短い間には語れないようなごたごたがあって、
俺は誰を選ぶか迷った

誰もがみんな幸せ なんてことは無理らしいということを知った

決断の大切さを知った

そして俺は遙に対する想いの大きさも知った


もちろん、水月とは遊びで付き合っていたわけではない

水月のことは愛していた

だけど俺の心の中の想いは、遙への想いが勝っていたのである


〜3月21日〜

いつもどおりゆったりとした朝がやってきた

最近は遙と一緒に過ごしている

俺は目が覚めた

隣には遙がいる

遙は退院こそした

病院にいく回数も減った

だけど、やはり事故の影響が完治したわけでもない

だからこそ、今は俺が遙をいっぱい助けていかなければならない

朝食を準備しようと、ゆっくり布団から出る

遙を起こさないように物音を立てないように注意した。


すると遙はおきてしまう

遙「あっ、孝之くん☆おはよ」

遙はいつもと変わりない笑顔を見せてくれる

その笑顔は俺の選んだ笑顔だ


高校時代とは髪形も違う、そして少しやせこけてしまっている

だけど、俺の愛した遙が居た


遙とはおはようのキスを交わし、朝食を作ってくるという

遙にはできるまで待っているように言った


朝食が出来上がって、遙と一緒に食事をする

コーヒー一杯を飲むと、なんだか一日が始まるような気がする


俺は本当は今日もバイトだった

明日もバイトの予定だ

だけど、俺はこの2日間は休むことにした

大空寺のやつは猛反対していたが、その反対を逃れてきた

店長は、「OK」をくれた

まあ、それをもらうために、コレまでずっと一生懸命頑張ってきたんだから


明日は遙の誕生日、よく考えると、遙の誕生日を俺が祝ってあげたことは一度もない

だからこそ、今年は盛大に祝ってやる

そうやって、いろいろと準備をしてきた

もちろん、遙には内緒である

ケーキやオーダーメイド品の注文はしてある

ほかにも、装飾の準備にかんしては、遙に見つからないように押入れに隠した


つい最近、また絵本作家店が始まったということで、欅町のところへいってきた

「絵本作家店にいく」というのは少し恐怖があった

なぜかというと、3年前それができなかったから・・・
ただ、その言葉だけが残って俺を不安にさせていた

そのとき、一番安心させてくれたのは遙だ

「孝之くんも私も、はここにいるんだよ☆」と明るい笑顔で言ってくれた

ずいぶん楽になったと思う

そしてやり直しデートをこなしてきた


今日はどこへ行こうかと遙に話す
すると、動物園へ行きたいといった


遙は少しはしゃいでいる

キリン・パンダなどといった定番中の定番の動物を見ては、目を丸くしたり
時には動物と話しているときもある

そんな遙を見てやっぱり可愛いと思った。


それから、動物園の前の喫茶店へいった

そこでゆっくりと遙とはなす

家にいるときに話すのとは何か違うような感じがする

今日のデートについてやたわいのない話までたくさんの話で盛り上がった


動物園の思い出も、この喫茶店の思い出も前は水月のものだった

一度来たことがある
いまの状況と同じような感じで着ていた

そんな動物園の記憶を、また遙のものに置き換えた


動物園に再入場し、その後晩御飯を食べると、あたりは暗くなっていた

家に帰ることにする

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまうようだ

それでも、俺と遙は明日を信じていられるからこそ、こういった時間の流れを認めていくことができる


時計を見る
誕生日は0:00におめでとうを言うというように俺は決めている

なぜかというと、何が起こっても1番を取られることはないからである

1番最初におめでとうがいいたい!


そんな風に思うのである


11時42分

11時43分

きっと、遙は俺がこうやって時計をずっと気にしているのに気づいている

遙は笑顔でいる

11時57分

11時58分

11時59分

あと1分だ

こんなときだけは秒針の遅さを感じてしまう

10

 9

 8

 7

 6

 5

 4

 3

 2

 1

 ・

「遙、誕生日おめでとう」

日付が切り替わったとき、待ってましたとばかりに遙におめでとうを伝えた

遙はすごくうれしそうだ。なんか顔をあかくしちゃって!
遙の誕生日はやってきた

昔は当たり前のことが起こらなかったのである

当たり前じゃないことがたくさん起こって、当たり前のことがかき消されたのである

俺は遙のことが大好きだ

そして、遙は俺のことを好きでいてくれている

来年も、再来年も、ずっとずっと、俺たちは一緒にいたい


だからこそ、今遙にささげる言葉

「遙の生まれた日にありがとう。また来年もこの日を一緒に迎えような」




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