孝之がめくっているのは卒業アルバム
写真とは残るもので、なんと長靴100mのシーンまで残されていたのだ
1年生のころの遙もあるわけで、当然うつっている
遙「孝之くん・・・(照れ)」
毎回こうなる
たぶん、俺もこんな遙がかわいくて毎回こんなことしているんじゃないかと思う
速瀬からあの夏の日聞いた
遙は1年生のころから俺のことを好きでいてくれたらしい
そしてその思いは何があってもかわらず、ただ一点だけを見つめてくれた
おれは、それを知り、それを一度裏切ってしまった
どれほど悲しかったことだろう
それでも遙は・・・思い続けてくれたんだ
茜「お兄ちゃん、お兄ちゃんの部屋あさってたんだけど」
・・・あのなぁ、茜ちゃん、べつにたまに遊びに来るのはいいんだが・・・
物音一つ立てずに侵入して、いきなり部屋を物色するのだけはやめてくれ
孝之「あのなぁ・・・」
茜「こんなのみつけちゃったんだっ!
読むね、〜想いを寄せたその日から、叶うと信じたあなたへの想い〜」
孝之「うわあああああああああ!」
ちなみにこれは、なんとなく書いたものだ
大学の授業の途中や、空きの図書館にいるときなど、ふと想いふけって詩を書いていたわけだ
というかまて、どうしてこういう恥ずかしいことは絶対ばれるんだ?
あの夏のプールのときも「恋は俺を詩人にする」とかかっこつけていったら、もろ聞かれたし
結局詩は全部読まれた
大体の内容としては遙のことが書かれているのだが
誕生日おめでとうと一言で言えばいい事を、遠まわしな表現をつかっていたり
心の中の赤い実がはじけた だとか、
「この幸せをくれた天使の生まれた日を一生祝い続けるよ」だとか・・・
もう・・・顔が火照っていく
にげだそうとしたら茜ちゃんにつかまれて「ニヤリ」と勝ち誇られた
遙は顔を真っ赤にしながら「茜っ!!」と茜ちゃん退場
ちょいぬるい空気が流れる
顔が火照りすぎて行動不能
そんな時遙は、「私もね、孝之くんの笑顔は、最高のお薬」とか
「孝之くんとくっついていられるなら24時間寝ててもいい」とか
「夢の中でも孝之くんに会えなかったら寂しい」とか、色々想っちゃったりするんだ
だからね、ほら、おあいこだよ☆
すごく気が楽になった
さっきまで恥ずかしがっていた俺は一体・・・
愛がまたあふれていく、この俺という器のなかに納まりきれなくなりそうなぐらい
孝之「遙」
遙「孝之くん」
いちゃつきモード開始っ
茜「私がちゃんと帰ったか確認しなくても良かったのかなぁ(ニヤリ)」
げっ・・・どうしてこうのぞくか・・・
遙「茜っ!!」
孝之「茜ちゃんっ!!!」
茜「はいはい、邪魔者は本当に退散するよー
お兄ちゃんは、ほら、お姉ちゃんをいっぱい食べちゃってね☆」
孝之「!!」
遙「!!」
茜「あはは、赤くなってるー☆
おもしろいーっ」
そういって茜ちゃんは帰っていく
もう・・・まじで心臓に悪い・・・
さて、いちゃつきモード再開
そして、日は落ち、夜に包まれる
時間は走り去ろうとしている
今日は3月21日、そして明日は3月22日
時計はゆっくりと、確実に進みゆく
日の移り変わり、「3月21日に別れを告げ、3月22日にこんにちわという」
孝之「誕生日おめでとう、遙」
遙「うん、ありがと」
去年を振り返る
遙との楽しい想い出がたくさんあふれてくる
全ては思い出となる。楽しい思い出となる
孝之「去年もありがとう、今年はもっといい年にしような」
いいじゃない。これで。
去年は楽しかったさ
でも来年はもっとよくばって、もっと楽しくいい年にしたいんだ
だから、遙、今年も一緒にいい思い出つくろうな
遙「うん、じゃあ孝之くん、こっちきて。」
遙がもっと近くに来るように
そして遙からのキス
長いキス
10分ぐらいしてたかもしれない
遙「これからの1年間の最初の思い出だよ☆」
二人で照れながら話す
照れてる遙がかわいくて今度はおれからキスしたんだ
いとおしくてたまらなかったんだ
遙「えへへ。孝之くん、大好きだよ」
孝之「俺もだ、遙、大好きだ。」
この二人の夜はこの日、更けなかった。