遙「おはよう。孝之くん。」
孝之「おはよう、遙。」
それは、朝の出来事・・・
孝之宅にて遙が泊まることが多いのだが、この日は遙宅に孝之が泊まっていた
理由は、昨日、遙宅で、入学祝のパーティーのようなものを行ったからだ
20歳までお酒はダメなのだが、この日ぐらいはいいだろうと、遙父の勧めによって、
(大学教授だったはずなのにいいのだろうか?)ビールを少し飲んだ。
そして、少し酔ってしまったため、そのまま遙の部屋に行って寝たということ
朝起きてから、孝之は、「はっ」っと気づいて、近くにある鏡で顔を見てみた
孝之「よしっ、落書きはされていない」
修学旅行などでは、たいてい、顔に落書きということがある
そんな感じで、茜ちゃんだったらやりかねないと思ったのだが、さすがに大丈夫だった
まあ、さすがに男が寝ているところに入ってきたら少し問題だろう
ということで、ふたたび遙と見つめ合った
もうこうなったら、決まっている
おはようのキスだ
お互い、距離を少しずつ縮めていく
カチャっという扉が開いた音には気づいていない
完全に二人の世界に入っていた
二人の距離は10cm・・・5cm・・・
そして、重なった
「カシャ!」
遙&孝之「!!」
茜「はいはい、ごちそうさまー。お兄ちゃん。お姉ちゃん。おはようございまーす。
というわけで、写真をお父さんとお母さんに見せてくるので、それでは。」
孝之「!?」
遙「もぅ・・・茜!」
茜「お兄ちゃん、お姉ちゃんより顔赤くなってるよ?」
孝之「!!?」
茜「おとうさーん。おかあさーん。これ見て。」
遙父「おおっ、ナイスショットじゃないか?」
遙母「あらあら・・・お熱いこと。」
遙父「若いのはいいことだ」
遙母「あらあら・・・お父さんだって十分若いですよ」
茜「キスしているときのお兄ちゃん、なんかいつもと違う・・・なんか変な顔。」
孝之「変な顔で悪かったな!」
茜「お姉ちゃんもね・・・すごく疲れていて口を開けて昼寝している時と同じぐらい変だよ?」
遙「茜!!」
遙父&遙母「チュっ」
遙「お父さんも・・・お母さんも・・・どさくさにまぎれてキスしてないでよ・・・」
茜「お父さんたちも・・・わかいんだね!」
遙父「私だってまだまだ若いみたいだ」
遙母「ええ・・・じゃあ、もう一回しますか?」
遙父「いや・・・今は1回でいいだろ。また夜にでも二人になったときに」
遙母「そうですね。」
孝之【ラブラブなのは結構ですが・・・堂々と見せ付けないでください・・・】
茜「じゃあ、部活行ってきまーす」
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遙父「私たち、買い物に行って来るから、留守番お願いするよ。」 遙「はーい。」
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・
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遙「二人きりに・・・なっちゃったね・・・」
孝之「う・・・うん(照れ)」
遙「こ・・・これから・・・どうする(焦)」
孝之「ど、ど、どうしようか?」
静かだった・・・
何も音が聞こえない
世界が二人だけのようだった
言葉は要らない
二人は目をつぶった
次第に距離は縮まっていく
そして、距離は0になった
1分、2分、ずっと距離は0のまま。
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・
・
孝之「!?」
孝之は「はっ」と気がついて遙から離れた
遙「ど・・・どうしたの?」
いきなり孝之が遙から離れて遙はしょんぼりしている
孝之「隠しカメラが・・・」
遙「えっ?」
目の前にはビデオカメラが仕掛けてあった
遙「これ・・・茜の・・・」
孝之「茜ちゃん!」
そのビデオカメラは、地域の水泳大会に参加し、優勝した時にもらったものだった
孝之「・・・・」
遙「・・・・」
孝之「って・・・いうか・・・怖え・・・【もっとすごいことしてたらどうするつもりだったんだ?】」
遙「とりあえず、移動する?」
孝之「まあ・・・ほかの部屋にはないだろうし・・・」
・
・
・
孝之「リビングは?」
遙「じゃあ、リビングでくつろごっか。」
たしか、ここは、遙父との初対面の時、肩に腕を組まれて、その後、遙と並んで座らされたところだ
あのころが懐かしい
あのころからずっと俺たちは一緒にいる
オレは遙とずっと一緒にいることを望んでいる
遙も望んでくれている
幸せだ・・・
孝之「遙・・・」
真剣な顔で遙のことを見つめてみた
遙「た・・・孝之くん(照)」
照れた表情もかわいいなと孝之は思いながら、幸せを感じていた
そして、二人はまた目をつぶる
2度ほど大変な目にあったが、今度はゆっくりとキスできそうだ
二人の距離はなくなった
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ゆっくりとした時間が流れる
お互い、一緒にいることの居心地のよさを感じ、
幸せを感じている
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遙母「あらあら・・・二人とも・・・」
孝之「!?」
遙「!?」
遙母「あらあら・・・若いこと・・・」
孝之「お母さん!どうしたんですか?」
遙母「ちょっと出かけた後、忘れ物に気づいて戻って・・・、そしたら・・・
二人きりになったらすぐキスなんて・・・本当にお若いこと・・・」
遙「ちょ・・・ちょっと・・・・お母さん!」
遙母「まあまあ・・・ラブラブなのはいいことですよ。では、邪魔にならないように退散しますね」
孝之「・・・・(焦)」
遙「もぅ・・・お母さんまでにも見られた・・・」
孝之「2度あることは・・・3度ある・・・」
遙「うぅ・・・」
・
・
・
遙「でも・・・今度こそ・・・大丈夫だよね・・・」
孝之「・・・う・・・うん。そうだな(照)」
遙「もぅ・・・3回も邪魔されたんだから・・・よしっ、じゃあ、今度はお父さんとお母さんの部屋に・・」
孝之「えっ?」
遙「孝之くんと・・・二人に・・・なりたいし(照)」
孝之「うっ・・【くぅーっ、かわいいぞ・・・遙。】(照)」
遙「じゃあ、いこっか。」
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・
遙「孝之くん・・・」
孝之「遙・・・」
二人は抱き合った
孝之「大好きだ・・・」
遙「私も・・・」
そして、一旦はなれたあと・・・キスをした・・・
今度はきっと・・・二人きり・・・
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・
遙父「娘をよろしく頼むぞ、鳴海君」
孝之「!?」
遙「!?」
遙父「はっはっはっ、いきなりの登場ですまなかったね・・・」
孝之「今度は・・・お父さん!」
遙父「いや・・・財布を忘れてしまってね・・・」
遙「うぅ・・・お父さんまで・・・」
遙父「いやあ・・・ごめん・・・でも・・二人とも幸せそうだったぞ・・・
鳴海君、これからも娘をよろしく頼むぞ。
じゃあ、私は買い物に戻るとするよ」
孝之「は・・・はい(焦&照)」
遙「もぅ・・・」
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・
・
孝之「今日・・・やっぱり怖え・・・」
遙「とりあえず、お父さんもお母さんもまた帰ってきたら、今のところに来るだろうし・・・」
孝之「遙の部屋は、まだ仕掛けがあるかもしれないし・・・」
遙「茜の部屋にいこっか?」
孝之「えっ!?」
遙「多分、自分に部屋には何も仕掛けてはないと思う。」
孝之【でも・・さすがに・・・茜ちゃんに部屋に入るのは悪い・・・ような・・・】
遙「キス・・・したいな・・・(照)」
孝之「う・・うん。じゃあ、行こう【くぅーっ、やっぱりかわいいぞ・・・遙。】(照)」
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・
茜ちゃんの部屋は、結構片付いていた
何故か、速瀬の写真がたくさん貼ってある
というか、ずっと前に、速瀬が雑誌にクローズアップされた時の、写真は
2倍拡大コピーされて壁に貼ってある
恐るべき、速瀬量産型・・・
遙「孝之・・くん・・」
甘えたような口調・・・
それもそうか・・・今までの出来事からして、気分的に甘えたくもなるだろう
というか、実際自分も遙に甘えたい気分だ
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・
お互い、愛し合っている
二人でいる幸せ
ずっと・・・これからも・・・一緒にいたいと、孝之は感じている
孝之「遙・・・大好きだ・・・」
そして、キスをした。
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茜「はいはい・・・ホント・・・ごちそうさまー」
孝之「茜ちゃん!」
茜「私の部屋に入ってまで、そうやって・・あぁ・・・お熱いですねー」
遙「!?」
茜「あっ、照れてる照れてる。お兄ちゃんも・・・すごい照れてる」
遙「あ、茜!部活は?」
茜「えっ、今日は本当は、休みだよ♪」
孝之「?」
茜「まだわかんないの?じゃあ、種明かしするよ。おとうさーん、おかあさーん。種明かしするよー」
孝之&遙「!?」
茜「さっき、お父さんとお母さんが出かけるっていったのは、あれウソ!
そんでもって、私が部活に出かけたのもウソ」
遙「えっ!?」
茜「というわけで、二人の行動を見させてもらいました!」
遙「え・・・えっ・・・(焦)?」
遙母「本当に・・・二人ともお若いこと・・・」
遙父「二人になるたびにキスしようとするなんて・・・」
遙「もぅ・・・お母さん!お父さん!やめてよ!」
孝之「うっ・・・」
茜「お兄ちゃん。お姉ちゃんの唇はどうでしたか?」
孝之「うるさーい!」
遙「茜!いいかげんにしなさーい!」
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結局・・・今日の出来事は、茜ちゃんが仕掛けた、「涼宮家、ドッキリ大作戦」で、
大成功となってしまった
遙「みんな・・ひどいよぅ・・・」
遙父「まあ・・・許してくれたまえ・・・でも・・・鳴海君もあそこまでびっくりするとは思わなかったよ」
孝之「・・・」
遙母「よしっ、じゃあ、お詫びに、これから、どこかに出かけて、
夜は食べてきましょうか。
鳴海さんも・・・一緒に・・・
私達家族の一員ですから」
孝之「えっ、いいんですか?」
遙母「いまさら・・遠慮はいらないですよ。」
茜「だって、もうお兄ちゃん、お姉ちゃんの唇を食べちゃってるぐらいだし♪」
遙「もぅ!茜!」
茜「まあまあ・・・」
遙父「よしっ、じゃあ、みんなで出かけるか!」
その人は、すごく怖い思いをしたが・・・
それでも・・・遙の家族に受け入れられていると再確認した時でもあった
遙の家族は仲が良い
疲れることもあるが、とても居心地が良い
そんなところにいられる幸せを感じていた
外は暖かい風が吹いている
その空気の中を、暖かい家族に包まれて、歩いていた
オレの大切な・・・人たち・・・