〜4月11日(入学式の次の日・土曜日)〜



「おはよう。孝之くん。」

孝之「おはよう、遙。」

それは、朝の出来事・・・

孝之宅にて遙が泊まることが多いのだが、この日は遙宅に孝之が泊まっていた

理由は、昨日、遙宅で、入学祝のパーティーのようなものを行ったからだ

20歳までお酒はダメなのだが、この日ぐらいはいいだろうと、遙父の勧めによって、
(大学教授だったはずなのにいいのだろうか?)ビールを少し飲んだ。

そして、少し酔ってしまったため、そのまま遙の部屋に行って寝たということ

朝起きてから、孝之は、「はっ」っと気づいて、近くにある鏡で顔を見てみた

孝之「よしっ、落書きはされていない」

修学旅行などでは、たいてい、顔に落書きということがある

そんな感じで、茜ちゃんだったらやりかねないと思ったのだが、さすがに大丈夫だった

まあ、さすがに男が寝ているところに入ってきたら少し問題だろう

ということで、ふたたび遙と見つめ合った

もうこうなったら、決まっている

おはようのキスだ

お互い、距離を少しずつ縮めていく

カチャっという扉が開いた音には気づいていない

完全に二人の世界に入っていた

二人の距離は10cm・・・5cm・・・

そして、重なった

「カシャ!」

遙&孝之「!!」

「はいはい、ごちそうさまー。お兄ちゃん。お姉ちゃん。おはようございまーす。
  というわけで、写真をお父さんとお母さんに見せてくるので、それでは。」

孝之「!?」

「もぅ・・・茜!」

「お兄ちゃん、お姉ちゃんより顔赤くなってるよ?」

孝之「!!?」

「おとうさーん。おかあさーん。これ見て。」

遙父「おおっ、ナイスショットじゃないか?」

遙母「あらあら・・・お熱いこと。」

遙父「若いのはいいことだ」

遙母「あらあら・・・お父さんだって十分若いですよ」

「キスしているときのお兄ちゃん、なんかいつもと違う・・・なんか変な顔。」

孝之「変な顔で悪かったな!」

「お姉ちゃんもね・・・すごく疲れていて口を開けて昼寝している時と同じぐらい変だよ?」

「茜!!」

遙父&遙母「チュっ」

「お父さんも・・・お母さんも・・・どさくさにまぎれてキスしてないでよ・・・」

「お父さんたちも・・・わかいんだね!」

遙父「私だってまだまだ若いみたいだ」

遙母「ええ・・・じゃあ、もう一回しますか?」

遙父「いや・・・今は1回でいいだろ。また夜にでも二人になったときに」

遙母「そうですね。」

孝之【ラブラブなのは結構ですが・・・堂々と見せ付けないでください・・・】

「じゃあ、部活行ってきまーす」

遙父「私たち、買い物に行って来るから、留守番お願いするよ。」 「はーい。」

「二人きりに・・・なっちゃったね・・・」

孝之「う・・・うん(照れ)」

「こ・・・これから・・・どうする(焦)」

孝之「ど、ど、どうしようか?」

静かだった・・・

何も音が聞こえない

世界が二人だけのようだった

言葉は要らない

二人は目をつぶった

次第に距離は縮まっていく

そして、距離は0になった

1分、2分、ずっと距離は0のまま。

孝之「!?」

孝之は「はっ」と気がついて遙から離れた

「ど・・・どうしたの?」

いきなり孝之が遙から離れて遙はしょんぼりしている

孝之「隠しカメラが・・・」

「えっ?」

目の前にはビデオカメラが仕掛けてあった

「これ・・・茜の・・・」

孝之「茜ちゃん!」

そのビデオカメラは、地域の水泳大会に参加し、優勝した時にもらったものだった

孝之「・・・・」

「・・・・」

孝之「って・・・いうか・・・怖え・・・【もっとすごいことしてたらどうするつもりだったんだ?】」

「とりあえず、移動する?」

孝之「まあ・・・ほかの部屋にはないだろうし・・・」

孝之「リビングは?」

「じゃあ、リビングでくつろごっか。」

たしか、ここは、遙父との初対面の時、肩に腕を組まれて、その後、遙と並んで座らされたところだ

あのころが懐かしい

あのころからずっと俺たちは一緒にいる

オレは遙とずっと一緒にいることを望んでいる

遙も望んでくれている

幸せだ・・・

孝之「遙・・・」

真剣な顔で遙のことを見つめてみた

「た・・・孝之くん(照)」

照れた表情もかわいいなと孝之は思いながら、幸せを感じていた

そして、二人はまた目をつぶる

2度ほど大変な目にあったが、今度はゆっくりとキスできそうだ

二人の距離はなくなった

ゆっくりとした時間が流れる

お互い、一緒にいることの居心地のよさを感じ、

幸せを感じている

遙母「あらあら・・・二人とも・・・」

孝之「!?」

「!?」

遙母「あらあら・・・若いこと・・・」

孝之「お母さん!どうしたんですか?」

遙母「ちょっと出かけた後、忘れ物に気づいて戻って・・・、そしたら・・・
   二人きりになったらすぐキスなんて・・・本当にお若いこと・・・」

「ちょ・・・ちょっと・・・・お母さん!」

遙母「まあまあ・・・ラブラブなのはいいことですよ。では、邪魔にならないように退散しますね」

孝之「・・・・(焦)」

「もぅ・・・お母さんまでにも見られた・・・」

孝之「2度あることは・・・3度ある・・・」

「うぅ・・・」

「でも・・・今度こそ・・・大丈夫だよね・・・」

孝之「・・・う・・・うん。そうだな(照)」

「もぅ・・・3回も邪魔されたんだから・・・よしっ、じゃあ、今度はお父さんとお母さんの部屋に・・」

孝之「えっ?」

「孝之くんと・・・二人に・・・なりたいし(照)」

孝之「うっ・・【くぅーっ、かわいいぞ・・・遙。】(照)」

「じゃあ、いこっか。」

「孝之くん・・・」

孝之「遙・・・」

二人は抱き合った

孝之「大好きだ・・・」

「私も・・・」

そして、一旦はなれたあと・・・キスをした・・・

今度はきっと・・・二人きり・・・

遙父「娘をよろしく頼むぞ、鳴海君」

孝之「!?」

「!?」

遙父「はっはっはっ、いきなりの登場ですまなかったね・・・」

孝之「今度は・・・お父さん!」

遙父「いや・・・財布を忘れてしまってね・・・」

「うぅ・・・お父さんまで・・・」

遙父「いやあ・・・ごめん・・・でも・・二人とも幸せそうだったぞ・・・
   鳴海君、これからも娘をよろしく頼むぞ。
   じゃあ、私は買い物に戻るとするよ」

孝之「は・・・はい(焦&照)」

「もぅ・・・」

孝之「今日・・・やっぱり怖え・・・」

「とりあえず、お父さんもお母さんもまた帰ってきたら、今のところに来るだろうし・・・」

孝之「遙の部屋は、まだ仕掛けがあるかもしれないし・・・」

「茜の部屋にいこっか?」

孝之「えっ!?」

「多分、自分に部屋には何も仕掛けてはないと思う。」

孝之【でも・・さすがに・・・茜ちゃんに部屋に入るのは悪い・・・ような・・・】

「キス・・・したいな・・・(照)」

孝之「う・・うん。じゃあ、行こう【くぅーっ、やっぱりかわいいぞ・・・遙。】(照)」

茜ちゃんの部屋は、結構片付いていた

何故か、速瀬の写真がたくさん貼ってある

というか、ずっと前に、速瀬が雑誌にクローズアップされた時の、写真は
2倍拡大コピーされて壁に貼ってある

恐るべき、速瀬量産型・・・

「孝之・・くん・・」

甘えたような口調・・・

それもそうか・・・今までの出来事からして、気分的に甘えたくもなるだろう

というか、実際自分も遙に甘えたい気分だ

お互い、愛し合っている

二人でいる幸せ

ずっと・・・これからも・・・一緒にいたいと、孝之は感じている

孝之「遙・・・大好きだ・・・」

そして、キスをした。

「はいはい・・・ホント・・・ごちそうさまー」

孝之「茜ちゃん!」

「私の部屋に入ってまで、そうやって・・あぁ・・・お熱いですねー」

「!?」

「あっ、照れてる照れてる。お兄ちゃんも・・・すごい照れてる」

「あ、茜!部活は?」

「えっ、今日は本当は、休みだよ♪」

孝之「?」

「まだわかんないの?じゃあ、種明かしするよ。おとうさーん、おかあさーん。種明かしするよー」

孝之&遙「!?」

「さっき、お父さんとお母さんが出かけるっていったのは、あれウソ!
  そんでもって、私が部活に出かけたのもウソ」

「えっ!?」

「というわけで、二人の行動を見させてもらいました!」

「え・・・えっ・・・(焦)?」

遙母「本当に・・・二人ともお若いこと・・・」

遙父「二人になるたびにキスしようとするなんて・・・」

「もぅ・・・お母さん!お父さん!やめてよ!」

孝之「うっ・・・」

「お兄ちゃん。お姉ちゃんの唇はどうでしたか?」

孝之「うるさーい!」

「茜!いいかげんにしなさーい!」

結局・・・今日の出来事は、茜ちゃんが仕掛けた、「涼宮家、ドッキリ大作戦」で、

大成功となってしまった

「みんな・・ひどいよぅ・・・」

遙父「まあ・・・許してくれたまえ・・・でも・・・鳴海君もあそこまでびっくりするとは思わなかったよ」

孝之「・・・」

遙母「よしっ、じゃあ、お詫びに、これから、どこかに出かけて、
   夜は食べてきましょうか。
   鳴海さんも・・・一緒に・・・
   私達家族の一員ですから」

孝之「えっ、いいんですか?」

遙母「いまさら・・遠慮はいらないですよ。」

「だって、もうお兄ちゃん、お姉ちゃんの唇を食べちゃってるぐらいだし♪」

「もぅ!茜!」

「まあまあ・・・」

遙父「よしっ、じゃあ、みんなで出かけるか!」


その人は、すごく怖い思いをしたが・・・

それでも・・・遙の家族に受け入れられていると再確認した時でもあった

遙の家族は仲が良い

疲れることもあるが、とても居心地が良い

そんなところにいられる幸せを感じていた

外は暖かい風が吹いている

その空気の中を、暖かい家族に包まれて、歩いていた

オレの大切な・・・人たち・・・





―――あとがき―――

というわけで、やはり「遙家族モノ」&「事故に遭っていない1章の設定」で書きました
こればっかりですが、やはり得意ジャンルで攻めているということで・・・
やはり、遙家族、強いです。
まず、遙父は、大学教授であるにもかかわらず、20歳になっていない孝之にお酒を勧めたり、
遙母は、何気にかなりテンション高く、
遙父&母はラブラブで、
茜は、孝之と遙のことを邪魔しながら応援していたり・・・

明るくて、仲の良い、遙の家族が最高です
そして、どこまで邪魔されても、それでもキスをしようとする、孝之&遙も最強です
ということで、平和なSS(?)でした。

ちなみに・・・ビデオカメラで撮られたシーンは、次の日に、茜がいきなり再生したという・・・


SSの部屋に戻る     TOPへ戻る