〜6月12日(金曜日)〜


孝之「じゃあ、試してみるか?」

ホラー系の話をされた時、私は、必死に苦手ではないと抵抗した

そうしたら、いきなり孝之がこんなことを言った

速瀬「えっ?」

孝之「詳しい話はまた後で話す。」

それきり、孝之は慎二君のところへ言ってしまった

部活が始まる

排水溝に気をつけろって言われたけど、私怖くないもん

ホラー苦手じゃないもん

今日は満足のいくまで泳ぎたいと先生を説得し、最後まで水泳をやっていた

暗くなる

たいてい学校のプールは排水溝付近は、威力弱いが水を吸い込んでいる

威力が増したわけではないが、暗くなってちょっと怖くなったかもしれない

よしっ、もう暗いし、不気味だし・・・帰るか・・・

着替えてプールを出た

孝之「やっぱり排水溝、怖くなったか?それとももっと別のことで不気味に?」

速瀬「はぁ?なんで私が怖がらないと・・・
   っていうかなんで孝之がここにいるの?」

孝之「まあ、細かいことは気にしない
   後で話すって言ってた話、ほら、試すって話。
   まあもう苦手だって言うのは分かったんだけど・・・」

速瀬「えっ・・・怖くないし・・・」

孝之「じゃあ、決まりだ
   明日、部活休みだろ、というわけで、橘町駅前1時な。」

速瀬「えっ、あっ、ちょっと!なんで?」

孝之「詳しいことはいえない。
   とにかく、明日来いよ、逃げたら怖いもの系ぜんぜんダメっていう
   ように理解するからな」

孝之は走っていってしまった

でもなんで、この時間まで・・・




〜6月13日(土曜日)〜

結局来てしまった

何も知らないが、とりあえず来た

孝之は何のつもりだろうか?

孝之「逃げずによく来たね。」

速瀬「あたりまえじゃない!
   でも、今日はなんなの?」

孝之「まあ、とりあえず、まずはこれだ。」

速瀬「お化け屋敷?」

孝之「橘町の【鳥ビル】の中にある、すごい怖いというお化け屋敷だ」

速瀬「えっ・・・」

孝之「怖いのか?」

速瀬「怖くない!」

速瀬「ここって入場にお金こんなにかかるんだ?」

孝之「まあな、ほら、入場チケット。」

速瀬「お金は?」

孝之「俺が連れまわしてるんだから、いいよ。
   そのかわり、このお化け屋敷のクリア条件は
   一回も悲鳴を上げないこと
   それと、しがみついたり、走ったりしないこと」

速瀬「・・・」

孝之「ダメか?」

速瀬「そんなことない!」

孝之「ほら、速瀬!そんなにしがみつくな!つーか引っ張るな!」

速瀬「うぅっ・・・」

孝之「苦手なんだろ?怖いの。」

速瀬「そんなことない!」

孝之「だって、さっきしがみついたし・・・すごい悲鳴も上げてたし・・・」

速瀬「あれは・・・うん・・・」

孝之「認めちゃえばすぐだぞ。」

速瀬「そんなことない!」

孝之「じゃあ、次に行くしかないか?」

速瀬「・・・」

孝之「これ。」

速瀬「映画のチケット?」

孝之「そう、先週から公開してる、【怨念】とかいう映画
   CMとかで見たことあるだろ。すごく怖いってうわさのやつ」

速瀬「これ見るの?」

孝之「怖いのか?」

速瀬「いや、怖くない!」

孝之「じゃあ決まりな。
   条件は、1回も悲鳴を上げないこと
   しがみつかないこと」

速瀬「わかった!!」

速瀬「キャーーー」

孝之「ほら、速瀬、周りの迷惑になるから静かに。」

速瀬「だって・・・」

孝之「やっぱり怖いの苦手だろ?
   悲鳴出してる時点で、もうそうだろうけど」

速瀬「こわく・・・」

孝之「ない?」

速瀬「怖い・・・

孝之「まあ、いいよ。俺もいじめすぎた、ごめん。」

速瀬「孝之の手、握ってていい・・?」

孝之「・・・ほら、怖いならつかまってろ・・・」

速瀬「うん・・・」

速瀬「うう・・・

孝之「ほら、映画は終わった、だから、とりあえずどこかで休もうぜ。」

速瀬「うん・・・

孝之に連れられて、ファーストフード店に入った

気分的に悪かったが、店の冷房でちょっとはおちついた」

孝之「こんなに怖いのに弱いとは・・・」

速瀬「・・・」

孝之「ちょっとやりすぎたな、ごめんな・・・」

速瀬「・・・」

孝之に怒っているのではなく、弱い自分に失望していた

それと、明日から、孝之から絶対怖いの嫌いなことバカにされるんだろうな・・・

孝之「まあ、しょうがないよ。だって、人それぞれだし、
   ホラーが怖いっていうこと、別に悪いって事じゃないし」

速瀬「・・・?」

孝之「本当は悪気はなかったんだけどな・・・」

速瀬「・・・?」

孝之「ただ、ホラーって言うのはこじつけで・・・
   どうでもよかったんだけど?」

速瀬「えっ?」

孝之「速瀬さ、いつも水泳の記録、記録って悩んでいるだろ。
   最近記録も伸びないみたいだし
   なんかずっと落ち込んでいるみたいだった
   だからさ、気晴らしになるかなって・・・
   ぱーっとできるように今日の休みを狙って誘おうとおもったんだけど
   こじ付けがないとどうもうまくいかなくて・・・」

速瀬「そうなの?」

孝之「ちょっとは気晴らしになっただろ、
   ちょっといじめすぎたのはわるかったけど、
   でも、水泳のことなんて忘れて、楽しめたというか、
   ぱーっと出来ただろ?」

速瀬「うん・・・」

孝之「ならいいよ。よしっ、食べ終わったし帰るか?」

速瀬「そうだね。」

私達は並んで歩いてた

今日は正直、楽しかった

そして、孝之はただ私のことをいじめて楽しんでいるのかと思っていたが、

私のことを考えていてくれたんだ・・・

私のために、昨日だって遅くまで残って、それで、私を誘って・・・

ただ、誘う時に「水泳のことを忘れて」なんていわれたら
こんなに楽しめなかったと想う
速瀬「ありがと。」

孝之「えっ、なんていったんだ?」

速瀬「聞こえてるでしょ」

孝之「・・・」

速瀬「ありがとっていったの!」

そうだよね・・・

学校にいて何か色々なことをしゃべっていてもすぐ水泳のことを思い浮かべてしまう

だから、孝之は私のことを思ってからかったり、
最近の話は、水泳のこととは離れていることばかりだった
目に見えるほど悩んでたんだ・・・

孝之「ほら、速瀬聞いてたか?」

速瀬「えっ、聞いてなかった。」

孝之「何か考え事か?
   まあいいや、じゃあもう一回言う
   明日からがんばれよ!」

速瀬「わかってるわよ!」


孝之のことを色々と知っていたが、また意外な一面に気づいた

いつもは、面白いことばかり言ってて、バカやれる友達で・・・

でも、すごく優しいということに気づいた


孝之・・・

ありがとう・・・

そして、大好き・・・



―――あとがき―――

一応IF話です
怖いものが苦手の水月ということで、
「本当は怖い話が苦手」という話は、7月6日・7月9日に話されたものですが、
とりあえずそれ以前に話されていたという設定で話を進めました

水月が孝之を好きになった理由というようなかんじです

※この話は君望ナッキーさんのキリバンリクエストとして製作されました


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