〜8月26日〜

その日は慎二から電話があった

写真が出来たからそれを渡すというのだ

明日は遙とのデート

ただ、早く写真を渡したいというのもあり、明日受け取ることにした

そうだ!

橘町で写真を受け取るんだから・・・

欅町待ち合わせにしておくか

どうせ俺のことだ

降りるのが面倒だなどと言っているに決まっている

そうと決めたら電話だ

ピッピッピッ・・・

トゥルルルル

トゥルルルル

遙父「はい、涼宮です」

孝之「あっ、お父さん、こんばんは・・・」

遙父「おぉ・・・鳴海君か。
   はいはい、今変わりますよ」

茜「お兄ちゃん!かわったよ☆」

孝之「って、何で茜ちゃんなんだ!
   遙に代わってくれ。」

茜「あーっ!何気に今傷ついた・・・」

孝之「ほら、遙と明日のことについて話があるんだから・・・」

茜「えっ、もしかして急にドタキャンとか?
  そんなんだったら許さないからね!」

孝之「そんなんじゃない、ちょっと待ち合わせ場所のことだ」

茜「あーよかった
  あっお姉ちゃんが来た
  じゃあ、変わってあげるからね
  お兄ちゃんの愛しのお姉ちゃんに・・・」

孝之「!?(照)」

茜「あっ!電話の向こう側で照れ照るでしょ!
  かわいー。」

遙「あっ、孝之くん。
  茜がなんか色々としゃべってたみたいだけど・・・」

孝之「まあ、色々とな・・・
   大丈夫だ・・・
   でっ、明日のことだけど、
   慎二が、予備校の合間をぬって写真をくれるって言うから
   色々と考えたんだけど、欅町駅前に待ち合わせに変えられる
   その関係で、待ち合わせ時間30分遅らせてもいい?」

遙「うん。大丈夫だよ☆」

孝之「よかった。」

それから30分ぐらい色々と話した。

そして、勉強を二時間ぐらいした後

明日に備えて寝ることにした



〜8月27日〜

慎二から写真を受け取った

時計を見た

孝之「まだぜんぜん時間あるなぁ・・・」

遙との待ち合わせの時間を30分遅らせたのはいいのだが、

遅らせなくても良かったかもしれない

慎二も慎二ですごいよ・・・

外まで来るぐらいだから、「ちょっとゲーセン行こうぜ」というのかと思ったが

まさかすぐ帰って予備校で授業とは・・・

やるなぁ・・・

というわけで、目の前に本屋があったので入った

慎二もがんばっていることだし、参考書でも見ておくか・・・

新学期早々テストやるだろうし・・・

いやぁ・・・二ヶ月前の俺では考えられないね・・・

参考書を読むのに没頭してしまうなんて・・・

孝之「2時か・・・」

【マヤウルのおくりもの】ないかなぁ?

そもそもこの本屋絵本コーナー自体が狭いので、ないかもしれないが・・・

でも一応探してみるか・・・

孝之「えっ、これだよな?」

孝之の目には映っていた

あの時見たあの本が・・・

思い出がよみがえる

あの日は遙に逃げられてしまった

そして絵本にも逃げられてしまった(ほかの人に買われてしまった)

その本が俺の目の前に・・・

孝之「やった!」

思わず叫んでしまい、店の人や中にいた何人かの客ににらまれた

とりあえず、今逃すとチャンスがないかもしれないので、すぐに会計をした

本を買って橘町駅へ

時間は2時13分

2時17分発の電車に乗れば2時27分に欅町へつく

切符を買って、電車に乗った

そういえば遙は髪切ったって言ってたっけ・・・

どんな感じかな?

かわいすぎてそのまま固まっちゃったらどうしよう?

改札をくぐる

と、同時に遙を見つける&遙が俺のことを見つける

遙「あっ、孝之く〜ん☆」

思わず頬がほころぶ

茜ちゃんが言ったとおりだ

髪を切って・・・きれいにきまっていて・・・

孝之「今日もまた1段ときれいに・・・
   髪もすごいきれい」

遙「・・・(照)えっ、本当にそう思う?」

孝之「うん、すごいきれい。」

よかった。もし茜ちゃんに言われてなくても自分でも気づけた

何気なく嬉しい

さっきの言葉も本心で出た言葉だ

遙「よかった(照)だって、茜が、似合ってない似合ってないっていうんだもん・・・(泣)」

孝之「そんなことない!すごい似合ってるし。
   すごいかわいい。」

遙「・・・(照)」

孝之「あっ、そうだ。
   これ開けてみて。」

遙「えっ、なあに?」

孝之「ほら、いいから開けてみろって。」

遙「あっ。」

遙はすごくびっくりしたような、そして嬉しそうな表情をした

俺たちの出会いの本

遙「ありがとう・・・孝之くん。」

孝之「あっ、ほら・・・遙も、感動してなきそうになるなよ・・・」

遙「だって・・・(嬉)」

孝之「あっ、もう表情が喜びの表情に変わってるぞ。」

遙「だって・・・本当に嬉しいんだもん☆」

俺たちは絵本作品展の行われている会場に向かって歩き出していた

手をつないで、手を少し振りながら・・・

時々お互いの顔を見つめて、お互い照れる

これほど幸せな時はないだろう

俺は大好きな遙の笑顔を独り占めしているのだ

それほど嬉しいことはない

そして、遙も同じように思っていてくれている

これから新学期が始まっても、卒業してもずっと遙と一緒にいたい

遙とずっと一緒に(人生を)歩いていきたいんだ

会場に着いた

想像していたよりも規模がでかい

正直、小学校の体育館ぐらいの広さのところかと思っていたが、

どっかの競技場ぐらいの広さがある

入り口で入場料を払い(もちろん遙の分も俺のおごり)
MAPを見て歩き出した

絵本が展示してあったり、その隣にそのほんの作者がいたりする

マヤウルのおくりものの作者は来ていなかったが

俺が小さいころ読んだ「1億万回死んだ犬」の作者も作者も来ていた

ほかにも、いろいろな絵本があり、

俺も結構見入ってしまった

客層は結構低年齢かと思ったが、20代ぐらいの人が1番多かったと思う

俺たちみたいにカップルで来ている人も多かった

同じクラスで、【前川】がいたのをみたとき、

とりあえずその場は人ごみに隠れた。

スポーツ命の【前川】がいるなんて驚きだった

1時間半ぐらい絵本作品展をみて、とりあえず会場を出た

遙が絵本を好きな理由が分かるようなきがする

遙「これからどうしよっか?」

孝之「前にある喫茶店で少し休む?」

遙「そうだね」

結構暑いので、人気の「コーヒーフロート」という、

コーヒーのかき氷みたいなやつを1つ注文し、

1つのものを二人で食べ合った

もちろん孝之の持っているスプーンで遙が、
遙の持っているスプーンで孝之が食べた

孝之はふと思いついて、遙のことをずっとみつめてみた

遙は見る見るうちに照れて手に持っていたスプーンからコーヒーフロートをこぼしてしまう

遙「あっ、こぼしちゃった・・・
  もぅ・・・孝之くんが見つめるから・・・」

孝之「ゴメン。ゴメン」

遙「そんな孝之くんには・・・」

遙がこっちへ来た

何をするんだろう

遙が正面に立った

そして、キス・・・

孝之「!?(照)」

遙「もぅ・・・孝之くんがいたずらするから・・・おかえしだよ☆」

不意打ちに孝之はさっきの遙以上に照れてしまう

なぜか喫茶店の店主は、サービスとしてもう一つコーヒーフロートを持ってきた

「ガンバレよ、若者よ。これは俺からの応援だ」といっていた

そのコーヒーフロートを食べているとき、遙が見つめてくる

で、俺もかなり照れてしまう

結局そのまま見つめあいになって、

お互い何度も照れてしまう

そこを喫茶店の店主はほほえましい光景だと思いながら見ていた

一応お礼を言って、喫茶店を出る

店主「どんなに壁にぶち当たっても、二人でずっと乗り越えて生きていくんだよ!」

店主の最後の一言がとても心に残った

孝之「じゃあ、遙のうちに行くか?」

遙「うん。そうだ、今日ね、水月の誕生日なんだよぉ」

孝之「あっ、今日なんだ。じゃあ、もうパーティーとかそういう予定きまってるの?」

遙「うん。茜もやりたいっていってるから、うちでやることにしたの」

孝之「まあ、誕生日だし、なんか買ってかないとな。」

遙「そうだね。じゃあ橘町駅前の大型スーパーで何か探してみよっか☆」

孝之「これでいいんじゃないか?」

孝之は、通販番組でおなじみの「アブ○ロニック」の類似品を持っている

遙「水月それ持ってるよ。」

持っているのか?

孝之「じゃあこれは」

今度は「1週間で3Kg痩せる」といういかにも怪しいものを持っている

遙「水月に怒られるよぉ」

とりあえずスポーツ店を後にして次に食品売り場に向かった

孝之「じゃあこんなのは?」

孝之は今度は「名産!ナスの漬物」というのを持っている

遙「・・・」

遙はあきれていた

それから、いろいろとまわった

孝之もぼけるのに疲れたらしく、最後はまじめに

「じゃあTシャツなんかはどうだ?」といい、遙も 「いいね☆」となり、結局プレゼントは決まった

孝之「よしっ、じゃあ速瀬をかなり驚かせてやろうぜ」

遙「うん。」

孝之「ちょっと1度だけ家に帰るよ」

遙「どうしたの?」

孝之「ちょっとね。」

遙「・・・?」

孝之は一度自分の家に行き、リュックサックみたいな入れ物に何かを詰めて出てきた

孝之「おまたせ。」

遙「何入れてきたの?」

孝之「それはあとでね。
   お楽しみ」

遙「もぅ・・・教えてよ☆」

遙は孝之をちょっと小突く

このかわいさに孝之は言ってしまいそうになったが、言いかけたところで止めて、

孝之「ほらほら、楽しみはあとにとっておいたほうがいいだろ」

遙「・・・・(むー)」

遙は少し頬を膨らましていた

その10秒後、すぐ手をつなぐ

そして絵本作品展に行ったときのように手を前後に振りながら歩く

遙のうちに着いた

遙「ただいまー☆」

茜「あっ、お帰りお姉ちゃん。 あと、お兄ちゃんお帰り。」

孝之「茜ちゃん。俺はここに住んでるんじゃないんだから
   お帰りはないと思うだけど・・・」

茜「へへーん、そんなこと言っちゃって・・・」

遙「・・・?」

孝之「・・・(ギクッ)」

茜「バレバレだよお兄ちゃん。今日うちに泊まるでしょ?」

遙「!?(ビックリ)」

孝之「な、なんでそんなこというのかなぁ?(焦)」

茜「だって、お兄ちゃんが背中のリュックに入れてるの
  着替えの替えとか、歯ブラシとかそんなのでしょ?
  泊まる気すっごくあるじゃん
  もう言い逃れで着ないよ。お兄ちゃん☆」

孝之「ば、ばれちゃしょうがない・・・
   楽しみはもっとあとにとっておこうとおもったのに」

遙「孝之くん。泊まっていくの?」

孝之「そうだ」

遙「・・・(照&嬉)」

茜「ほら、お姉ちゃんも、そんな顔赤くしてないで
  あっ、もしかして、夜中とか私が寝た後いちゃいちゃする気でしょ?」

遙「・・・(超焦)」

孝之「するかー!」

茜「どうかなぁ?
  【遙。大好きだ】【私もだよ。孝之くん】なんていっちゃったりして
  いい雰囲気になっちゃって・・・」

孝之「茜ちゃん!!」

遙「茜!」

茜「いいんだよ、隠さなくても

  お姉ちゃんとお兄ちゃんがすんごいラブラブなことも悪いわけじゃないし
  ほら、ここでキスしてもいいんだよ」

遙「・・・(照&泣)」

遙父「ほらほら、茜も、二人をいじめるのはやめなさい
   あと、鳴海君。今日泊まっていくそうだな」

孝之「だめですか?」

遙父「いや、むしろこれからもどんどん泊まりにきてくれ
   そのほうが茜も楽しそうだし
   遙も幸せそうだからな
   まあ、それは鳴海君がよければの話だが
   いっそ、同棲してしまったらどうだ」

孝之「ど、ど、同棲ですか?(焦)」

遙「そ、そうだよ、お父さん、な、何言ってるの?(大焦)」

茜「二人ともすんごい照れてる。」

遙父「はっはっはっ、まあ二人とも若いんだから焦らなくてもいい。
   でもたくさん悩んで幸せになるほうを選んでくれ」

遙母「はいはい・・・そろそろパーティー料理も出来ますよ
   速瀬さんやそのお友達をそろそろよんだらどうですか?」

孝之「そうだね。じゃあまず慎二から呼ぶか

   それで、慎二を先に来させて作戦とか発表した後速瀬を呼ぶか」

遙「そうだね。じゃあ、孝之くん、慎二君のうちの電話番号知ってるよね
  電話は私の部屋に子機があるからそれ使って」

茜「あっ、お兄ちゃんお姉ちゃんの部屋にひとりで行くの?
  お姉ちゃんのお部屋で、【遙の生活がわかっていい】とか
  【遙と同じかおりがする】なんて思っちゃったりするでしょ」

孝之「わけないだろ!!(実際、前にそんな風に感じたことが1度)」

とりあえず遙の部屋に入った

電話はすぐに見つけられる

その側に俺の写真が数枚おいてある

俺の部屋にも遙の写真は数枚ある

1枚は茜ちゃんからもらった、遙の子供のころの写真

そしてもう1枚も茜ちゃんからだが、

「遙の寝ているところの写真」なため、お兄ちゃんにだけはプレミア付くとか言って

ペットボトルジュースを二本おごらされた

まあ、遙の写真(それも寝顔)が手に入るなら安いものだ

かわいさに何度ドキドキしたものか・・・

あとは、公園で二人で撮った写真

「写真お願いします」と人に頼んだのだが

その人はあまりカメラの扱いに慣れていないようで

少しだけぼやけていた

でも、ちゃんと映っている

最後の1枚は、伝説の「長靴遙」の写真である

この写真は貴重で、

世界に1枚しか存在しない

カメラ界での超有名なお方である速瀬氏により撮影されたもので

オークションなどでは高値で取引されている
速瀬がまえに「幸せになりなさいよ」ってくれた写真だ

もちろん、「寝ているところの写真」「長靴遙」の写真の存在を遙は知らない

見せて、驚いて照れる顔を見てみたいが、

それは結婚する時にでも・・・(←ちゃっかりもう考えてる)

写真から目を離し、俺は電話をとった

孝之「慎二か?」

慎二「おー孝之か。電話番号変えたのか?
   はじめてみる番号だけど」

孝之「いや、今日は遙のうちからかけているんだ
   今日は、速瀬の誕生日だって知ってるか?」

慎二「えっ、そうなのか?
   で、じゃあ、涼宮のうちでパーティーを決行すると。」

孝之「そうだ。ただ、詳細とかは速瀬には言ってないから
   慎二も言うなよ。」

慎二「わかってるよ。
   孝之が考えることって結構分かるからな」

孝之「そうか。じゃあ、速瀬に会わないようにするために速めにきてくれ」

慎二「言っておくけど、俺は今予備校だからな。
   さっき会ったとき、朝から晩まで予備校だって言ったよな」

あっ、そうだった

遙も俺も忘れていたとは

慎二「まあ、いいよ。とりあえず。今日ぐらいはどうしてもはずせない用事がある
   っていえば多分抜けられると思うから
   それだと、7時過ぎには着くと思うから」

孝之「じゃあ、速瀬には7時半ごろって伝えておくよ」

慎二「時間は大丈夫か?」

孝之「俺はまあ、大丈夫だから
   速瀬がよければ大丈夫だよ」

慎二「わかった。じゃあ1分1秒でも早く行くために
   今は電話切るわ。じゃあな孝之」

孝之「じゃあな」

ふぅ・・・忘れてた

慎二が予備校だったってこと

遙の部屋から出て、リビングへ向かった

時計を見ると6時半

慎二が来るまでだいたい4・50分というところか

孝之「なんかね、慎二は、今予備校にいるんだって
   そんで、本当は今日は夜までだったんだけど、
   今から【用事がある】っていって来てくれるって
   慎二が来る時間が7時杉だって言ってたから
   速瀬には7時半って伝えておいて」

遙「うん☆わかった」

遙は一度自分の部屋に行く

そして、2・3分してからすぐ戻ってきた

速瀬にはこういったらしい

【水月ぃ。7時半ごろうちにこれる?
 なんか茜が水泳について聞きたいことがあるんだって】と。

茜ちゃんがまた孝之をからかって
孝之が照れて茜ちゃんが悪魔笑い(にやりと)して、時間が過ぎていく

そして、7時を過ぎた

ピンポーン

慎二だ。

遙母「あらあら、平君ですか。いらっしゃい」

慎二「あっ、おじゃまします」

孝之「おお、慎二。よく来てくれた。感動した!」

慎二「大げさだな孝之。まあいいや
   で、どうするんだ?」

孝之「速瀬は7時半ごろ来る
   あくまでも速瀬には誕生会のことは伝えてない
   【茜ちゃんが水泳のことで聞きたいことがある】といってある
   だから、速瀬が入ってきた瞬間
   【ハッピーバースデー速瀬】とともにクラッカーを・・・」

慎二にはクラッカーが手渡された

このクラッカーは今日駅前の大型スーパーで買ってきたもので

12個入りを買ってきたため、一人2個だ

茜ちゃんは憧れの先輩が来るということでワクワクしている

遙のお父さん・お母さんも俺の作戦に乗る気だ

若いころはこういうのスキだったらしい

慎二は少しこの雰囲気にあきれている

遙は玄関元で待っている

これも作戦だ

今回のMission of Hayaseを説明しよう

1.遙が玄関元で速瀬を待っている
2.速瀬が着たらこっちへ着てとリビングへ呼び寄せる
3.そのとき速瀬より二秒ほど早くリビングへ遙が入る
4.その二秒の間に遙はクラッカーを持って準備
5.速瀬が入ってきた瞬間に【ハッピーバースデー速瀬】と言いクラッカーを鳴らす
6.そしてプレゼントを渡す


7時半をまわった

ピンポーン

結構速瀬って時間厳守だな

遙「あっ、水月ぃ。いらっしゃい」

水月「あっ、遙。茜が聞きたいことあるっていってたけど」

遙「うん☆とりあえず茜は奥で待ってるから
  あがって。」

水月「うん」

遙はリビングの方向に歩いてくる

遙「こっちにいるよ☆」

作戦通り

そして遙は一足先にこっちに入ってきた

もちろんドアを開けた時に俺たちの姿や、テーブルの上のものが見えないようにしてある

遙はすぐクラッカーを持った

水月がこの部屋のドアに手をかけ「茜ー聞きたいことってなに?」
といいながら、入ってきた瞬間

全員【ハッピーバースデー】


水月「・・・えっ?」

茜「誕生日おめでとうございます。水月先輩!」

遙「おめでとう。水月ぃ」

慎二「速瀬。誕生日おめでとうな」

孝之「速瀬。おめでとう。ほら、そこに突っ立ってないで、
   今日のメインのお客さん
   こっちへいらっしゃい」

孝之は速瀬を特等席によびよせる

水月「えっ、えっ、・・・?」

茜「ほら水月先輩。こっちへ☆」

水月は状況が把握できていないような感じでとりあえず特等席のところへ歩いていく

そして、座ってパーティー用の食べ物がたくさんあるのをみて、
やっと状況が把握できたみたいだ

水月「みんな・・・(感激泣)」

孝之「あっ、速瀬泣きそうだぞ」

水月「うるさいわね・・・(怒るような口調だが、感激しているためすごく優しい口調に)」

遙「水月ぃ。これ。」

水月「・・・?」

遙「あけてみて?」

水月「これ・・・くれるの?」

遙「うん☆誕生日プレゼントだよぉ」

水月は包みを開けて中を見る

これは、さっき駅前ので大型スーパーで遙と孝之が悩みに悩んでかったものだ

結構ちゃんとしたもので、柄も奇抜ではない。

ただ、ちゃんと「速瀬がすきそうな絵」というものが印刷されている

見た瞬間速瀬は気に入ったみたいだ

速瀬は【この絵かわいーー! 遙。ありがと】

といっていた。

速瀬にもそういうところがあったんだなと、ちょっとビックリした

慎二「じゃあ次は俺からだ」

水月「えっ、慎二君からも何かあるの?」

慎二「うん・・・まあちっぽけなものだけど、」

水月は袋を開ける

水月「あっ、なんかすごい・・・」

水泳をテーマにした携帯ストラップ

携帯ストラップの帯みたいなものに、スイマーのようなミニチュアがついていて

ねじを巻くと、そのスイマーのミニチュアがクロールのようなものを始める

このミニチュアは取り外し可能で、

これを水に浮かべてクロールをさせるとちゃんと泳ぎだすという機能付だ

まあ、お風呂に持っていって泳がせるなんて事はしないだろうが・・・

水月「慎二君、ありがと。」

茜「水月先輩。じゃあこれも受け取ってください」

今度は茜ちゃんからだ

水月「なんだろ?(ワクワク)」

茜「水月先輩のために奮発しましたよ」

速瀬は包みを開けた

水月・孝之・遙「えっ?」

水月以外にも俺も遙もビックリしてしまった

それもそうだ

茜ちゃんのお小遣いはいくらなのか知らないが

中学3年生の茜ちゃんにとってはすごく高いものだ

リラクゼーションライトというもので、暗い中でこのライトをつけていると
とてもリラックスできるというものだ

毎日水泳の練習で疲れて帰る速瀬を少しでもリラックスさせたいという茜ちゃんの想いだが
このやつ、確か、17000円ぐらいしたとおもう

水月「えっ、茜。えっ、本当にいいの?
   こんな高いもの受け取ったら悪いよ・・・
   茜が使ってよ」

茜「水月先輩が使ってください。
  水月先輩が使ってくれなかったらこのために使ったお金が無駄になってしまいます
  水月先輩が受け取ってくれないと・・・(ウルウル)」

水月「わ、わかったよ茜。うけとるね。ありがと。茜」

茜「いっぱい使ってくださいね☆」

孝之「よしっ、プレゼントタイムも終わったし、じゃあ本格的にパーティーを始めますか。」

オードブルセットに入っていそうな料理が遙のお母さんの手作りで目の前に並んでいる

どれもおいしそうだ

水月はまだ感動が取れないみたいだ

料理を食べる

「食事の時は黙って食え」という人がいるが

みんなで楽しく話しながら食べるのは悪くない、むしろそっちのほうがいい

楽しい楽しい時間は過ぎていく

そして18本のろうそくが立ったケーキが出た

速瀬は一息で18本のろうそくを消した

すごい肺活量だとバカにしたら

「ぶっ飛ばすわよ!」といわれた

それでも速瀬はずっと笑顔だった

ケーキを8等分し、あまった一切れは速瀬のもとに

ケーキを食べ終わって、時計を見たらもう9時を過ぎていた

本当に楽しい時間はすぐに過ぎていってしまうものだ

孝之「じゃあ、 最後 ( クライマックス ) はあの丘に行くか?」

これも遙と孝之の作戦である

慎二には伝えてなかった。

そして茜ちゃんは丘の存在自体を知らなかった

水月「・・・?」

とりあえず速瀬、慎二、茜ちゃんは着いてくる

結構長い坂があったりだったが、みんな着いてきた

孝之「ほら、こっから向こうを見てみろよ」

速瀬にそうやって言った

水月「えっ、あっ・・・・(感動)」

ちょっと遠いが、向こうで祭りのようなものが行われているらしく

その光景がとてもきれいに見えた

孝之「ちょうど、今日隣町で夏流しっていう祭りが行われているらしい
   まあ、夏流しって、つまり、夏が終わるってことだ。
   長かったようで短かった夏も終わってしまう
   少し寂しい気分になるけどな。」

水月「・・・」

孝之「ほら・・・また来年ちゃんと夏が来るようにって祈る祭り
   でもあるみたいだから
   ちゃんと夏を送ってあげないと」

もうすぐ夏は終わる

俺にとってもそれは悲しいことだったかもしれない

この夏はとても幸せだった

遙とであった夏

遙とすごした夏

思い出がたくさんある

そんな季節が終わってしまう

夏が終わる時って切なさがある

でも、今の俺にはその夏の終わりを受け入れることが出来た

茜ちゃんも水月先輩の隣に行って夏流しの様子を見ている


慎二「じゃあ、今日は5人で写真を撮るか」

遙「そうだね☆」

孝之「おっ、慎二はまたいいところもっていくな。
   カメラを持っているなんて用意周到だな」

水月「よしっ、じゃあ、仲間が加わって5人ということでまた写真をとろっか。
   ほら、じゃあ茜も並んで。」

茜「・・・?」

慎二「じゃあ、速瀬はここ、涼宮はここ、えーっと、あとなんて呼べばいいかな?」

茜「あっ、「茜ちゃん」でいいですよ」

慎二「じゃあ、茜ちゃんはここ」

孝之「やっぱり分かってるな慎二。」

慎二「孝之がどういう配置にしたいのかはすぐわかるよ」

慎二はカメラのシャッターを押す

慎二は急いで定位置に戻ってくる

パシャ

また一つ思い出が出来た

遙「仲間記念日2・・・」

孝之「は、遙!(焦)」

茜「なにそれ・・・?お姉ちゃん、あっ、なんかおにいちゃん焦ってる」

水月「それなんなの?(ニヤリ)」

茜「お姉ちゃん。言ってみて(ニヤリ)」

遙「えっっとねぇ・・・まず8月6日が・・・モガッ」

孝之「はいはい・・・ほら、もう夜遅いし、じゃあ帰ろうぜ」

孝之は遙を連れて走って逃げてしまう

茜「あっ!!逃げたー」

孝之「とりあえず、みんなーじゃーなー」

孝之「よしっ、速瀬に追いつかれずに逃げ切ったぞ」

遙「でも、水月、誕生日でもらったもの、まだここにおいてあるよ」

孝之は忘れていた

水月は、プレゼントははまだ遙のうちにおいてある

つまり、一度速瀬は遙のうちに来るということだ

水月「はいはい、残念でしたね・・・じゃあ、さっきのなんだったか言ってもらおうかな」

孝之「えっっと・・・あっ!ほら速瀬、もう時間が遅いぞ!
   ほら帰らないとやばいんじゃないか!」

水月「あっ・・・本当だ
   じゃあそろそろ帰ろうかな」

孝之はほっとしていたが、実はこの帰ろうかなというのは別の追求を作り出していた

水月「あれ、こんな時間だって言うのに孝之は帰ろうとしないの?
   あっ、もしかして遙のうちに泊まるとか?」

孝之「何を言っているんだね?速瀬君!」

茜「お兄ちゃん、やばいです。もうほとんど言い返せていません」

水月「さて、弁明してもらいましょうかお兄ちゃん。」

孝之「バッバカ!速瀬はその呼び方やめろ!」

結局孝之はあきらめて「今日は遙のうちに泊まる」ということを自らの口で言った

その後、速瀬は帰ったが、それから茜ちゃんの追求が始まる

時間は過ぎていき、夜は更けていく

孝之はふと時計を見た

12時を過ぎていた

8月27日は過ぎ、いつの間にか28日になっていた



―――あとがき―――

結構重いテーマなため一番の長編となってしまいました
というわけで、あらためて、この作品は「たくと」さんのリクエストSSということで作られました
ファンディスクの発売が決まり、もうすぐこの日の出来事は明らかになります
さすがに 公式 ( アージュ ) には勝てないのですが、たっちん's SIDEとして作ってみました

まず、なぜ集合場所を変えたかというと、
集合場所を変えない限り、展開が変わらないからです
時間だけを遅らせたとしても、遙の場合20分とか30分早く来てしまい・・・
というようになりかねないので
欅町に待ち合わせをかえました
そして、じゃあなぜ集合場所を変えたのにもかかわらず、時間も変えたかということです
それは、水月に途中で会ってしまうのかどうかということです
時間を遅らせることで、
この作品のように「本屋で立ち読み」というような少しの暇つぶしをすることとなります
あの時水月に会ったのは単なる偶然なため、時間を遅らせれば会わなかったかもしれないと思われます
なぜあってはならないのでしょうか?
それは二つの理由があります
1.後の誕生日パーティーのため

これは、あとの展開となってますが、誕生日パーティーを開く上で、1度会ってしまった時と
合わなかったときの展開場合、合わなかったときの展開のほうがいいと思われたからです

2.指輪の存在

孝之ははっきりと自覚していなかったかもしれませんが
水月は孝之に指輪を買ってもらい、左手薬指にはめました
つまり、孝之と水月を繋いでしまったということになります
繋いでしまうことで、何かの歯車が狂いだしてしまいます
歯車が狂ってしまうと何が起こるかわかりません
というわけで、このイベントは本屋での立ち読みによってなくなりました

それと、この作品の2つめのメインテーマは水月の誕生日です
公式 ( アージュ ) の場合、こんな悲しい誕生日なんてかわいそうだと思うぐらいです。
これでは水月が本当にかわいそうです
というわけで、誕生日会を開くことによってとても明るい誕生日にしてみました

最後に、仲間記念日2という言葉についてです
4人の仲間+茜ちゃんで5人となりました
じゃあ、慎二と茜の接点は何でしょうか
接点というものは、遙の妹であるということしかありません
しかし、接点なんてどうでもいいかもしれません
仲間であることに理由なんて要らないのです
別に「接点がないから無理」なんてことはないのです


最後に・・・これを書いているうえで、
今まで以上に「アージュ」のシナリオの出来のよさに感動しました
ファンディスクでは、どのような展開になるのか
それはあと12日で明らかになりますかね。



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