ここに悩める少女がいた
鳴海孝之に恋をしているのだが、話をする勇気すらなかった
水月にはたくさん相談に乗ってもらい、そしてアドバイスをたくさんもらっている
でも、自分から動き出すことは性格上、無理に近かった
ただ、それではいけないと感じ始めて、ある賭けをすることにした
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(ここから、遙視点)
「遙ぁ、そろそろ受験シーズンも始まるし、自分の気持ちはっきりさせたら?」
水月がそう言ってくる
その意欲がないわけではない
その自信がないのだ
水月や茜は私のことをかわいいといってくれる
周りからもひそかに思われているということも聞かされる
でも、私には自信がなかった
そして月日は流れていくばかり
そしてある日、私は本屋に入った
いつも探しているマヤウルのおくりものを見つけるために
ただ、今回の目的は少しだけ違った
「もしマヤウルのおくりものがあったら、水月に頼んで、孝之くんとお友達になるんだ」
その決意は固かった
まあ、ないと思ったからだろう
「えっ、何でこんな時にあるのよぉ?」
遙にとって、このときだけはあることを望んでいなかったらしい
そして、遙はもう一度、賭けをすることにする
とても確率が低い賭け
「もし、孝之くんが後ろにいたら1週間以内に告白するんだ」
もし、いたのならば、神様かだれかが、私と鳴海君を出会わせたいのだろう
「えっ・・・」
あの日以来、「マヤウルのおくりもの」が、勇気をくれる「神様の贈り物」と感じるようになった