〜8月26日 午前8時17分〜

健康な朝起きだ

いや、平日としては遅いほうだが、おれとしてはこの生活は「健康生活時間」ということになっている

おれがだれた生活をしていた時代(高校2年の夏休みとか)は、朝(?)起きるのが午後1・2時が当たり前だった

で、夜寝るのが夜の3〜5時と、昼夜逆転ではなく、ずれ込んだ形の生活となった

しかし、最近は水月の練習に同行したり、デートに行ったりするため、夜0時に寝て8時半ぐらいに起きる

この生活を続けている

炎天下の中寝ておかないと体力が持たないためだ

で、今日も普段どおりに起きる

今日は都合よく水泳の練習が休みだ

水月には用があるといって、秘密裏計画がすすめられる

秘密裏計画とはこうだ


1.部屋には水月の誕生日を祝うものをたくさんつくっておく
2.誕生日プレゼントも買っておく
3.0時ちょっとまえに水月をうちに呼ぶ


勘がいい水月なら3の時点で、誕生日おめでとうのためによんだと気づくだろう
(いや、勘が別によくなくても気づくだろうが・・・)

ただ、どんなに盛大になっているのかは、わからまい


まずは誕生日プレゼントを買ってこよう

今日は水月は買い物に出るといっていた

万が一遭遇すると今の計画が台無しになるため、かなり遠くのところで買おう

最寄の駅から1時間半はなれたところの微妙な大きさのショッピングセンターなんて
絶対にこないだろう

電車に乗ってそこへ向かった

ちなみに水月はというと、予想通り、橘町駅前の大きなショッピングセンターにいたそうだ

そこでプレゼントをみていた

去年は銀の指輪を買ってあげた

中途半端な値段のものだったが水月はとても嬉しそうにずっとはめている

だからこそ、また指輪にするというわけではない

孝之「これが・・・いいかな」

目に付いたのはペア・ネックレス

ずいぶん作りこまれているものだ

有名なデザイナーがデザインしたという

一人のほうには、絵の左側、もう一人のほうには絵の左側が描かれている

それも切れ目の形もいびつで、それぞれ違う切れ目をしていて
このネックレスと組み合わせられるのはペアになっていたネックレスだけだという

つまり、彼(彼女)じゃないとだめだ という意味合いがこめられているものだ

もちろんそんな作りこまれているものなので、去年の銀のネックレスよりも高い

119800という、6桁の数字がついている

しかしおれは買うことにした

去年は2ヶ月間ぐらいだったが、今年は働く時間を短くする(水月にわからないように)代わりに
7ヶ月前からはじめていたのだ

そのおかげで、バイト貯金と名のつく貯金いれ(100均のパックのようなもの)には、
15万ぐらいたまっていた

もちろんこれは水月への誕生日プレゼントを買うためだけのものだ

迷わず購入

これで、一つ目の材料がそろった

続いてケーキ作りだ

ケーキは買うのではなく作る

なぜかというと、ちょっと絵を書きたいからだ(ハート型に右側にたかゆき・左側にみつきとかく)
大きさは小さくして、ハート型を切るのはやだから、二人でハートの両側から一緒に食べていく
というような仕掛けにする

ああもう、水月と一緒に・・・想像しただけで幸せ感が
(もちろんまわりは一人で照れている孝之を見てちょっと危ない人だと思うに違いない)

スポンジ生地は丸い

よって、イチョウ型みたいな型抜きをかってきて、丸をハートに変形させる

もちろんそれらの抜かりもなく購入完了

(ちなみにロウソクはこれにはさしたくないので別の丸いケーキも作る)
家に帰ると午後3時

これからがパーティー準備だ

買い物のときに2人だけのパーティーとして飲むもの(アルコールの度が少し弱いお酒)を買ってきた

水月はこれで二十歳だ

おれはまだ二十歳にはなっていが、こういうときぐらいは飲んでもいいだろう

それに、いくつかパーティーに適した料理を作った

次は装飾だ

呼ぶのは自分の部屋で、いわなくてもわかるように狭いので、そんなには派手には装飾できない

ただ、適当に買ってきた木の板におれの筆字で誕生日おめでとう と書いてみる

案の定そんなにいい字にはならなかったが、一部の人から見たら「味のある字」ともいえるかもしれない

よってこれは完成

時計をはずしてそこに立てかけておく

それから花だの、いろいろ飾り、部屋も大きく片付け
後は残りケーキ作りとなった

ケーキは生もののため、この夏の時期だと厳しいかもしれない

よって、作るのを最後にした


午後8時

ケーキ製作開始!!

小さめのスポンジのものは、イチョウ型の型抜きで上の部分をぬく

これによって、ハート型に近い形になる

ハートっぽくないと感じた出っ張りはちょっとずつナイフで切る

一方丸のまま残すスポンジのほうはそのまま作る

ロウソク20本を普通に立てられるような大きさにした

ちなみにこのケーキはハート型ケーキを食べてから食べる


よし、できた!!

時計を見ると10時半だった

2時間も作ってたのか・・・

途中レシピの本を見たり、装飾の気に食わないところを修正したりしていたため
ケーキ作りに一点集中できず、その結果、時間かかってしまったわけだ

早速水月に電話してみる。水月には「11時50分ごろ来て」といった

最近、この前までの暑さがうそのように少し夜は冷え込むようになった

11時20分

水月がいつ来てもいいように、外に立っていた

11時50分といったのに何でそんなに外に出るかって

それは単に水月に早くあいたいからだ

水月の笑顔がみたい

水月の優しさに包まれたい

水月の声が聞きたい

いつもある欲求

本当におれは・・・水月なしでは生きていけない・・・

時計は11時43分

ちょっと早めに水月が来た

水月「やっぱりぃ・・・孝之のことだから早く待ってるんじゃないかなっておもった
   まったく・・・今日は冷え込むって言うのにぃ・・・」

やれやれといった口調から、嬉しそうな感じも読み取れた


部屋に入ると全ての装飾が誕生日の前にわかってしまうので外で時間を稼ぐ

まだ部屋に入れたくないというのを水月も察したみたいでその時間稼ぎに付き合ってくれた


11時58分になった

ちょうどいいぐらいだろう

水月に「部屋に入ろう」といった


部屋に入る

まだ電気はつけない

カチッカチッカチッ・・・

ジリリリリリリ!!

目覚まし時計がなる

暗闇の中時計が見えないため、12時を知らせる時計がなる

それと同時に、「水月、誕生日おめでとう!!」といった

電気をいっせいにつける

昨日1日かけて準備したものがすべて見えた

水月は結構驚いている

「これ、孝之が全部準備したの?」と質問してくる

まあ、そうだろうな・・・おれの部屋だし・・・


興奮のなか、おれは急に真剣な顔していってみる

「水月、誕生日おめでとう!!いつまでも俺にその笑顔を向けてくれるか」


水月は笑いながら「うんうん」といっていたが、おれの真剣そうな表情を見て

水月も真剣になって「うん。私も孝之に独り占めしてもらいたいもん」と

水月は目を閉じる

おれは、その水月に口付けを交わした


ロウソクの火をつけた

さっきのゆったりした感じとは逆にハイテンションでいってみた

「はいはい、とっとと嬉しそうな顔してロウソクの火消して!3,2,1ハイ!」

いきなりのテンション変化に水月は戸惑いながらも、テンションについてきてくれる

水月はわらって、勢いよくロウソクの火を消す

1回で消せるかと思ったら1本残った

もう一吹きでロウソクの火は消えた


ハート型のケーキをみせ、おれが想像した食べ方を説明したら
「孝之らしいね」といわれた

照れながらだったが、それにも付き合ってくれた

ずっと笑顔だ

この笑顔をみるためにおれは毎日がんばっているといっても過言ではない

こんなに・・・幸せになれるなんて・・・

水月とずっと一緒にいたい

そうおもっている


それから、ペアネックレスをあげた

水月は嬉しそうにうけとっては、ペアのほうとくっつけたりはなしたりしている

こんどは水月から「これつけて」っていわれ、おれがつけると、水月もつけ

それからくっつけたりはなしたり

よほど気に入ったのだろう

おれが選んだプレゼントを気に入ってくれてる・・嬉しいことだ

それからいくつか作った料理を食べた

水月は「将来は孝之に料理任せても大丈夫かなぁ☆」といった

なんとなく含みある言葉なので、かなり照れた

真剣&極照な顔して「そうだね・・」といったら

「照れてる!!」って思いっきり笑われた

おれ自身このとき、水月との毎日を想像していた


夜・・・水月も疲れたようだ

さすがに朝方4時となるとね

あしたは、特に予定がないみたいなので、デートに行く約束をした

水月はおれの家に泊まっていく

4時から寝たら12時ぐらいまで寝ているのかな

水月一緒なんだから目が覚めるまで寝ててもいいかな


5時・・・寝る前にちょっと飲みすぎたのと、トイレに行くのを忘れたので
起きてしまった

トイレに行ってきた

布団にもどる

外は微妙に明るい

今日は水月が生まれた日

もしこの日がなかったら、おれはどうなっていただろうか

最高の幸せを得られなかったのだろう

でもそんなことはありえない

いまここに水月はいる

だからこそそんなことを考えないで水月との今だけを考えればいい

少し水月の寝顔を見る

とても気持ちよさそうに眠っていた

おれは・・水月を・・・ここで今幸せそうに眠っている水月を
一生かけて守りたい

一生そばにいたい

寝ている水月に「水月・・・お前のことは永遠に離さないかんな!覚悟しろよ!!」といった

水月は眠りながら「うん・・・孝之についていく」といった

いま起きているのか、寝言なのか・・・?

水月は寝ている

静かに寝息を立てて

起きたら水月はこの言葉覚えてるのかな・・・

おれも布団深く入って目をつぶる

聖なる日の夜が明ける

水月の・・・そしておれの大切な日が・・・訪れる





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