SFD水月エンドからもう7年が経つ
若いころに燃え上がるような恋をしていた私たちは少し落ち着きを持ち、今は夫婦として生活している
もちろんお互いが嫌いになったというわけではない。むしろまだ愛はたくさん残っている
まあ子供ができたというのもあって、前みたいなバカップルっぷりは発揮していないだけだ

さて、本日は8月27日
いわずとして水月の誕生日なのだが、孝之は25・26と出張で家におらず
かつ、27日はその疲れから午前はほぼずっと目を覚まさなかった
水月もその2日間、孝之がどれだけ疲れてきたというのは顔色をみただけでわかったようで
そんな孝之をゆっくり寝させてあげた
本来なら、誕生日だからっておねだりした買い物をしようとしていたんだが


Aパート
(水月視点)

12時、孝之起床
孝之は出張のまとめがある、というようなことで自室にこもってしまう
まあ仕方ないよね
なんでも孝之いわく、明日までに、今回の出張で得られたものを
グラフやら統計をまとめて提出しないといけないらしい
「そんなのあとでもできるのに・・・」といいたかったが、言わないでおく
実際、誕生日を祝ってほしいなんてのも自分勝手な意見のような気がしてきたから

さて、ご飯でも作るか!と決心して水月は夕ご飯の準備にとりかかる
「今日は早めに食べたい」という孝之の意見から、6時には夕食を食べれるように準備をした
そして食事をとる。
相変わらずいつも孝之のお土産話は楽しい。
出張なんて、どうせおもしろくない仕事にイベントなのに、
そんな出張までもが遊びに行っている様に聞こえる
苦労しているんだろうけど、やっぱり私や子供のためにがんばっているのだろう
そしてそれを楽しそうに伝えてくれるなんて・・すごいいい夫だと思う
だが、今日は、ほんのちょっと、寂しい
誕生日・・・誕生日なのに・・・
おめでとうの一言も言ってもらってない
孝之「水月?つまらな・・かったか?」
水月「いや、ちがうの・・」
少しかなしくなった
ご飯のときに自室にこもったりすると不自然なので、トイレに逃げるように行った
※海斗はかいとと読む。孝之と水月の子供のオリジナル設定 海斗「お母さん、かなしそうだったよ」
孝之「ああ、大体理由はわかってる」
海斗「お父さんが悪いの?」
孝之「ちょっとな、でもこれはお母さんを喜ばせるためのことなんだ
   ちょっと待っててもらわないと」
海斗「??」
孝之「そうだ、海斗には種明かしするから、あとでお母さんが
   お風呂にでも入ったときに部屋に入ってきなよ」
海斗「あ、うん」


Bパート
(孝之視点)
微妙に暗い食事は終わる
お風呂は海斗・水月・孝之の順番
海斗は少しワクワクしていたようで、タオルでよく体を拭かず
水月「あーもう、ちゃんと拭かないとだめでしょ?」というようにしかられる
海斗「お父さん、いい?」
孝之「ああ」
海斗が部屋に入る
その瞬間びっくりしたように
海斗「なにこれ?」と。
孝之「ああ、お母さんの誕生日のお祝いだ」
海斗「すごーい」
孝之「待たされれば待たされるほど寂しくなる
   寂しければ寂しいほどその反動の喜びはおおきいだろ
   だからあえて夜遅くまで誕生日のことをだまってるつもりなんだ」
海斗「海斗もお母さんのこと祝っていい?」
孝之「もちろんだ、まあ眠くなったら寝てもいいけど」
海斗「海斗も祝う!」
孝之「よし、じゃあいまから寝ておけ、あとで起こしてやる!」
海斗「わかった、じゃあお父さん、一旦おやすみー」


そして11時半
孝之「海斗、そろそろ出番だっ!」
水月に見つからないように海斗の寝ている部屋にいき、物音を立てないように海斗を抱きかかえ、自分の部屋へ
そして、自分の部屋で海斗を起こす
海斗「お父さん、おはよう・・・あれ?」
海斗は自分がなんでここにいるのかいまいちわかってないようだ
孝之「ほら、お母さんの誕生日」
海斗は理解するまで少し・・・寝ぼけてるようで
そして急にひらめいたように「あっ!」という
いま11時35分
お母さんを呼んでくるのは11時55分だ
海斗は眠そうにしていたので、自分の部屋にあった、「秘蔵、水月の写真集」を手に取り、海斗と見る
なお、この秘蔵、水月の写真集は、なんとなく作りたくなってパソコン加工で冊子にしたやつだ
自分で言うのもなんだが、割とうまく出来ている
かき集めた水月単独の写真や、2ショット写真、集合写真などを適切に配置して作ってある。

お母さん、すごいね!
興味深く読んでいるようだ
そんなこんなですぐ11時52分になる
呼びに行って戻ってくるまで時間がかかるだろうから、 そろそろ準備をする
階段を下っていった。


Bパート
(水月視点)

なに逃げてるんだろうな・・・
トイレに入ってからそう思う
あんまり長かったり、短かったりすると不自然なので、時間を自然に。
そうそう、孝之だってまだ疲れてるのよ!きっと後で思い出してあわてて
「水月、誕生日おめでとう!」なんて言ってくるに決まってる
気分を変えていつもの表情で
よしっ!
再びご飯に戻り、いつもの表情で
よし、たぶんこんな気持ちの不安定さ、誰にもばれてない

そんなこんなでお風呂をわかす
お風呂が出来て、海斗を呼ぶ。
水月「お風呂できたわよー」
海斗「はーい」
少し嬉しそうな表情
まあ心なしか、そんな気がしただけだから、気のせいだろうけど

海斗が出てくる
「あーもう、ちゃんと体拭かないとだめでしょ」
「ごめんなさい・・・」
そそくさと海斗がどっかいってしまう
もう・・・
さて、私もお風呂はいろうかな

お風呂から出ると、
「俺の番かっ!」といったように、孝之がお風呂へ
うーん、思い出して・・・くれないのかな
少し寂しい
そんな気を紛らわすために、なんとなく、ミステリー系のドラマを見る
そんなところに海斗が入ってくる
海斗「お母さん・・悲しいの?」
水月「え?」
海斗「お母さん、すごく悲しそう」
水月「やっぱり海斗にはわかるのね」
海斗「お父さんのこと?」
水月「あ、うん・・・でもお父さんが悪いんじゃなくて
   私が思ってるだけだから」
海斗「誕生日のこと?」
水月「え、あ・・・うん・・・」
海斗「大丈夫だよ!内緒にされてるけど、お父さん、あとでお母さんのこと
   喜ばせてくれるから」
水月「えっ?」
海斗「あ、これ以上はお父さんとの約束だからいえないけど」
水月「あ、うん」
海斗「眠くなっちゃったから寝る、おやすみー」
水月「海斗、おやすみー」
いつもなら、ダッコしてってとか甘えてくる海斗だが、
めずらしく、自分から一人で寝室へ
孝之・・・やっぱり忘れてなかったんだ・・・よかった・・・
少しほっとする。
でも「あとで」ってどういうことだろうな

ミステリー系のドラマに続いて、2時間ドラマをみる
犯人がだれだ!?という予想、最近はたいてい当たるようになってきた
慣れというものか
今日は出演者の関係から、こいつがあやしいかな、とかいうような

そんなドラマもおわって、スポーツニュースをメインにしたニュース番組を見る
コチッコチッ・・・11時半
また不安になってきた
今日、が終わる
海斗の言っていた「あとで」ってのはなんなんだろう
今日、がおわっちゃったらいみないじゃない
いや、もしかしたら孝之がしてくれるの誕生日のことじゃないのかな・・・
それだったらやっぱりさみしいかな・・
だんだんとまたネガティブシンキングになってきた
11時45分
十に一な奇跡を祈るような、そんな心境と同じ
だんだんと、またさみしくなってきた
「私ってさみしがりやだなぁ」
コチコチといった音がうるさく感じてきた
さて、少し眠くなってきたし・・・孝之はまだ部屋にこもってるし
私は寝ようかな、と、寝室に行こうとした瞬間
階段を下りてくるような音がした


Cパート
(水月視点)

この降り方は孝之かな
「水月、ちょっと来てほしい」
時計をみると11時53分
これで仕事の話だったらさらに悲しくなるだろうなぁと思うが
海斗があんなこといったんだし、ちょっと期待する
そして招き入れられるように孝之の部屋に
するとそこには
孝之の手作りとも思われるいくつかの装飾品がかざってあった
海斗「誕生日おめでとう!」
孝之「水月、誕生日おめでとう」
時計をみると11:56 04と表示してある
孝之「今年はちょっと工夫をこらしてみようかなとおもって」
少しココロの準備があったとはいえ、やはり驚いた
水月「あ、ありがと」
孝之「普通にいうのもあれだし、引っ張りに引っ張って、
   すごい寂しくなったときに言ったほうがそのほうがうれしいかなと」
水月「バカ・・・」
穏やかな表情
さっきまでの悲しい表情はどこにも残っていない
孝之「俺が、今年の水月の誕生日のなかで最後にお祝いした人だぞ」
海斗「あ、じゃあ海斗も、お母さん誕生日おめでとう!」
孝之「おい、海斗はさっきお祝いしただろ」
海斗「それでも海斗が最後!」
孝之「でもな、俺がギリギリの時間にいえば、もう海斗は言い返せないぞ」
海斗「あーっ!」
デジタル時計の表示が11:59 25となる
そして、
孝之「ほんと、水月、誕生日おめでとうな」
すかさず、海斗が55秒ぐらいになったときに水月におめでとうを言う
海斗「やっぱり、海斗が最後だよ!」
孝之「残念だったな、こんなこともあろうかと、時計を30秒ずらしておいたのだよ
   だから海斗が言ったのは0時を過ぎてからなのだ」
海斗「お父さんずるい!!」
孝之「はっはっはっ」


なんとなく、こんな平和な流れをみていると涙が出てきた
海斗「お母さん、泣いてるの?」
水月「うん、すごくうれしくて」
海斗「うれしいけどないてるの」
水月「そうよ」
さっきまではすごい寂しさを感じていたけど、今は、なんというかすごい幸せを感じてる

水月「孝之、ありがと」
孝之「ああ、ほんと、寂しい想いさせてごめんな」
海斗「おなかへった、コレ、食べよう!」
孝之「ああ、そうだな
   寝る前だけど、今日は特別、食べていいぞ」
海斗「やったっ!」
孝之「じゃあこれ、まずバースデーケーキだ」
海斗「あ・・でも、もうお母さんの誕生日終わっちゃったから
   今日は誕生日じゃないけど・・・?」
孝之「あっ・・・
   まあいいや、パーティーだけは1日おくれってことでいいじゃないかっ!」
海斗「うん!」

なんだか、私、すごく幸せのようなきがします
孝之はいつも優しいし、海斗もいい子です
だからこそ、
孝之、海斗、いつもありがとう





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