何が起きたのかさっぱりわからなかった
今までの出来事が夢だった?
それはありえる!
いや・・でも本当に気味の悪い夢だった
こんな、せっかくつかんだ幸せを手放してしまうというような悲劇の主人公を演じた俺
そんでもって、勝手に夢の中で事故にあわされた遙(涼宮さん)
・・・あれ、ちょっとまてよ?
遙って、まだ俺1回しかあってないよな?
本屋の絵本コーナーで1回きりだよな・・・
ということは、頭の中にある遙の記憶は、全部夢の中のストーリーか・・・
俺はあの出来事だけで完璧に遙にほれてしまったわけか・・・
って、遙、遙って呼んでるけど、まだ彼女なわけじゃないから「涼宮さん」じゃないとだめだな・・・
学校へ行って、ある程度のことを思い出した
もしかしたらあれは現実逃避だったかもしれない・・
ここにあるものは「弁当箱」
ただの弁当箱じゃない!
俺が昨日「見捨てた」弁当箱だ
こうやって自己主張している弁当箱
確かに俺は、何が起きるかわからないから面白いとも言ったよ・・・
でも熱帯夜を潜り抜けた洗われてない弁当箱を開けるなんて・・・
あの、速瀬が洗ってくれたのは夢の中だったのか・・・
あのときは、夏祭りについてのシールが張ってあったんだ
あの時ってのはおかしい、俺の妄想内の話だ
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・
現実は・・・無常だ・・・
何もかもが昨日のまま放置してある
どんな生物が発生しているのかわからない弁当箱・・・・あける気にもなれなかった
休み時間、慎二はやってきた
これは・・・夢の中と同じ・・・
なんとなく・・・これは「速瀬が洗ってくれた」と、いいに来たような気がする
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・
「あけてみろよ」という台詞は夢の中でも存在した
となると、慎二の心が腹黒でない限り、これは洗われている証拠だ
あけてみた
やっぱり綺麗になっていた
・・・いや・・・これは偶然だよな!
確かにあの時速瀬に「洗っておいて」といった
そして、逃げてきた
速瀬はやっぱりいいやつで、洗ってくれた
俺はたぶんそれを知っていて、夢の中でもその「推測」が図られた
それらは、こんどは現実となってまた目の前で繰り返された
これでいいじゃないか
何もおかしいことないじゃないか!
慎二「ふたの裏、見てみろよ。」
・・・え?
これも・・・事実なのか・・?
ふたの裏を見ると、「げつようび ごごろくじ えきまえで まってるわん はーと」
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・
この文章・・・見たことがある・・・
たしか夢の中の話でもこの弁当箱に張ってあった
どういうことだ・・・?
いや、こんな偶然あってもおかしくない!
もしかしたら俺が気づいていないだけで昨日の丘の上で速瀬がこの紙を持っていたのかもしれない
それをみて、頭は記憶した
ただ、心では記憶していなかった
頭では記憶していたから夢の中に出てきた
偶然張られる場所が一致した
それでいいじゃん!
なにもおかしくないじゃん!
速瀬は友達だし、だから花火大会に行こうって誘うのもおかしくないじゃん!
何がおかしいんだ?
俺は何におかしいって思ってるんだ?
偶然だ、運を使い切った気分だ・・・
とりあえず、考えないことにしよう!
それから、お礼言いにいくか?という場面で、プールを見て、感じたこと
これらも夢と同じだった
しかし、これは既視感(デジャブー)みたいなもんだと、自分に言い聞かせた
慎二と坂を下る
これからのことについて考えていた
慎二に話しかけられたのを何回か気づけないぐらい真剣だった
それは、港南大に目指すといっていた俺の宣言が原因でもあった
夢の中では、俺は白陵大に目指すことに決めていた
それは、涼宮さんが彼女だという設定だったところで
やっぱり俺は彼女がいないと進学先のことすら考えられないのか・・・
慎二「オレ、本屋寄ってくわ」
・・・あれ?
これって・・・昨日体験しなかったっけ?
この流れでいうと、本屋にはいって、俺は適当にぶらぶらしてて
涼宮さんにあうということだよな?
いや、夢の中だけで、まだ体験していなかったんだろう
とりあえず「ああ、オレも」
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・
それから慎二の「参考書コンボ」が決まった
これじゃあまるまる、涼宮さんにあう日という設定じゃないか
おれは、本屋に目的あって来たということを裏付けるために、雑誌コーナーへ行こうとする
するとやっぱり、見覚えのある制服、そして見覚えのある髪型
そして、たくさんの思い出のある人・・・そう涼宮さんがそこにいた・・・
あの出来事は手に取るように覚えている
涼宮さんは「マヤウルのおくりもの」をとりたがっているんだ
でも届かなくてずっと凝視して
手を伸ばそうにもとどかない
少し観察していた
涼宮さんはここにいる
おれの夢の中では勝手に事故にあわされたけど、
ここにいるんだ
微妙におれの目からは涙がこぼれていた
何で夢で泣いているんだ・・・
涙を拭いて、あの出来事のように涼宮さんに近づいて、あのときと同じように繰り返した
やっぱり反応は同じだ。
絵本をとってあげようとして逃げられる
そしてそのあと、慎二がやってきて冷やかし(?)がはいる
何もかも一緒だ
それから家に帰って、即効でエアコンのスイッチをつける
そのあと冷蔵庫を開けて作った麦茶を飲む
暑くなってくると飲み物の消費が激しくなるのだが、
麦茶はパック(3円ほど)に水道の水を注ぐだけでOKとリーズナブルだ
一気飲みしても1円〜2円ほどしかかからない
とはいっても冷たくなるまでが大変なので2つぐらい作ってある
というわけで「くー」っと
ふと、今朝の夢について考えてみた
あれは・・・本当に夢だったのだろうか
普段理科系の授業の実験による考察など、まったくしないおれだが
とても気になっていることだったので、深く考察してみることにした
まず、今日涼宮さんの絵本を取ってあげる出来事が起きた
そう、おれの頭の中で前に展開されたあの出来事は「夢」の中だったわけで
現実的に起きたことではない
そして夢が先で現実が後として発生した
不可解なことがあるとすればこの周辺だろう
いままで涼宮さんのことを知らなかったわけで、
当然知らない人を妄想で彼女にしてしまうのはおかしい
ましてや、今日の出来事を確実に予測してしまったのだ
2つの世界が存在することで4種類の推測ができる
ここで、今夢と思っていることは「A」、現実を「B」とすると
1.Aが夢、Bが現実
合理的であり、1番可能性があるが、それゆえかなりの矛盾を抱えてしまう
2.Aが夢、Bも夢
繰り返し夢という、二重の夢が考えられる
これなら2回同じことが発生するということが考えられる
これをキープしておこう
3.Aが現実、Bが夢
あの出来事はかなりの衝撃であったため現実逃避のために昔懐かしい思い出を夢見ているかもしれない
これも可能性としてありうる
ここで、2・3について、Bが夢であることを考えてみる
今朝の起き方からしてこれはちょっと遠のく
頭をぶつけると、いたい
ほほをつねると、いたい
夢が夢だとわかっているのなら自分でストーリーを変えられる「明晰夢」というものもあるのだが
実際それが発生しない
つまりBが夢であることは考えにくい・・・
となると・・・残ったのは・・・
4.Aが現実、Bも現実
こういうことだろう
あまりにも非現実的な選択肢である
決して起こり得ないだろうと考えていた
こういう世界には少し興味はあった
学校の勉強はこのように集中してはやらなかったが
このような時間に関するSF系、哲学系の話にはとても興味があった
そのなかで、繰り返し世界というものがある
繰り返し世界は、ある特定の期間を繰り返してしまうものである
主に人の気持ちにより発動し、
その人の最高のストーリーになるまで抜けられないというものだった
おれはAの現実の中で、彼女を、遙を、間接的な自分の責任で失った
だからおれはその現実に納得がいかず、あまりにも非現実的なフォース(力)の発生により
時間の流れのベクトルを曲げてしまった
はは・・・今までは物理のベクトルという言葉の意味がわからなかったのに・・
こういうときになってやっと、物理の大切さがわかったな・・・
物は決まった方向で自然にそむくことなく流れ続ける、
これが物理現象である
しかし、今ここでこれは崩れていた
あまりにも信じがたいことだ
だけど、そう考察できてしまったのだから仕方がない
となると・・・月曜日の祭では速瀬が遅く来て、涼宮さんが、遙が同行して
という展開になるんだろうな
わかってはいるけど・・・そんなふうにはならない、
ただの偶然だという、甘えがある
そりゃそうか・・・信じられるわけないことだし
なんだよ・・これは・・・
誰かドッキリだっていってプレートもって来てくれればいいんだ
みんなが仕組んだドッキリで、おれがいつも真剣に取り組まないから
ちょっと脅かそうって、慎二か速瀬が計画したことだったらいいんだ
そうだったらどんなにいいことか・・・
現実ではないものが現実にある恐ろしさを体験していた・・・
〜2nd 7月5日〜
少し寝てすっきりした
まだ信じられない気もあるが、昨日ほど恐れてはいない
むしろ、開き直っていた
これはおれが発生させた事象とすれば、これはおれが望んだこと
あの現実ではどれだけ悲しんだことか
重くのしかかるものが多かった
軽い気持ちを持った人ならこう考えるだろう
繰り返し世界でいられるなら、ギャンブルも好調だし、試験問題だってわかる
とてもいいことばかりじゃないか、と
でもこの状況に直面して、そんな浮ついた心を持っていられるだろうか?
少なくともあのときの事故の衝撃が大きく、かつそんな余裕がない
考えられない・・・というのが普通だ
おれの心の中には全ての記憶があり、これから起こりうること全てが刻まれている
全ての悲しみも背負っているわけで、これを繰り返さないためにおれは全力で生きていこうと思う
こうなった以上解決すべきことがたくさんある
まず最初は遙をあそこまで悲しませてしまったことだ
これが一番の心残りだった
おれは自分の気持ちに気づかなかったのか?
気づけなかったのか?
それともそのときは存在しなかったのか?
実際思い出せないし思い出したくない
だけど、あそこで涼宮さんを一度だけ中途半端な形で期待させて、裏切ったのは事実だ
おれがそんな目にあったらどう思うだろうか
たえられないだろう
だからこそ遙には、こんな悲しい思いを二度とさせたくない
この現実では絶対あいまいな気持ちを見せない
だからといって断るわけでもない
はじめからおれの気持ちは決まっていたんだろう
おれにだけ向けてほしい思いがあった
あのとき速瀬にいろいろと話を聞く前から、きっと心の中には存在していた
ただおれは不器用でそんなのを取り出す能力さえなかった
今のおれは違う
自分の気持ちに気づいている
自分から積極的にいくようなことをすると遙のことだから、びっくりしちゃうかも知れない
だから目立った行動は控えておく
でもとりあえず、あの日の告白は自分の本当の気持ちでOKする
そう決めた。
〜2nd 7月6日〜
やっぱり想像通りの結末だった
祭の際には、速瀬の後ろに涼宮さんが隠れていて、恥ずかしそうにしている
そして、自然に速瀬と慎二、そしておれと涼宮さんのペアができる
とはいっても、もうこの作戦とかいろいろわかっているわけで
そして涼宮さんの好きなことや盛り上がる話なども知っているわけで、
とりあえず、こっちはこっちで話が弾んだ
これはあの歴史とは違う歴史
もしかしたらこれから先の未来が微妙に変化するかもしれない
実際俺の中には「遙のことが好きな心」というのがあった
この気持ちに気づけただろうか?
それから速瀬にいろいろ質問攻めにあった
そりゃ、初対面の涼宮さんと話が盛り上がって楽しそうにしていたわけだから
「もしかして脈あり?」てきな発言もあった。
遠まわしに聞いているのが簡単にわかる
涼宮さんが俺のことをすきなのは知っている
(なんかこんな発言するとすごい自分に自信を持ちすぎな人に聞こえるが)
だからといっておれには告白するきっかけがない(いきなり初対面で告白はないだろう)ため
告白の日、つまり7月10日が楽しみだった
よし、今日はもう疲れた
寝ておこう
ってちょっとまった!
明日はビデオの時計が狂う日だ
遅刻しないようにちゃんと直しておこう
つうわけで・・・おやすみ・・・
〜Goto (2) July−7〜