このセミの音はある合図になっている
そう・・・また俺の人生がやってきたんだ
あの意識を失った瞬間、やばいとは思ったが、なんとなく俺はここにいるようだ
繰り返し世界は本人が死んでしまった場合繰り返さないという話も聞くし
いつもどおりその時間になると時間が戻り繰り返すという話も聞く
よくはわからないが、ケセラセラだっけ・・・なるようになる。
とはいえ、ここまで来たらこの事象をちゃんと解決しなければならない気がする
いろいろとバッドエンド的なストーリーが積み重なってきて、その後繰り返してきた
こうやって見ると、繰り返し世界がいいものに思えてくるが、決してそんなことはない
3回も繰り返しているのだ
もしこの人生がいい結末にいったとしても繰り返さないとは思えない
あの日がやってくれば繰り返す・・・そんな気しかしない。
・・・でも・・・どうだろう・・・
もし、俺が繰り返し世界発生の根源だとすれば、俺が望めば繰り返すことはないかもしれない
というよりも繰り返し世界を感じているのは俺だけなんだ
速瀬も遙も慎二も・・・繰り返していないんだ。この世の中を
今ある時間がみんなにとっては1回目。
俺だけが繰り返し世界を経験しているということは、もしかしたら別のものかもしれない
特に何も考えずに学校生活を送った
まあ、自分のこの先を知っている以上、意識せずにはいられないこともあるが、なるたけ自然にいた
考えすぎると、前のようになってしまう
多少違和感がありながらも、それでも普通に過ごせていた
そして、なんとなく訪れた週末
とりあえず俺は大きな本屋へ行く
目的はこういう現象をまとめた本を探しに行くためだ
はっきりいってそういうのはその本を書いた人の空想の世界でかかれたものや、
推論を科学的根拠っぽいものを並べてあたかも本当のことだと主張する本
(というよりもこの繰り返し世界の事象から考えられるように
体験している人にしかわからないものというものもあるかもしれないが)
そのようなものばかりを手にとっては読んで「あれでもない」「これでもない」と探す
それらしい本を買って、家に持って帰ってくる
まあもしこの本がハズレだとしても、リピートすればやり直しが聞くというような軽い気持ちでいたのかもしれない
やはり気楽な考えだった
買ってきた本はこれだ
1.怪奇現象スペシャル〜時間を遡る男・起こることを予言する女・決まった時間に現れる幽霊〜
もちろんだが3つ目のサブタイトルは関係ない
まずは時間を遡る男というものだ
時間を遡る男は、自称ではあるが自分のコントロールで時間を遡ることができるらしい
こういった点では俺とは違うように見えるが、もし、これが無意識なる俺のコントロールならば
おなじところもある
まあ、時間を遡っても年齢などはそのままという点では俺とは違うか
次に起こることを予言する女
これは、これから起こることが手に取るようにわかるという
しかしそれは「その女が興味を持つこと」だけであり、もしかしたら、
一度おなじ人生を体験してそれを見た。そしてその体験近くになるとその記憶がよみがえるというような
ことかもしれない、という。
そう考えると俺に近い感じもするが、
俺はもっと明確に「繰り返している」という記憶がある
そのためその場その場が明確にわかっており、日付さえも覚えている
次の本は
2.時間を科学する
非現実的な話というよりはこれはまともに証明されているものである
時間はtという流れによりある一定方向に流れている
これは曲げられることはなく常に一定方向である
から、始まり、相対性理論やら、タイムマシンが開発されるかどうかなどといった、
そんな話を長々と書いてある
現実に戻れるような本である
もちろん、買った理由は「あくまでも現実から離れない」ためである
そして次に
3.世界に存在する自分がいなくなったら
なんとなく考えさせられるテーマな様な気がする
最初手にとったとき、命に関する本かなと思ったが、あけてみてびっくり
パラレルワールドという、平行世界に関するものが書いてあったのだ
パラレルワールドとはこういうことだ
たとえば数直線を3本引いたとしよう(すべて平行に引くこと、これをLine1,2,3とする)
物体Aの流れとともに、それに平行する物体A’とA’’がおなじ速度で流れている
なお、物体A’やA’’は、Aと同一のものであり、仮にLine1を視点としてみたときの
区別用の別称である
実際中心視点として置けるものは一つであるため、メインとしてはLine1を見ているが、
もし、Line2を中心としてみた場合は、変わってくる
物体Aはサブのものとなり、メインラインではなくなってしまう
これを人生について考えたらどうだろう
今自分がいる世界をLine1として考える
このとき、Lineはいくらか存在しており、それと平行して自分というものがある
物体Aにあたるのが自分であり、視点はいまは常に視点Aにある
もし、何かの時場変化により、それらすべてのLineに回れるとすれば、
俺は一つ一つの人生に視点をどんどんずらしながら移り変わっているのかもしれない
しかしそれは根本的な欠陥がある
もし、繰り返していないのならば、2の本のとおり一定方向に流れる時軸を遡ることはないからだ
そしてもし繰り返しているのならば、このパラレルワールド説は関係ない
矛盾しか生まれないのだ
まあ、面白かったから買ったのだがね
結局大きな収穫は得られなかった
むしろ、最終的にこれらの本は「面白いから」買ったものなのだ
やっぱり・・・ないよな・・・こんなこと・・・
まあおこってるのは紛れもない事実なんだから、それは否定できないが、
・・・めったにないんだろうな・・・
7月某日遙が告白してくる
それからの事象はまあいつもどおりのんびり
さすがに1stのように、好きじゃないのに嫌いっていったというような態度こそ見せないが、
何かを考えると大変なので、遙の動向をみながら行動に移していた
まあそんなこんなでやっぱりいつもどおり修羅場に移ったが、そのおかげでプールでの体操服のフラグはクリア
速瀬に「やっぱり孝之は孝之なんだね」といわれた
慎二は相変わらず、予備校予備校
俺の人生の中では慎二は勉強しているイメージしかなくなってしまった・・・
未来を知っている以上意識せずにはいられないことも多いが、
そんなことは気にせずに生きているのが一番だった
8月25日
前回はここで泣き崩れそれから倒れたんだ
あの時泣き崩れたのは重度の過労からだろう
もしいままた泣き崩れたらやばいかと思ったがそんなこともない
そして迫り来る8月27日
俺の身も大丈夫だし、速瀬のことも心配ない
遙との仲も順調(まあ、もともと根は遙のことが好きだからな)
俺は早めに本屋を出発し、水月に遭わないように待ち合わせ場所へ行く
そして、遙との楽しい時間をすごした
これは文句ないハッピーエンドな筈だ
俺には不安もない
誰も悲しい結末にあった人がいない
俺にとって最高の結末なはずだ
だから・・・だから・・・
これで・・・繰り返しの世界は・・・終わってくれるよな・・・?
そんなはずはなかった・・・
8月31日・・・俺は苦しみだした
意識は右肩下がりのグラフのように遠のいていく
意識が途切れる寸前、俺はいつもどおりの茜ちゃんの声を聞く
茜「私は・・・教えられないの・・・」
茜「私は・・・お兄ちゃんの味方なんだよ・・・」
茜「だけど・・・教えられないの・・・」
茜「これだけはいうよ・・・」
茜「お兄ちゃんが思ってることと・・・今おこってることは違うの」
茜「もっと考えて・・・それで最高の結末で終わらせて・・・」
ミーンミンミンミン・・
ミーンミンミンミン・・
いつもどおりセミが鳴いていた
To be continue 5thLife