それは、遙の料理練習のことである
別に料理の練習をすることはかまわない
というより、してくれることで、手料理が食べられるという幸せ感がある
だが、今の状況は少しだけ不服である
なぜかというと、料理の練習風景などを見ることができないし
味見や作られたものを見るだけですらできない
ちょっと悲しくなった
なんというか・・・見に行こうとすると、ダメといわれるか、
茜ちゃんの邪魔が入って見に行くことができない
それも、見に行こうと思ったところで、タイミングを見計らったかのように・・・
よほど見られたくないのか・・・
8月6日にミートパイを食べたときはすごくおいしかった
それからもいくつか作ってもらったことがある
それも全部おいしかった
だから、料理が下手で見られたくないというのは考えにくい
どういう謎が隠されているんだ
普段の遙はいたって普通というか
日に日に増して俺たちはラブラブになっていく
茜ちゃんもやれやれ・・・といった感じで見ている
遙のお父さん・お母さんも、もうこの状況にはなれたようで、
お父さんのほうからも遊んでいるのか?ってなほどの発言を聞くこともある。
遙の家での食卓もいつも楽しく、会話が絶えない
でも遙が作ったと思われる料理が並ぶことがないことがちょっと、悩みのひとつだ
いつも何を作っているのだろうか?
なんだろう・・・?
1月19日
今日は遙とのデートだ
デートといっても、いつも一緒にいるから、「お出かけ」のほうが正しいだろうか
とにかく、遙と電車に乗ってどこかへぶらぶら行くのだ
今日は橘町のほうで買い物をいくつかする
デートのついでということで、晩御飯のおかずを頼まれた
一緒に過ごしているということで、こういうことがよくある
結構なれたなぁ・・・
というわけで、買い物をしているのだが・・・
遙「ちょ、ちょ、ちょっとトイレ・・・」
「あっ、うん」
なんかあわてているのか、それともあせっているのか、なんか言動がおかしいぞ・・・
相当近いのか・・・
遙はかけて影のほうにいってしまった
んっ?そういえば、遙10分前にもトイレにいったような・・・
うそ・・・だったのか?
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(2分後)
遙「ご、ごめん・・・」
「あっ、大丈夫だ!」
まあ、トイレの時間と同じぐらいだし、単なる思い過ごしか・・・
遙とのデートが楽しくなくなるのが嫌だし、特に気にしないことにしておこう
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1月20日
やっぱり気になるぞ!
遙は何を作っているのか
いざ、遙のところへ!
階段を下りて、台所へ向かう
茜「あっ、お兄ちゃん!ほら、隠しキャラ出したよ!
ちょっとこっちきて!」
茜ちゃんの誘いには乗らない
今、重要な任務があるんだ!
遙母「あらあら鳴海さん、どうしたんですか?
晩御飯はまだですよ
あっそうそう。鳴海さんに見てほしいものがあるんです」
遙母に強制的に連れて行かれた
遙母は、なぜか、遙と茜の幼いころの写真(5歳ごろ)のアルバムを大量に見せてくれた
これはなんだ・・・やっぱり、家族ぐるみの作戦か?
1月21日
茜ちゃんは今 学校にいる
つまり、今がチャンスだ!
ちなみになぜオレが家にいるかって?
そりゃ帰宅部ですからね・・・
遙はいつものように何かを作っている
その「何か」はわからない
食事のころにはどこに片付けるのかわからないが、とにかく跡形もなくなっていて
なぜかファブリーズによって匂いまで消されている
ここまで隠さなければならないことなのか?
恐るべき遙家族の完璧な計画さ・・・
何の計画実行中なんだ?
わからないが、今日は強行突破できそうだ
階段を駆け下り、台所へ向かう廊下に出る
するとなぜか遙父が待っていた
遙父「はっはっは、どうしたんだね、鳴海くん
そうだ、一緒にゴルフでも行かないかね。」
お断りする暇はなかった
そして強制拉致のような形でゴルフの打ちっぱなしのところへ連れて行かれた
なんなんだ・・・?
なんか気になるぞこの計画は・・・なんだ・・・?
そしてその日の夜
いつもより長めに家族団欒の時間がとられた
いつもなら、10時ごろになると、お風呂沸かすとか、そういう諸事情によりトランプなどが中止になるが
今日は11時10分まで続いていた
そしてその後お風呂に入る
もちろん、お風呂に入るときの定番(テストインラブ本編を参照)がはじまる
もうこの切り返しには慣れた
茜ちゃんがいきなり、一緒に入る(もちろん冗談)と言い出して、遙がムキになって
オレにくっついて、お風呂場までついていく。そんな流れが今日も始まる
そして、いつもどおりお風呂から出た
いつもと違っているものといえば、時間か?
お風呂から出ると11時56分
次は遙がお風呂に入る番だ
遙に「部屋行っててといわれた」
そして、部屋に行く
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・
時計を見ると11時59分
すると遙が部屋に入ってくる
って、服は! と思ったが、ちゃんと着ているようだ
時計の秒針は回転して、12のところへ達した
すると遙は
「よしっ。日付が変わった☆
孝之くん。誕生日おめでとう☆」
そうだ。今日は俺の誕生日だ
遙、覚えててくれたんだ・・・っていうか、自分が覚えてなくて、誰が言ったんだ?
ここ数年祝ってもらった記憶がないため、忘れていた誕生日
遙は満面に笑みでおめでとうと祝ってくれる
なんか、感動してきた・・・
無性に感動してきた・・・
おもわず遙を抱きしめていた
遙「孝之くぅ〜ん☆」
遙の甘えるような言葉は俺をよりいっそう感動させていた
で、そのままキスをしようとしたとき!
茜「お兄ちゃん誕生日おめで って、ごめん(笑)
タイミング悪かったね★
続けちゃってどうぞ!」
なんなんだ?
遙母「あらあら・・・今はいっちゃいけない状態なんですか?
じゃあ、後でお祝いいいに来ますね」
遙父「そうか・・・まあ状態がよくなったら呼んでくれ。
私からは・・・鳴海君に遙をプレゼントだ(笑)」
って、お父さんまでいきなりテンション高くならないでください
返答に困りますから!
と、冷やかし担当の3人がさって行った後、再び遙と口付けを交わす
よく考えると、最近多いな、この時間にお祝いのキスするの・・・
クリスマスやら、お正月やら・・・きっと遙の誕生日にもするだろうな☆
まあいいや、遙のこと愛しているんだから
それから、遙からプレゼントをもらった
プレゼントの包装をみて、思い出した
そう、1月19日に行ったところのものだ
あの日、ぎこちないうそをついて抜け出した遙は、俺のために隠れてプレゼントを買ってくれたんだ
またもや涙が流れてくる
「遙ぁ☆」
こうやって、また甘えあいがはじまる
1時間ぐらいたっただろうか
その後、遙がお風呂に入りに行って、
その後茜ちゃん・お父さん・お母さんから、お祝いの言葉(+冷やかしの言葉?)をいただいた
遙が帰ってきて今日も一緒に寝る
なんだか今日は本当にうれしくて遙を何回も引き寄せて、キスしていた
そのたびに、「もぅ・・・眠れないよぉ」とか、言いながらも笑顔でこっちに来てくれた
そして、いつの間にか夜が更けていった
1月22日
なんだかんだいって3時ぐらいまでおきていたため、寝不足かもしれないが、今日はすごくよく目が覚めた
これがアイノチカラといったものか?
朝おきて、食卓の場に向かうと一人一人からまたお祝いを言われた
なんかうれしい
そして朝ごはんを食べて学校へ行く
学校では慎二や速瀬からおめでとうといわれた
慎二は特にプレゼントはくれなかったが、速瀬はなぜか「悲鳴クッション」という謎のものをくれた
その悲鳴クッションというのは、クッションにすわると、悲鳴のようなものが聞こえるものである
ぶーぶークッションというものがあったが、その悲鳴版だ
多分、この前話した「夜聞こえた悲鳴」という怖い話を根に持っているのだろう
といっても、誕生日を覚えていてくれたことが単純にうれしい
学校生活は普通に流れ、家に帰る時間になった
遙といつもの場所で待ち合わせして、一緒に帰る
帰り道、遙は何かを言いたそうに、だけどこらえているような・・・
何かなと聞いてみると、「な、なんでもないの!」
それでもずっと笑顔だった
その内容は家に帰ってからわかった
午後7時半、みんなで食卓に並ぶ
目の前にはパーティーオードブルというような食べ物がたくさん並んでいる
これは、イベントごとに恒例なのか・・・?
やっぱり大量だぞ
クリスマスほどではないが・・・
そして、遙がケーキを持ってくる
結構大きなケーキだ
そのケーキには「孝之く〜ん☆誕生日おめでとう☆」という文字の書いた板がある
「もしかして、遙が作ったのか?」
遙「うん☆孝之くんのために練習して頑張ったんだよ☆」
まるで、いっぱいほめてほしいという子供のように、言ってくる
ああ、いっぱいほめてあげるよ
遙は俺のために・・・頑張ってくれて!
きっとあの時は練習してたんだ
俺にばれないようにずっと作る練習・作る本番だったんだ
遙・・・ほんと・・・大好きだ・・・
遙がケーキを置いたと同時に、遙に抱きついていた
遙「もぅ・・・孝之くん、みんなみてるよ↑」
孝之「いいじゃないか☆今日ぐらい
俺は、うれしいんだ☆そして遙が大好きなんだ☆」
遙「孝之くぅん☆」
茜「もう・・・おにいちゃんとおねえちゃん、ホントなかいいんだから・・・
見てるほうも暑くなっちゃう」
ほんと、びっくりだった
家族全員でこんなにお祝いのための準備をしてくれたなんて
遙・・・こんなに一生懸命俺のことを祝ってくれるなんて・・・うれしい
いつもどおり変わらない日々
楽しい日々
そして・・・大切な日々・・・
大切な人とともに流れる時間
年月の経過を少し感じながら、たくさん幸せを感じていた