8月27日・・・俺の全てが変わった

たとえると地球の上下が反転したような感じだろうか

俺の・・・何もかもが・・・

でも、そのときはまだ希望はあった

しかし・・・日々がたつにつれ・・・


咲かない花が咲くのを待っているただ

最初は咲かないなんておもわない

だってそれなら植えない

希望だってある

しかし日々がたてば・・・本当に咲かないことがわかる

それは「絶望」という言葉

もう咲かないなら・・・待つのをやめなくてはならない


「遙を取り囲む全ての人が君を心配している」
「遙のことは・・・忘れてください」


花は・・・咲かなかった

咲かないってわかっていたからその言葉に諦めがついたのかもしれない・・・

でもどうしてだろう・・・

どうしてあんなに信じていたものを「たった一言」であきらめられるのだろう


俺はいく先を転々としていた

俺は何もかもが嫌になって家を飛び出していた

ただひとつ、手紙を・・・全ての事実を書いた手紙を親に送って・・・


でも人間は1人では生きていけなかった

行く先を転々とする間・・・さまざまな人の助けを借りた

半ばホームレス状態になっていたときは、そこの人たちに「生きること」を教わった

やっとバイトをするようになって、適当に部屋を契約するしたとき・・・

隣の部屋のおばあちゃんが、いろいろ相談に乗ってくれた

少しずつだったが、俺は生きていなければならないということを知った


そして今は青森辺りにいる

ただ・・・自分のうちの近くから逃げ出したかったのだ

最初は神奈川周辺をさまよっていた

しかし、誰かに会ったらいけない

そんな考えは俺の居住地を遠くしていった

ついには本州最北端、青森まで

たどった県を考えてみると・・・相当長い時間こうしていたのがわかる

ほぼ2ヶ月ぐらいしかその場所にいない

まるで犯罪逃亡者のような生活だった

そこに足がつくといけない

もっと遠くへ・・・もっと遠くへ・・

最初に家を飛び出してきて・・戻ることへの後ろめたさかもしれない

ほんと・・・自分勝手だな・・・俺って・・・


今度も部屋を借りた

大家には悪いがおんぼろアパートといってもいいかもしれない

家賃1ヶ月1万2千円

水道・トイレは共用

ただ、住むだけといった感じ

ベッドも特に買うことはないので、いつもただ、タオルだけをしいて寝る

暑かろうが寒かろうがそれだけ

誰からみても俺は「廃人」だった


ここではバイトはやっていない

1日を過ごすのは・・・ただ部屋でごろごろして・・・

こんな生活を続けていたら「立てなくなる」かもしれない

人間の必要的動作すら忘れてしまいそうなほどだ

今の状態なら、俺は微生物以下だ

微生物だって目的を持って生活している

だけど俺はなんだ・・・?

青森での生活が約2ヶ月

ここにいるのも嫌になって逃亡する

電車に乗っていた

行く当てのない

ただ、適当に最初に行く先を決めた

なんとなくだ

別になにかがそこにあるわけじゃない

くじ引きと同じだ

ただ、そこに決まったからそこへ行くんだ


電車の中・・・景色だけを眺めていた


声1「○○はるかって芸能人知っているか」

声2「ああ、日曜のドラマに出ている人だろ?」

声1「うん、そのひとよくねーか?」

は・・る・・か・・・

久々にその名前を聞いた

とはいっても俺は忘れていたわけじゃない

頭の中の大部分を占めていたのだ・・・

だけど・・・思い出さないようにしていた・・・

ただこの「はるか」という名前を聞いただけで自然に涙が出てきていた

2年ぐらいまえのことがよみがえる

遙との・・・思い出・・・

だけど俺は・・・戻れない・・・



知らない町についた

ここが俺の今日からの居住地

また2ヶ月もすればでていくんだろう

今日は遙の事故から2年3ヶ月ぐらい経ったころ

また堕落的な生活を始める・・


俺は部屋にいた

忘れるようにしていた思いが、電車の中の一件で暴走しだした

おれは・・・遙のことが大好きだったんだ・・

愛していたんだ・・・

遙と一生・・・一緒にいたかったんだ・・・

交通事故を起こした相手をみつけて、殺そうとまで思った

だけど・・・見つけられなかった

警察は警察で「ただの事故」として処理し、俺たちがわかっているのは「遙が目を覚まさない」ことだけ

まあそうだろう

俺に加害者情報なんて教えたら、殺人を犯しかねない

加害者が生きているのかあの事故で死んだのか・・・しらない・・・


ずっと泣いていた

大人は泣いちゃいけない・・・そういう人がいる

だけど、悲しいときは、大人だって子供だって関係ない

泣いてもいいんだ・・・

なぜ俺はこんなに泣いているのか・・・

わからない

自分自身がわからない

ただ・・・悲しくて泣いていた


俺は・・・考えていた・・・

なんであの日・・・俺は来ることを拒絶(?)されたのか・・・

もちろん俺は毎日行っていた

学校を抜け出していくことすらあったが・・・

とにかく毎日行っていたのだ

なのになぜ・・・

そして俺はなぜ「はい」とあきらめたのか

確かに、咲かない花を咲かせるのは無理だった

だけど・・・それでもなんで納得したのか・・・?

自分自身が・・・もう行くことに疲れていた・・?


今回も働く気すら起きなかった

そういえば自分探しの旅に出るとか言って、こうやって考えたこと・・・ほとんどなかったな・・・

つらい生活とはいえ、慣れていたのだ

もうこの生活を「自分の生活」として取り込んでいたのだ


俺は毎日考えた

考えたからって答えがでるわけではなかった

だけど、考えた

まいにち20時間ぐらいつかって、悩んでいた


だけど・・・俺は答えを見つけられない・・・


なんとなく・・・遙に会いたかった・・・

だけど今の俺じゃ・・・何も出来ない・・・

また遙のお父さん・お母さんに来ないでくださいといわれるだろうし・・・

廃人化した俺には何もかも、考え付かなかった・・・


今知っている誰かに相談したら、かっこわるいかもしれない・・・

だけど・・・俺は・・・

俺は慎二に連絡した

約1年ぶりぐらいの慎二との連絡だ

携帯に電話をかける

これで・・・新規登録とかで、携帯解約してたらおしまいだな・・・

プルルル・・・プルルル・・・

俺はというと、携帯電話をプリペイド式にしていた

自分の携帯は解約

誰とも連絡がつかないようにしていたのだ

プリペイド式なら、つかわなければほとんど費用はかからない

だから、俺は・・・そうしたのだ

実際バイトの契約ぐらいにしか使わなかった

久々にこの携帯を使う

慎二「はい・・・どちらさまでしょうか・・?」

そうだよな・・・知らない携帯番号だもんな

俺だって判るわけがない

いま、ここできれば・・・誰だか知られずに住むんだ

ためらいがあった

「・・・・・俺だけど・・・」

しゃべった

後ろめたさよりも・・・現実の打開のほうが優先だと本能が思ったのだ

慎二「俺・・・って・・・・孝之!!?」

「ああ・・・・そうだ・・・」

慎二「おまえ!!どこにいるんだ!?みんな心配しているじゃないか!!」

「ごめん・・・おれ・・・どうしたらいいかわからなくなって・・・逃げ出したんだ・・・」

怒られるのも承知だった

だけど・・

慎二「まあ・・・そうだな・・・いろいろあったもんな・・・」

えっ・・・?

慎二「俺だって・・・逃げ出していたかもしれない・・・完璧な人間じゃないからな」

慎二は・・・わかってくれた・・?

慎二「お前、逃げ出してかっこ悪い中電話かけてきたということはそれなりに重要な相談があるんだろ?」

「・・・ああ・・・」

「それと一つだけ・・・こうやって電話かけたことは誰にも教えないでくれ・・・
 あと、これから話すことも誰にも言わないでくれ・・・」

慎二「いまさらかっこわるいってか・・?まあいい
   孝之だって、大変だもんな・・・」


俺はこれまでの生活のことを全てしゃべった

慎二は俺の廃人ぶりに驚きながらも間髪いれずに聞いてくれた

そして最後に、俺が今悩んでいることを話した


慎二「そういうことか・・・
   おまえ自身、もし涼宮のことをまだ想っている気持ちがあるのならば
   来てもいいとおもう
   何で涼宮の父さんとかが、こうやって言ったか・・・
   それはただ、孝之がちゃんとしなかったからだとおもう
   あのときの孝之・・みててひどかったぞ・・・
   まあいまも、酷い生活を送っているみたいだが
   みていられなかった・・・
   今にも倒れそうなひ弱な表情をみたら、言うのも当たり前だ・・・」

今思えば・・・当たり前のことだったかもしれない

正常な判断力を持っていればすぐにでも思いつくこと

言われた言葉そのままじゃないか・・・

だけど俺は・・・思いつかなかった・・・

その生活自体が俺の生活となっていたから・・

慎二「もし・・・涼宮のところに戻ってくるのならば、もっとちゃんとしてから
   1ヶ月ぐらいちゃんとした生活を送ってからこい」

「ああ・・・その間は・・・」

慎二「わかってる、誰にもこのことは言わないで、だろ?」

「ああ・・・ありがとう・・・ありがとう慎二・・・」

俺は泣きながらしゃべっていた

とても感動していた

久しぶりに「人間らしい」ことだったかもしれない

慎二「よせよ・・まあ1年ぐらい間隔があいたけど・・俺たち友達だろ・・・」

この「友達」ということばがさらに俺の涙を誘った

もう・・・泣くことすらできなかった

そして最後に慎二は「とにかく・・・想いがあるならば・・・がんばれよ!」

そして、俺はその家でちゃんとした生活を送った

1ヶ月ではない2ヶ月

決して昔の健康なころの体系に戻るわけではない

でもおれは「生きている」といえるような、ちゃんとした生活を送った

もちろん、普通の人にとってはこれはただ「当たり前」のことだ

それでも俺には大変なことだったんだ

そして俺は・・・ここから欅町行きの切符を買った

午前11時・・・

廃れた地域のため、この時間の電車は1車両に数人ぐらいしか乗っていない ゆっくりと・・・近づいていく

そして東京を通過

ついに・・・神奈川に戻ってきた・・・

そして知っている駅名が・・・続く

橘町・・・橘町・・・

よくきたな・・・ここ・・・

そして・・・欅町・・・欅町・・・

ああ・・・ついに・・・ついたか・・・

約1年半ぶりだ

俺の外見とか変わりっぱなしだけど・・・この病院だけは変わってないんだな・・・


俺には決心があった

この2ヶ月ぐらい・・・俺はちゃんとした生活を送りながら、遙のことを考えていた

あの時俺は・・廃人的にお見舞いしていたんだ

だから俺はだめだったんだ・・・

だけど今度は・・・咲かないとわかっていても咲くまで待つんだ

咲かぬなら咲くまでまとう という思いだ

なんといわれようと、俺は、考えを曲げない

俺は遙と一緒にいたいのだ

だから俺は・・・最悪の場合たとえ目を覚まさなくてもずっと一緒にいるんだ

ずっと面倒を見るんだ


ちょっと遠回りしちゃったけど・・・ちょっと慎二にヒントをもらっちゃったけど・・
これが俺の答えだ


最初に香月先生(医者のほう)に会った

先生「久しぶりね・・・だいぶ・・・やせ細っているみたいだけど・・・
   でも今日はあのときよりもちゃんとしているわ」

「はい・・今日は決心をおいてきました」

先生「ということは、涼宮さんに会いに来たのね」

「そうです」

先生「まあ、どこかに逃亡しているとは聞いたけど・・・
   要するにあなたなりに、考えた結果がそれね・・・
   涼宮さんのところにはお父さんやお母さんが来ているわ
   まあ、あの日「来ないでください」っていわれたけど
   会うのを許可しましょう
   あとは、お父さんやらお母さんに自分でこのことを話しなさい」

「はい」

俺の決心は硬かった

俺はコンコンと、ノックし、ドアを開ける

遙父「鳴海くん!」

遙母「鳴海さん!」

いっせいに俺をみて、言う

驚きの表情があった

そりゃそうだ・・・行方不明になっていきなり現れるんだもん

遙父「どうしたんだ!いきなり」

すこし怒った感じが見受けられる

「あれから俺は・・・考えました
 あのときの俺は・・・何もかも理解できない廃人でした・・・
 話してしまうとあの言葉がわからなくて、逃げ出しました
 ただ、何もかもわからなくて逃げ出しました
 悩むとか言って、最初はそのまま廃人的生活を続けていました
 だけど俺は最近答えを見つけたんです
 1人で見つけたわけではありません
 このまえ慎二に電話しました
 こんな俺ながらも相談に乗ってくれました
 ヒントをもらいながら、俺はわかりました
 全てがわかったわけではありません
 だけど、俺は自分自身の思いなど、わかりました
 俺はそれから2ヶ月、ちゃんとした生活を送り、それから来ました
 もう迷いはありません
 もうあのときのように、みていられないほど酷い人間になることはないです
 俺は・・・決心を固めてここにきました」

遙父「本当に・・・あのときのようにならないと誓えるか・・?」

「はい!もし・・・なんて言葉はありません
 誓います
 だから・・・遙の面倒を・・・俺に見させてください!
 ここにくることを許可してください」

遙父「それが・・・鳴海くんの本当に想いだというのならば・・・
   娘を頼む・・・私はそういうだけだ」

「ありがとうございます」

遙父「私だってあの時はああいいたくなかった
   だけどしょうがなかったんだ・・・鳴海くんの表情が・・・ひ弱で今にでも倒れそうな・・
   しょうがなかったんだ・・・
   でも・・・こうやってきてくれたことを・・・ありがたくおもっている」

「こちらこそ・・あんなに自分勝手なことをして・・・ここにくることを許可してもらえたことが
 ありがたいとおもっています」

遙父「で、事後処理のことはどうするんだ?
   鳴海くんの両親や、他の人へのことは」

「はい・・少しずつ解決していきます
 みんなには正直に話します」

遙父「そうだな・・・大変かもしれないけど・・・がんばってくれ・・
   でもよかった・・・鳴海くんがうそを言わずに話してくれたからな」

「うそを言わずにってわかりましたか?」

遙父「話しているときの表情が真剣そのものだった
   あの時とは違う・・・熱意が感じられた
   そういうのは大学の教授をやっているとわかるもんでね」


俺は両親や速瀬に会いに行った

父親は全てを話すと俺を平手打ちするも、わかってくれた

ちゃんと・・・わかってくれたのだ

速瀬は、びっくりしていた

そして涙しながら・・・どこいっていたのよ・・と・・・

全てを正直に話した

俺の自分勝手な行動を怒らずに・・・納得してくれた


そう・・・みんな・・・自分勝手に逃げ出したおれを・・
こんな俺を・・・
前と同じように受け入れてくれたのだ



遙が事故にあって2年11ヵ月後(7月31日前後)
遙は目を覚ます
最初は、いろいろとはっきりしないところがあった
だけど・・・少しずつ解決していって・・・
8月の後半には前のように考えられるぐらいに、回復していた

本当の遙が目を覚ましたのだ


いろいろあったけど・・・俺は本当の自分の答えにたどり着いた

俺は・・・遙を愛していた

遙と一緒にいることを望んでいた


遙の車椅子を押して、海岸へ向かった

3年間のことを遙は知らない

このまま話さなければ「かっこ悪い自分」を隠す事だってできる

だけど、それはできない

たくさんのことを経験してきたんだ

だからその、たくさんのことを、全て話す

遙は・・・そんな俺を受け入れてくれた

いろいろあったけど、私を・・心の中ではずっと私を待っていてくれたことがうれしい、と


それから遙は退院した

祝福を受けながら、病院から出て行く

遙は俺の隣にいる

俺が望んだこと・・・

そして俺は、遙にもう一度「告白」をした

茜ちゃんは「ヒューヒュー」といいながら、冷やかしてくる

戻ってきたんだ、俺たちの時間が


それから速瀬は水泳をもう一度やってみると

腕は少しは衰えながらも、ついていけているみたいだ

速瀬は速瀬で、自分の好きなことを取り戻した


遙の家に到着

前見たときとそんなにかわってない

茜「で、さっそく、姉さんたち部屋でいちゃつくの?」

遙「えっ?・・もぅ・・・茜っ!」

茜「はは、変わってないね。姉さんは」


きっと・・・これが俺の望んだ・・永遠・・・



―――あとがき―――

ColtさんのPB(ポイントバトル)リクエストです
慎二がいいキャラしています
慎二はこの話の中でキーキャラクターなのです
にもかかわらず、あそこしか出てこないという、サブのみじめさも・・

今回のSSはいつもとは違った感じでしたね
テストインラブのノリとは大違いな・・・
まあこのようなテーマのSSをあんなノリで書くと、ぜったいやばいので・・・

2ヶ月であのような堕落的な生活から復帰できるのか?という謎もありますが
まあこれは、孝之の「想い」ということで許してください

今回のSSは妙に台詞が長いところが多いです
まるで橋○ドラマのように・・・
とにかく話すことがいっぱいあるわけですよ

coltさん、どうだったでしょうか?
一応リクエストどおりに書いてみたつもりですが・・・イメージに合っているでしょうか?
感想などを珍答の「感想欄」もしくは掲示場などで書いていただけるとうれしいです
もちろん他の人の感想も・・・励みになるのでお待ちしています



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