元気なじいちゃん、世話好きなばあちゃん、
頑固なとうちゃんと笑顔が素敵なかあちゃん、
たくさんの”てらうちの人々”を
只今、取材中!!!
和尚山伝説
むかし、この山のふもとには大蛇が住んでいました。この大蛇は川の水をすっかり飲み干しては洪水や地すべり、土砂崩れなどをひきおこしては人々を苦しめていました。 しまいには川向いの山と山をくっつけて川の水をせき止めようとしました。こうなれば大変です。ここで川がせき止められたらこの辺だけではなく平野全部が湖になってしまいます。二つの山がゆさゆさと動き出したのを見た人々は大騒ぎになりました。
すると、ちょうどそこへ一人の旅の坊さんがやってきました。坊さんは人々が口々に訴える話を聞いていましたが、やがて決心したように
言いました。
「それではわたしに七日分の食べ物として七連のくし柿と水を用意してください。それからあの山の頂上に穴を掘り、わたしを大きな箱に入れて生き埋めにしてください。わたしは七日七晩生きていて大蛇退治の祈りをしてあげましょう。」
坊さんは村の人に七連のくし柿と水を用意してもらうと、自らそれを背負って山を登り始めました。村の人々も後からついてぞろぞろと登っていきました。それから、深い穴を掘ると坊さんとくし柿と水を入れ、息がつけるように一本の長い竹筒を立てました。そしてみんなで、泣きながら土をかけていきました。
それから、七日七晩の間、穴の中からは坊さんがお経を唱える声とカーンカーンという鐘の打つ音がきこえました。こうして七日間の晩がくれ、八日目の朝がやってきたころは、お経を唱える声も鐘の音もしだいに弱まり、とぎれとぎれになってきました。
するとそのころ隣の村では大騒ぎが起こりました。一軒のうちのあげばふ(煙出し)からあし毛の馬に乗った大蛇が沼の方へ逃げて行ったのです。
人々は急いで山の上に登ってみますと、坊さんの埋められた穴の中からは、お経を唱える声も鐘を打つ音も聞こえませんでした。
旅の坊さんのおかげで、大蛇は逃げてゆき村の人々は平和な暮らしをおくれるようになりました。