子育ての様々な問題


 
Q.どうしたら子供がもっと勉強するようになりますか。
A.魔法のような方法はありません。しかし子供が勉強する目的を理解すれば、それぞれの能力に応じて、自分から勉強するようになるはずです。いい大学に入って、一流の会社に入って、安定した生活をする、という説明で納得する子供は少数です。またすべての子供が勉強に向いているわけではありません。クラスの5番以内に入るのは6人ではなく5人です。そして目標を失う子供が大部分になってしまいます。ある時点で5本の指に入っても、勉強はだんだん難しくなり、そこから転落すると元に戻るのは簡単ではありません。設計者ばかりでは家は建ちません。今から、子供が将来どんな職業に向いているのかは分からないのが普通です。しかし分かっていることもあります。算数ができなければ大工さんはできません。漢字が読めなければ、ほとんどどんな職業でも困ります。5番以内に入るかどうかは別として、いま勉強しなければ他の人に役立つ人間になることはできません。自分の子の将来の生活の安定のために勉強させるのは、動機付けとしては弱すぎると思います。子供は心のどこかに、もっと高い目標を持っているものです。それを引き出してあげるのが親の役割ではないでしょうか。その前に親が高い目標を持つべきであり、5歳の男の子が地球を救うために戦うウルトラマンにあこがれるように、子供たちは崇高な目標には大いに影響を受けるものです。
 
Q.子供はガミガミいわずにおおらかで自由に育てるべきでしょうか。
A.子供の持っている良い面を伸ばすのは大切ですが、自由放任にすると良い面よりも、子供の持っている悪い面をもっと伸ばすことになります。子供は自由にしておくと、当然ながらしたいことだけをしてしたくないことをしません。食べたいものだけ食べて、嫌いなものは食べません。ニンジンやほうれん草の好きな子供は少ないのですが、しかしそれは子供に必要な栄養素であり、お母さんは嫌いなものも食べるように工夫するのではないでしょうか。聖書は親たちに「子供を怒らせてはならない」と命じています。これは子供の機嫌をとるようにとの命令ではなく、親が原因で「子供を怒らせてはならない」という意味です。
 
Q.どんなときに子供は、親が原因で怒るのですか。
A.親が守っていないことを子供に命じるとき。ある時はゆるされ、別の時には禁じられる一貫性のなさ。感情的にしかるとき。親の希望を押し付けるとき。つまり、子供をしつける前に、親は自分自身をしつけ、自分自身のわがままをコントロールしなければなりません。そうでなければ、子供をしつけない方がまだ良いのです。
 
Q.厳しくしつけても、子供の自主性と主体性は育つのでしょうか。
A.現代は子供の主体性を重視する時代であると思いますが、プラス・マイナスの結果が出ていると思います。たぶんマイナスが大きい気がします。わがままなままで自主性を伸ばすともっとわがままになるからです。子供はまず、親、先生、大人といった目上の人に従うことから始めるべきです。「1.従う、2.自主性」が正しい順序であり、その逆ではありません。それは自然界でも守られている秩序であり、そうでないと親ガモは子ガモを守ることはできません。子供の自由な部分はだんだんと増えるべきで、最初から全部与えるのではありません。そして最終的に子供は完全に親から離れて自立するのです。最初から自由を与えられた子供は、いつまでも親から独立することができません。
 
Q.親の権威を振り回すのは封建的で昔のやり方ではないのですか。
A.小さな子供たちが遊んでいるところをよく観察してみてください。たとえば、ある子が「鬼ごっこをしよう」と言うとそうなります。しかし別の子が「ぶらんこをしよう」と言ってもみんな無視します。なぜそうなるのでしょうか。鬼ごっこがしたくて、ブランコがしたくないからではありません。誰がそう言ったかが重要であるのです(心理学者ジェームズ・ドブソン博士の言葉)。ガキ大将のような子が言えば、従わなければどうなるのか。子供は小さなときから権威に従うことを知っているのです。問題はそれが正しい権威であるか、間違った権威であるかを見分ける能力です。小さいときに親や先生という権威に従うことを学習していない子供は、仲間やクラスのボスの権威に従うようになっていくでしょう。その顔を立てるために国家の権威である法律を破り、我が子が鉄格子の中で権威を学ばなければならないとしたら気の毒ではありませんか。
 
Q.引きこもりの子供がいます。どうしたらよいでしょうか。
A.簡単な解決や名案はありませんが、なぜ引きこもりが起こるのかを理解しようとすることが、解決のための出発点だと思います。本人も外に出たい、人とうまくやっていきたい、と望んでいるはずですから、そうしないことを叱る必要はありません。そうしたいがそうできない具体的な理由は人によって様々でしょうが、根本にあるのは傷つきたくないという恐れです。「いい年をして」などと親がしかったり、バカにすることは、さらに傷つけることになり逆効果です。人は傷つきながら成長するものです。それをなんとか本人に理解してもらうことが解決のために最も重要なことです。心理学ではそれを「去勢」と呼んでいます(「社会的ひきこもり」終わらない青春、斉藤環著、PHP新書)。文字通りの去勢とは、男性シンボルである生殖器を切り取ることです。そのように自分の力が他から切り取られるとき、人は傷つきながらも自分は万能ではないことを知り、社会の中で自分に与えられたふさわしい役割を自覚していくものです。男性の多くは小さいとき、ウルトラマンなど英雄のまねをして遊んだことがあるはずです。そのとき自分は万能で英雄のように思っているのです。そのために引きこもりは男性が圧倒的に多いのです。傷つきながら人が成長することを、どのように本人に伝えるのかは人それぞれで簡単ではありませんが、そこが親の出番です。上述の本などを参考にしてください。