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4.自分に価値ある者を愛する愛
 
 命の大切さを子供たちに語ることによってだけ、このような悲劇を無くそうとするなら、あまり効果は期待できないと私は思います。「一人の人の命は地球よりも重い」という言葉は立派ですが、なぜそうなのかという説明は最終的にはできません。また現実の社会はそのようには動いていません。価値があるから愛するという考えは、価値がなければ愛さなくて良いという考えと裏表です。
小学校の二人はそれまで仲良しだったけど、ホームページに悪口を書かれた、というところまで聞いて私は入院しました。友達が敵になりました。昨日までは価値があったけど、今日からは最も価値が無くなるのです。妻よりも若く美しい女性が現れたら、妻を愛さなくなってしまうかもしれません。価値があるから愛するのは、ナチス・ドイツの基本的な哲学であり、ヒットラーは病人、老人、障害者を軽視し、大量のユダヤ人を抹殺しました。
 価値あるものを愛すること自体は悪いことではなく、自然な気持ちです。問題は「自分に」価値ある者だけを愛する心です。主イエスは「自分を愛してくれる人を愛したところで、あなたがたのどんな報いがあろうか」と言われました。「敵を愛し、自分を迫害する者のために祈りなさい」と命じました。
 「敵を好きになりなさい」と、命じられていないことに注目するべきです。好きになった敵はもはや敵ではありません。敵が敵であるままで愛しなさいと命じられているのです。「敵」や「味方」という言葉は、自分を中心にした言い方であり、客観的で普遍的な事実を伝えているのではありません。第二次大戦中、ドイツは日本の味方であり、連合国の最大の敵でした。どこから見るかによって、敵や味方は違ってくるのです。
 自分の利益、自分の名誉、自分の幸福、自分の好み、等々。自分にこだわる思いがすべての争いの根底にあります。それが壊されたり壊されそうになったときに争いがはじまるのです。大人も子供も同じです。少女は他の人のホームページに書き込まれた悪口を気にしたと伝えられています。私たちは、他の人がばかにされることに激しく怒るのでしょうか。おそらくそうではないでしょう。でも自分が少しでもバカにされたと感じたとき、私たちは激しく怒るのです。