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美術 


The Eternal

 今回 はじめての油彩への挑戦であります。

 きっかけは、研究会議の席で名古屋大学工学研究科M教授から1ミクロンレベルの精度を誇る研究用CT装置を紹介されました。性能説明の中で「西表島の星の砂」のCT写真が映し出されました。暗くした部屋の中で、まるい視野のなかに、微細な巻貝やサンゴ、ヒトデの断層撮影像が詳細に精密に映しこまれていました。自然の造形の妙の美しさでありました。太古の時代から変わらずに流れる悠久の時間が、この小さな宇宙に凝縮されていました。

  突然同時に、イタリアでみたことのある、まるいラファエルロの「小椅子の聖母」のイメージが浮かんでまいりました。

 しばらくして、熊野灘に旅行に行ったときに、海岸で寄せては帰す波を見つめておりますと、「海」や「波」も悠久の時間の中で変わらぬものであったと気づきました。晴天の波打ち際で波に手を浸して、海の冷たい感触を楽しんでいると、先日見たミクロの世界のヒトデも5本の触手、わたしの両手の指も5本の指であり、「なあんだ、おなじなのだ」と、こんなところにも生命の継続と悠久の連鎖があるように思えました。

 波濤の躍動感と手の存在感、そして、マイクロCTでみた星の砂の小宇宙が、まるい額縁の絵の世界の中に存在していることを際立たせるために光と影を求めて立体的に制作しました。真ん中のヒトデは、2016年ナポリの学会に参加した時に、カプリ島で買ったヒトデをモチーフに描きこみました。左上の赤い描写は赤い蛍光色素DiIで標識された脳内の神経細胞をモチーフに描きこんだものです。これも永遠にかわらぬ世界です。

 幸せの象徴として、純金色のあふれる光の世界を盛り込みました。あかるい青空を背景として光が降り注ぎ、聖母の周りにあつまり、そして、海へとしたたりおちてあまねく広がっていきます。聖なる光は水面に映り佇んでいます。

まなざしと明るい光のある「悠久」をかんじて、Happyな印象をもっていただければ、と思っております。

20160810
島田順一


 

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