研修医宿題
ステロイドとその力価
本間幸恵
日頃私たちが使用しているステロイド。ステロイドといってもその使用目的によって使用する薬剤を選択していかなければならない。まず、もっとも代表的なプレドニンについて述べる。その上で、その他のステロイド剤の力価の比較について調べてみた。
プレドニゾロン錠
組 成:1錠中 プレドニゾロン 5mg 含有
作用機序:抗炎症反応、抗アレルギー作用を示す他、生体における諸種の代謝反応、生体免疫反応への作用をあらわす.
用法用量:1日5−60mg、1日1−4回
禁 忌:本剤過敏症
原則禁忌:有効な抗菌剤の存在しない感染症・全身真菌症、消化性潰瘍、精神病、結核性疾患、単純疱疹性角膜炎、後嚢白内障、緑内障、高血圧症、電解質異常、血栓症、内蔵手術創のある患者、急性心筋梗塞の既往
慎重投与:感染症、糖尿病、骨粗鬆症、腎不全、甲状腺機能低下、肝硬変、脂肪肝、脂肪塞栓症、重症筋無力症、高齢者
併用注意:
(本剤↓)バルビツール酸誘導体、フェニトイン、リファンピシン
(併用薬↓)抗凝固剤、経口糖尿病用剤
(両薬剤↑)利尿剤
副作用:
(重大)誘発感染症・感染症の増悪、続発性副腎皮質機能不全、糖尿病、消化性潰瘍、膵炎、精神変調、うつ状態、痙攣、骨粗鬆症、骨頭無菌性壊死、ミオパチー、緑内障、後嚢白内障、血栓症
*(その他)副腎不全、ざそう様発疹、多毛症、興奮、満月様顔貌、体重増加、多尿、白血球減少、月経異常、成長障害(小児)、創傷治癒遅延、ステロイド筋症、皮膚線条、紫斑、皮膚萎縮、高血圧、不眠、高脂血症 etc
特記事項:連用後、急に投与中止すると離脱症状(発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等)が現れることがある。副腎皮質ホルモン剤を投与中の患者にワクチンを接種して神経障害、抗体反応の欠如が起きたとの報告がある。
ステロイドの薬理作用の比較
薬品名 | 商品名 | 薬理作用の力価比 | 塩類代謝 | 血中半減期 | 生物活性半減期 |
ヒドロコルチゾン | コートン |
1 | ++ | 70min | 8-12h |
プレドニゾロン | プレドニン |
4 | + | 150min | 12-36h |
メチルプレドニゾロン | メドロール | 5 | 0 | 150 min | 12-36h |
トリアムシノロン | ケナコルト | 5 | 0 | 200min | 24-48h |
ベタメタゾン | リンデロン | 25-30 | 0 | 200min | 36-54h |
デキサメタゾン | デカドロン | 25-30 | 0 | 200min | 36-54h |
ステロイド療法についてのアドバイス
1.多くの自覚症状の改善は1/2〜3日でみとめられる
2.検査所見の改善は2−4週かかることあり
3.短期使用ですむ場合は多量投与しても可
4.慢性で重要臓器に病変のない場合は少な目に投与
5.減量は必ず適当なindicatorを参考にして行う
6.わずかの症状悪化で再増量しない。しかし増量するときは多目に
7.プレドニンの効果が弱いとき、デカドロンなどが著効を示すことあり
8.副腎萎縮を防ぐため、離脱のためにはプレドニンが体内にない時間を増す。
9.やや軽んじられている重要な副作用:骨粗鬆症、血管障害(動脈硬化)
July 30, 2002
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