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研修医宿題

局所麻酔薬の基礎知識(その3)

石原駿太

【局所麻酔(浸潤麻酔)】

局所麻酔は意識消失を伴わずに行う鎮痛目的の麻酔であり、侵襲性の低い手術や簡単な救急処置、周術期の全身麻酔と併用した鎮痛目的などで用いられ、硬膜外麻酔、伝達麻酔、浸潤麻酔、表面麻酔などがある。浸潤麻酔は、局所麻酔薬を皮内・皮下または粘膜に注射して、感覚受容器・神経末端を麻痺させる方法である。創の縫合、膿瘍の切開、皮膚または皮下の病変(脂肪腫やアテロームなど)の切除など小外科手術のほとんどが浸潤麻酔下に行われている。病変の周囲の皮内および皮下組織に局所麻酔薬を注射すると、周囲軟部組織に局所麻酔薬が浸潤し、手術創の知覚神経皮下枝への麻酔が可能となる。


【浸潤麻酔の手技】

無菌操作で実施する。消毒し滅菌シート(あるいは覆布)をかけ清潔野で操作を行う。滅菌した器具、必要物品はあらかじめ用意しておく。いつも用いる器具であれば、チェックリストを作っておくと手際よく準備できる。
目的の部位またはその周囲に局所麻酔を注入し中心部の無痛を得る。皮下あるいは皮内の病変を切除する場合、病変をはさむ2点から扇状に浸潤させるとよい。感染組織への注射は避けた方が良いとされている。

【持続時間/投与量】

すべての局所麻酔薬は浸潤麻酔に使用可能である。神経線維が細いほど局所麻酔に対する感受性は高い。したがって痛覚(無髄C線維・Aδ線維)→温覚(Aδ線維)→触覚(Aβ線維)→深部覚(Aα線維)の順に消失していく。ただし交感神経節前に存在するB線維はランビエ絞輪にNaチャネルを多く含み、例外的に感受性は高い。
適切な浸潤麻酔に必要な局所麻酔薬の投与量は、麻酔が必要な範囲と外科的手技の予想時間から決定する。広範囲の麻酔が必要な場合では、麻酔薬溶液を希釈し投与量を増やした方が良い。
例えば、体重50kgの成人に対して最大安全量が4mg/kgであるリドカインを用いた浸潤麻酔を考えてみる。4mg/kg×50kgでは200mgの投与が可能であり、1%溶液では20ml(1% キシロカインポリアンプ 2A)、2%溶液では10ml、0.5%溶液では40ml に相当する。浸潤麻酔で使用する場合、リドカインは約0.3%まで希釈しても有効なので、溶液の希釈により広範囲をより安全に麻酔することができる。また、アドレナリンを添加すると麻酔持続時間が延長し、最大安全量も増加する。これはアドレナリンが血管収縮を促し、麻酔薬の血漿への流入を低下させ、組織で麻酔薬が停滞するためである。ただし、指動脈や終末動脈には血流を途絶させるため、アドレナリンの添加は禁忌である。局所麻酔を適切に行うことにより、安全で苦痛の少ない手技を行うことができる。

参考:ミラー麻酔科学,「こだわり」の局所麻酔,局所麻酔エッセンスなど

February 14. 2013

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