[第8室 大きなキャンバスの油彩画]
大きなキャンバス(P120)に槍ヶ岳を描く過程を見て,次に部分拡大をして絵筆の筆跡を見ることにします。
まず,輪郭を大胆に描きます。この時は長い線が沢山描かれます。
色は黒でないことが多い。
これだけ大きなキャンバスに彩色する場合,太い絵筆でぐいぐい豪快に描くものと予想していましたが,
まったく違いました。
点と思えるような短い線で絵の具をキャンバスに置いてゆきます。
いつ終わるかと心配になるほどです。
その上,キャンバスが大きいため,左側で描いている時,右側は画家の視界に入りません。
これで全体のバランスが取れるのが不思議です。
制作過程を見ます。
輪郭を描き始める
大胆な輪郭
小さな点と線で色を置いてゆく
完成直前。輪郭の線はほとんど消えている
完成した「双六から槍ヶ岳」
(布キャンバスP120)
--------------------------------------------------------------------- 以上の写真:笑鬼庵提供 -----------------
大きなキャンバスに丹念に点と短い線で描いている様子は傍らにいるだけで迫力を感じます。
腕をまっすぐに伸ばし,絵筆をすっとキャンバスに置いたと思うと次の瞬間キャンバスを離れています。
その上,出来上がった絵をみると点のように小さな線で描いたとは思えません。
絵筆の跡を見ようと絵を6分割してみました。
例によって,各部分をクリックすると拡大画面が現れます。
拡大しても点と短い線で描いた絵には見えず,長い線と広い面で構成されているように見えます。
枝葉末節にこだわってしまいました。
高山の絵は,ほとんどが見上げる角度で描かれることが多いのですが,この「双六から槍ヶ岳」は,3000メートル近い場所まで出掛け,高地からの視線で描かれた迫力ある作品と感じています。
北アルプスにスケッチブックやカメラを背負って出掛け,これはという場所ではテント泊もするという熱意と体力があればこそです。
この時,強力なバックアップをしてくれる人の存在が,この絵の制作を可能にしました。
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