----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ
 <書名など>
 「ノラや」
      内田百間(ひゃっけん)著
           「ひゃっけん」の「けん」の漢字は私のパソコンでは見当たらない。
     旺文社文庫,1983.1 初版発行
      284ページ
 


 この著者の本を読むのは初めて。
 画家の鎌倉さんに借りた。彼の愛読書。
 なつかしい旺文社文庫。まだ消費税がなかった頃の発行。


 著者の家にいつの間にか居着いた猫「ノラ」が失踪して,生活が「ノラ」一色なってしまう随筆的体験話。

 可愛がる様子は猫好きには当然であろうが私には異様。
 その猫が出て行ったきり帰らない。そしたら何とするか。
 あちこち探すのは当然として,新聞に折り込み広告を出し,賞金も付ける。3000円。昭和32年当時としてはけっこうな額であろう。
 情報が入ればすぐに駆けつける。もちろんいたずら電話もあったわけだが。
 ただし,駆けつけるのは本人ではなく奥さんや親しい人など。帰ってこないので泣き暮らす。

 3ヶ月もたった頃には4回目の折り込み広告を出す。外国人用に英語の折り込みも。

 帰って来るようにとのおまじないで,次を刷り込んだ。
 「たちわかれいなばの山のみねにおふる,まつとしきかばいまかへり来む」
 こういうおまじないがあるとは知らなかった。
 まあ,おまじないとしては和歌を上手に使っているようにも思える。

 結局「ノラ」は帰らず,似た感じではあるがしっぽの短い猫「クルツ」がなぜかいついてしまう。

 多くの情報の中から手紙で寄せられたものが掲載されている。ほとんどの人が長い熱心な手紙を書いている。

 それにしても昔も今も猫の好きな人の熱意はすごい。猫嫌いな私も引き込まれて,なんとか「ノラ」よ帰ってくれ,と思いながら読んだ。

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