----- こんな本に出会いました -----
         本との出会いを記しただけ。感想文になっていない読書メモ

 <書名など>

     「磁気工学の有限要素法」

     高橋則雄著

     朝倉書店、電気電子工学大系3
     6,000円+税
     321ページ
     2013年4月 初版第1刷発行



 著者の高橋則雄先生がこの2月に急逝された。
 まえがきの日付が1月、発行が4月である。
 本書の仕上がりをご覧になる前に亡くなられたのではないでしょうか。
 62歳だったはず。


 高橋先生には故中田高義先生と連名で名著「電気工学の有限要素法」がある。
 それをさらに幾段階も発展させたものが本書である。

 高度な磁気現象と有限要素法による技法を一体的にとらえた成果が、みごとにまとめられている。
 特に、ヒステリシス損と渦電流損、磁気特性に関する記述、永久磁石の解析法などにはこれまでのご苦労が見事に整理されている。

 論旨は常に分かりやすく、内容は高度であり、高橋先生のお話ぶりが聞こえて来るようです。

 それにしても、この年齢で亡くなられるとは、信じられない思いです。
 世界のProf. Takahashiでしたから世界を飛び回りつつ研究を進めるのは、心身共に緊張の連続であったと思います。

 お会いしたときはいつもにこやかに議論に乗っていただきました。  
 私のおかしな手法にも「それは駄目だ」とは決して言わず、「こんな問題が生じませんか」とか「私はその方法では良い結果が出ませんでした」とか、おだやかに助言をしていただきました。

 私が、電子複写機用のマグネットローラで、永久磁石が鉄の微粒子を吸引せずに反発する箇所があるという発表をしたときだけは「そういう現象は知らなかった」と驚かれました。今になると私の小さな自慢です。

 高橋先生と会話をしているような感じで全体に目を通しました。
 最後の付録1を読み終えたときは涙が出ました。

 高橋則雄先生の功績を讃え、感謝を込めて、謹んで哀悼の意を表します。

 
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