◇ 紫檀系棹材


続きまして、黒檀以外の材です。
また黒檀と比較してみましょう。

紫檀はマメ科の材で、削り立ては紫色なのでこの名前ですが、
切り口が空気に触れて数ヶ月で黄色や茶色に変色します。
なので、よく乾燥している荒割棹材を見ると、
あれ?これで紫檀?と思ってしまいます。
そんな時は皮一枚削らせてもらいましょう。
カンナ1枚であっと驚く色味が出てきます。
出てこない材もあります(笑)。


アフリカ黒檀と本紫檀

左:アフリカ黒檀     右:本紫檀

荒割材での紹介ですが、同じ紫檀系とは思えない違いですね。
本紫檀の削った色味具合は下記で紹介します。

黒檀系の種類分けが難しいのと同様、
ローズとか花梨とかも含めた紫檀系の類の材種を
学術的に分別していったら本当にきりがありませんので、
やめときます(笑)。


サンプル端材

上:本黒檀

左:アフリカ黒檀     中:カミゲン     右:ユシ木

下:八重山黒木


◇ ユシ木

白太は薄茶〜薄紫系、心材は茶系。
縞杢というか年輪の縞が若干見える。
沖縄産というよりは九州南部産か?
白太も心材もかなり硬く、よく詰まっている。
導管などの隙間はほとんど見えない。
棹材在庫ございません。

ユシ木って、何系なんでしょうか。僕は知りません。
マンサク科のイスノキという説明がありました。
防風林に使われ、家具や木刀などに使われるそうです。
イスノキ、ユスノキ、ユシギ、というような呼ばれ方をしています。

ユシ木は、例えば棹材全体が白太で出来ている場合、
比較する対象が無いと白太と心材を間違え易いですね。
また、樹齢が若いと色味の差があまりはっきりしないそうです。


◇ アフリカ黒檀

白太は薄黄系、心材は赤黒系〜青黒系があり、分類は不明確。
ほぼ真っ黒〜赤茶色で、年輪のような縞杢がある。
アフリカ産。
マメ科の紫檀系。
アフリカンブラックウッドとも呼ばれる。
白太と心材の境目が明確。
樹皮はアメーバーのように入り組み、
棹材を取るには歩留まりが悪い。
もとの樹木が大きくなり、数百kgの原木が輸入される為、
注文製材するか、他業者が割ったもので手頃な材を探す事になる。
普通の彫刻刀なら刃が折れる、とんでもなく硬い材。
荒割棹材の在庫数本ございます。

あれ?アフリカ黒檀って、黒檀じゃないの?
と思いますよね。
黒檀とは名ばかりで、一般的に黒檀と呼ばれるカキノキ科の種類とは違い、
こちらはマメ科の材で、紫檀と同じ種類の材なのです。
紫檀系の、一番濃色な材という事です。


アフリカ黒檀

アフリカ黒檀の輪切りです。
年輪のような縞杢が、入り組んだところまでキレイに見えますね。
でもまだこれは入り組んでいない素直な方です。
割れはもちろん、入り皮や空洞が多い材です。
この材は、三線立ての土台にしていますよ。


◇ 本紫檀

白太は薄黄系、心材は茶〜紫系。
不規則もしくは年輪のような縞杢がある。
インド産。
マメ科の紫檀系。
白太と心材の境目は明確。
導管はやや大きく、色味の個体差は大きい。
荒割棹材の在庫ございます。


インド産の本紫檀

真っ黒けに見えるインド産の本紫檀です。
直径1mほどの巨木から取った、
白太がちらっと入っているいちばん外側の材なので、
かなり濃いです。濃密です。
いちばん上の比較写真と同材の共木ですが、
削るとこんな感じです。
この材は本当にローズウッドという名前の通り、
削ればバラの香りのように甘ったるいです。
製作中に本当にハチが飛んできて材にとまったりします。
夏場におしるこ飲んでるみたいになってきます。

僕が取り扱っているものはインド産の本紫檀だけです。
紫檀系は他に色々と手を出してもあまり差が出て来ないと思いますので、
自主規制しております。
幾つかは持っておりますが。。

加工後は手がしばらくバラ(っぽい)匂いになります。
ちなみにアフリカ黒檀を加工した後は手がソラマメの匂いになります。2日間くらい。
さすが豆科です。ジャックと豆の木です。


よじ登る。。

とりあえず戻ってみる。