◇ 音づくり♪2
まず、棹の基本設計から確認します。
◇ 分当てって。
これが重要だという話はよく聞きますね。
それは音にすっごく影響するからだそうですが。
太鼓と棹の関係に若干角度を付けるのですね。
で、その前に棹の芯が斜めなんだとか?
その目的は具体的になんなのでしょうか?
理論的な話を聞いた事は一度もありませんので、
勝手に考えちゃいます。
◇ 芯はどこへ向かっているのだろうか?
芯の中心線の延長線の向かう先は、
天裏の糸蔵の上端、
もうちょい上ですかね。
そう書くのがその目的に合っていると思います。
これはいったいなんなんでしょうか?
◇ タテ振動とヨコ振動
真壁型で言えば、芯の断面は縦長ですね。
チマグも縦長ですね。
タテ方向よりヨコ方向の方が弱くなっています。
なぜでしょうか。
それは、ヨコ方向に動きやすくする為です。
三線は弦楽器で、弓のように弦を張っているので、
タテ方向に反ってタテ方向にびよよーんと動く棹だと思われていますが、
音づくりに重要なのは、ヨコ振動です。
◇ ヨコ振動って?
三線を構えて、
左手を上下に動かす方向が、ヨコ方向ですね。
この方向に素早く動かしてピタッと急停止させると、
天だけは手前に曲がっているので、
糸蔵あたりの細い部分とかが
わずかにねじれたり戻ったりして天が震えますね。
体感は出来ないかもしれませんが。。
これがヨコ振動です。
◇ 棹を腕で例えると、
腕を前に伸ばして、
手のひらを下に向けて手首の力を抜いてだらーんとしまして、
野と天のような形にしまして、
腕の力で手首を左右に振ってみます。
手の先は軽いのでぶらぶら大きく動きます。
今度は、指先にスマホくらいの重さのものを持って、
手首は力を抜いてだらーんとしたまま、
スマホとか落とさないように、
同じように振ってみますと、
重量が増した手の先は動きにくくなり、
代わりに手首が多く動きます。
天が大きくヨコ振動すると思いきや、
天は重たいので、実際には手首の方がヨコ振動しちゃいます。
動きやすいように力を抜いているのは糸蔵で、
手首の上面のいちばん動く部分に歌口を配置してあります。
野と糸蔵との間で振動の動きの上下左右やねじれなどを伝えて調整し、
歌口を乗せているのは乳袋ですね。
ここも音づくりで重要な部位です。
◇ 芯の中心線
これは、質量の重心軸でもあります。ほぼ。
棹単体を芯を下にして手放しで直立させた時に地面に垂直になる軸であり、
芯の中心線はこれと一致しています。ほぼ。
棹は、チーガに刺して上下の穴で支えますので、
天の揺れでもなんでも芯の元と先で支えていますから、
そこからの配置がどうなっているか、
こういうバランスの設計になっているのですね。
こういう基本設計が理解できた上で、
じゃあ棹なり弦なりをどのように動かしたいのか、
動かしたいように動かせられれば、
音づくりができるわけです。
そのためのアイデア、秘策があるわけですね。
◇ で、分当ては?
分当てって、ほんとは設計通りチーガのセンターに穴開けでOKなんだけど、棹が寸法通りに仕上がらないから、それを最後にチーガの穴で調整しちゃおうって事でしょうか。
でもやっぱり、設計通りに作れた棹の方がいいです。棹材のたわみ強度も含めてですよ。
でもやっぱり、棹もチーガも、お互い設計寸法通りに製作して、ビシャッと嵌合するその気持ち良さ!を追求するよりも、ある程度のところで現物合わせしちゃった方が早いです。
ギュッと入るか、サクッと入るか、この感覚的なものは、精密寸法測定してるよりも、現物の材の表面に聞いた方がいいです。
チーガの厚みが80mmなら、
チーガの穴開け位置は、
チマグ側は、表裏とも30mmずつの高さで芯穴が20mm。
猿尾側は、表裏とも33mmずつの高さで芯穴が14mm。
いや、つまりセンターなんですけどね。
楽器の中心軸が、野やトゥーイだと思っちゃダメ。楽器全体の基準はチーガで、そのセンターを貫いている部品が芯なので、基本は芯穴がド真ん中。
そこから伸びている棹が設計通りに出来ていないんじゃあ仕方ない、穴位置ズラして調整するかー。
そんな具合です。
だから、上記の寸法がばらばらで、何か難しい意図があるんじゃないか?と思っちゃうワケですが、あるかもしれませんよ?
でもそれは…僕の耳の限界を超えている話かもしれません。今は決めつけないでおきます。今後この文章を改訂する日がくるかもしれません。
ただ、棹が完成して弾いてみて、最後の音づくり調整をチーガの穴位置で行った場合、弦の高さがおかしくなったりして合理的ではありません。逆に棹の強度が予想と違った場合には、弦の高さが思い通りではなくなるので、微調整します。つまり当初の設計に近づけるのであり、音づくりとはちょっと違う目的ですね。
ちなみに僕が分当てした穴位置は、上記寸法通りになっていません。
何ででしょうか?わかりません。
何ででしょうか?それは、チーガがそもそも80mmではないからかもしれませんね。
ちなみに分当てって、表裏方向だけじゃなくて側面方向もあるんですが、まあいっか。
◇ 皮の張りとかは?
ちなみに、僕は皮張りはやりませんよ。
何故かというと、出来ないからです。
材料も無ければ用具もありません。
いや、だって蛇ですよ?
いやいや、爬虫類は嫌いじゃないですけど。
玄関先に住んでる蛇と一緒にしゃがんで朝日眺めたりしてますもん。
蛇がしゃがむかどうかは知りませんけど。
音づくりに関しての皮張りは、
とにかくしっかり張ってある事ですね。本皮ならば限界がいいです。
ただし、弾力性の無いカチカチの皮をガッチリ張られてて、動かない!ってのが過去にありました。
なのでまあ、普通でいいです。一般的で。
それ以外に調整する必要は無いと僕は思います。
この棹には若干緩めの張りの方がいい、なんていう話も出るようですが、
音は棹でつくるものです。
よじ登る。。
とりあえず戻ってみる。