◇ 音づくり♪4


前ページの通り、棹を立ててみました。
このバランス、わかります?

つまり、芯がまっすぐで、野は傾いている設計なのです。



直立棹

直立棹

直立棹

自立出来る棹は世の中でこれ1丁だけかもしれませんね。
いや、バランスが世界一すごい棹なんじゃなくて、
立てるために猿尾の底面を調整してある棹なんて無いと思います(笑)

でもこうして実際に立てて眺めていると設計の意図がわかってきます。
そして、
地球は本当に回っているのだろうかという新たな疑問も生じており。。


◇ チマグは動かない点

まず、完成した三線の重さの重心はチマグにあり、
チマグは動かない点であり、節です。
チマグを基準にして歌口側がより多く動くように野を作り、
天がヨコ振動したがる力の反発を、
チマグの逆側の太鼓がカウンターウエイトといいますか、
天と逆方向に動く事でバランスをとり、
棹全体が反って戻ってを繰り返します。
そのヨコ振動の力を調整しているのが芯です。


◇ 芯は縦長で、ヨコ振動。

野は弓と同じタテ振動から始まるけれど、
タテヨコ合わさってグリグリ円運動になる。
けれどチマグの形状や支えている芯の影響で、
やっぱりヨコ振動の方が大きく、
楕円を描く運動になる。
チマグ基準にグリグリ回る感じ。
そうイメージするとチマグの形が理解出来ますよね。

だから芯の幅は細くしてあるのですが、
ここは何の制約もなく自由な調整が、
完成後にも出来るのです。
だから塗られていないのですよ。


◇ 塗られていない場所

芯、爪裏、糸蔵、カラクイ穴、
あとはまあ、歌口の差し込み部分はとりあえずとしまして、
これらの部分で完成後の鳴り具合を微調整します。
強度と重量のバランスですね。


◇ カラクイ穴で?

カラクイ穴でも音の調整をします。
カラクイ穴って、相当難しいんですよ?
試しにカラクイをね、
キュルキュルっと緩んでしまう寸前まで
緩めに押し込んだ状態にして弾いてみて下さい。
これで左手に伝わる振動が増える事もよくあるんです。
ギッチギチに完璧な擦り合わせをしてしまうと、
カラクイが糸蔵を補強してしまうんですね。
カラクイはなるべく糸蔵の動きの邪魔をしないように、
しかしチンダミしやすくしっくり止まるように調整します。


よじ登る。。

とりあえず戻ってみる。