◇ 音づくり♪6


縞黒檀の三線製作しながら音づくりしてます。
三線という楽器がどのような音づくりの設計なのか、
昔の賢者たちがどのような設計をしたのか、
解ってくると楽しいもんです。



◇ 音づくりの設計とは?

なぜ芯の断面は縦長なのか
なぜ野の断面は逆三角なのか

弦を張ると縦に強度が必要だから?
そんな単純な事ではありません。

野丸がなめらかだと弾きやすいから?
そんな単純な事ではありません。

そういう事を理論的に説明できるようになれば、
音づくりも当てずっぽうじゃなくて
狙って調整が出来るようになります。

しっかりとした根拠があるのです。

音づくりの設計です。
昔の賢者の仕業です。
ほんとにすごいです。
尊敬します。


◇ またちょっと試しています



角の野

野をほとんど角材の状態で弾いてみて、
削りながら音の変化を見ていきます。
頭、胴、脚のバランスをどうするか。

ほんの一例ですが、
例えばこの写真の状態だと、
野が太いけど細かい振動は出るから硬い音。女弦だけは良好。
野が角だと大きな揺れは持続しない。中弦も硬い音。

まあ、糸蔵や芯などは今までの最善を盛り込んであっての状態ですが。


◇ で、設計は

ナイショです
みーんなナイショにしてます。
だって、それを探すのが楽しいんだもの。
でも知りたい人には教えちゃいます。
ウチの工房で実際のモノを見たら解ると思います。

あの、開鐘の図面とかにはいちばん重要な設計と意図は
記載されていませんのでね、
あの通りに寸分狂わずキレイに製作しても
鳴りませんのでね。
いやたまたま鳴るかもしれませんけども。

よく鳴る三線って、
トゥーイが波打ってようが、
塗りが適当であろうが、
鳴るもんは鳴るんですよね。


このあとこの角材三線は、
野を少しずつ削っては弾いて、
なるほどね〜まあそりゃそうだよね〜、
っていう経験を味わったあと、
なんて言うんでしょう、
16角形の半分のような多角形に削ったところで、
うん、よし、
このくらいでちょっと弾き込んでみないとわからないな。
で、30分くらい唄ってたら、
ほらほら、鳴ってきた鳴ってきた!


◇ 素質を響かせる設計



古縞黒

ちなみにこの材は古〜い縞黒檀。
床柱が他の材に紛れて倉庫に積んでありまして。

新しい材はカットすると表明だけ酸化して赤くなっていて
中身は白っぽい感じなんですが、
この材はどこまでカットしても中まで真っ赤でした。
つまり長い年月を経て中まで乾燥し酸化し尽くしていました。

それを荒割してウチの工房で数年寝かせた後、
屋内天井に吊るして14年。
ざっくりと、ウチに来て20年。。

これって例えば、
伐採から製材して床柱に加工するまで5年、
床柱に縞黒檀入れちゃうくらいのしっかりした家が
取り壊されて解体屋が引っこ抜くまで40年、
それを引き取った木材屋の倉庫で5年、
それを僕が拾ってきて音出しまで20年。
さて、全部で何年経ったでしょうか。。


そして樹齢。
縞黒檀はそんなに超ゆっくりってワケでもないですが、
今回の材は縞黒檀の中でもかなり詰まっているし
真っ黒だし原木の直径も50センチオーバーなので、

半径250mmを年1mm育つとしたら、樹齢250年。


荒割材を叩くだけでいい響きなのですが、
これを生かすも封じ込めるも、
音づくり次第です。

つまり、素質の音があり、
それを響かせる設計で作るのです。




よじ登る。。

とりあえず戻ってみる。