◇ イラクサで絃を作る

アイヌの伝統で、イラクサという植物の繊維を採取して
織物や紐など様々なものづくりをする手芸があります。

トンコリの絃はクジラの腱で作られていたようですが、
クジラが無い時は鹿で作り、
鹿が無い時は、
いや、鹿が居ないなんて事も無いとは思いますが、
そんな時は、植物の繊維でも使ってみましょうかー
という事で、イラクサでも絃を作っていたそうです。

ただ、やはり強度的には動物絃に敵わないという事で、
楽器としての音がどーのこーのという真剣な話はさておき、
紐という手芸を一歩進めて、絃作りに挑戦してみましょう。


◇ 材料入手

今回はなにしろ、
イラクサの根株を自宅の庭に植え、
春になって芽が出てきて、
その新芽を山菜として食べちゃうのをグッと我慢し(笑)、
晩秋まで維持して軽く枯れるのを待ち、
根本からバッサリと収穫するという、
原料が出てくる所から携わってみました。


◇ 伝統手芸

アイヌ伝統の作り方です。
これは実際にアイヌの講師に直接教わりましたので、
繊維から絃を作る工程は大丈夫だと思うのですが、

実はちょっと、伝統とは違うところがあります。
イラクサは葉にも茎にも毒針がトゲトゲしているので、
まず葉を落とし、
茎のトゲをヘラでパリパリ擦って落とし、
そして外に吊して乾燥させました。
アイヌの方法と違うのは、
乾燥時に雪にさらしておくのが本来だそうですが、
自宅ではそれが出来る環境ではなかったので、
そのまま吊して揺られてスムレラ(季節風)にお任せしました。

さらになんと、ここまで来ておいて重大な発表です。
植物の種類が違うのです。
イラクサにはたくさんの種類がある事は知っていたのですが、
・日本にも自生している。
・シソに似た葉を付ける。
・1mほどの高さに伸びて生長する。
などの情報をアイヌから頂いておりまして、
本州で自生している種類で上記に適合する根株苗では
ミヤマイラクサという、俗称「アイコ」だと思って
それに決めたのですが。。

どうやらエゾイラクサという、
実にもっともらしい名称の植物が
北海道に自生しているらしいのです。

見た目の違いはといいますと、
茎から葉が出る様子なのですが、

ミヤマイラクサは、
茎にあるひとつの節から1枚だけ葉が出て、
この節で右、次の節で左、と左右に互い違いに出るのです。

が、エゾイラクサは、
ひとつの節から左右2枚が出ているのですねー。

お勉強になりましたね。

で、どうしましょ。

と言っても仕方ありません。
イラクサはイラクサ、
やってダメなら来年からは
山菜として食べちゃうしかありません(笑)。


◇ 繊維の採取

アイヌでは乾燥したイラクサを踏んだり折ったりして
粉々にしてから繊維を取っているそうです。
つまり、乾燥した茎はパキパキ砕けて、
その中にある強い繊維だけが残る訳ですね。
では真似してみましょう。
バリバリ、ポキポキ、パラパラパラ、
ヒュー(スムレラ)
ジャラジャラジャラジャラ。
はい。見事に粉砕して何も残りませんでした(笑)。

というのは半分冗談ですが、
パキッと折ったら繊維ごとちぎれてしまいます。
やはりエゾイラクサより弱いのでしょうか。

ただ、繊維はたくさん出てきます。
そこで、先っぽだけ砕いて、
まずは皮を剥いでみます。


イラクサ


茎は中空で、パキッと折れます。
皮は切れずにしっかりしていますので、これを剥いでみると、


イラクサ


茎と皮の間から細くてキレイな繊維がたくさん出てきますので、
茎からめくり上げるように取り出していきます。


イラクサ


皮もなんだか強いので、
樹皮の繊維で紐を作ったのを思い出し、
この皮でも紐が作れるのではないかと思って
一応取っておく事にしました。
先に皮を取って細い繊維だけの状態。


イラクサ


今回は初年度の収穫でしたが、
しっかりした茎が十数本採れましたので、
ほら、こんなにたくさん…


イラクサ


いやぁ、これしか採れないのですね。
しかもやっぱり、葉の付き方が違う為なのか、
20cm程度の長さで節に当たって切れてしまいます。
短いのは、僕の修行が足りないせいでしょうか。
でも、繊維はしっかりしているようですので、
とりあえず1本は絃を完成させて張ってみますので、
出来たらまた載せますね。


ちなみにアイコという山菜は、
美味しいですよ〜
なのに、特に東北地方では放射能の関係で
山菜が食用として販売出来なくなっているようです。
僕がお世話になっているお店です。
是非ご覧下さい。

山菜、きのこ直売所
「ちいくろ」 さん
http://sansaikinoko.com/



よじ登る。。

とりあえず戻ってみる。