今日は天頂山に登ってきました。
冬になると、夏はハイマツに覆われ登ることが困難な知床の山々への思いが湧きあがります。
前日から天気予報を確認し、朝起きて、窓から外を眺めると、日の出前のまだ薄暗い空に静かに知床連山がそびえています。
この機会を逃すことはできません。
行程序盤の、かつて羅臼岳から流れた溶岩流が造った緩斜面はテレマークスキー(ステップソール)で軽快に進みます。
山腹に差し掛かり、斜面がやや急になると、板にシールを貼り、クライミングヒールを起こしてハイクアップしていきます。
今年は雪がとてつもなく少ないです。ウトロの積雪でも例年の半分くらいで、記録的な少なさだと思います。
いつも使っている尾根はハイマツやダケカンバの木々が出過ぎていて登り辛そうだったので、別の雪が良く着いている尾根を選びました。
途中、黄色い硫黄成分と思われるものが沈殿する沢を発見しました。周りには例の硫化ガスのにおいがただよっています。残念ながら温泉ではなく水は冷たかったですが、知床は活きた火山であることを実感します。
山頂直下は雪が少なくボコボコアイスバーンで滑れる状態ではないため、板をデポして、ブーツにアイゼンを装着して詰めました。
ウトロから苦労して登っていき、知床半島の脊梁の峰にでて、羅臼側の流氷の海、そこに浮かぶ国後島が見えたときは、いつも言葉にならないほど感動します。
こういった冒険や挑戦は直接お金にはなりません。
しかし、ここに至るまでは、技術や経験を磨き、知識を蓄え、道具を準備し、やっとたどり着くことのできる景色です。
僕は集客に没頭し、日々の忙しさにかまけて、ただ業務を漫然とこなすガイドにはなりたくありません。
40近くなり、これから体力は落ちていくかもしれませんが、日々技術を研鑚し、反省し、新たな発見をし、人間的に成長し、ガイドに活かしたいと思っています。
生きる糧も、試練も、感動も、すべてを与えてくれる、知床の自然と人に感謝しつつ。 |

天頂山 雪が少なすぎてハイマツ出ている

天頂山からは羅臼岳の展望が最高

硫黄の沈殿する泉 水は温かくはないが活火山を実感

山頂から凍った羅臼湖と知西別岳
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