春の蜃気楼

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富山湾では二パターンの蜃気楼が現われます。
おもに春に現われるものを「春の蜃気楼」、
秋から春にかけてよく現われるものを「冬の蜃気楼」といいます。
 春の蜃気楼の多くは短い時間に変化します。
長い時間見えているものでも、ある場所に注目すると
短時間で変化しています。
下の写真の蜃気楼は数分間で、もとにもどりました。
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人工の蜃気楼
蜃気楼は人工的にかんたんに作ることができます。
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自然の中でも光は曲がります。
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富山市からも蜃気楼は見えます。
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こんな姿で観測しています。
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蜃気楼の姿
蜃気楼は対岸の景色をさまざまな姿に変えてくれます。

一像の蜃気楼
もとの景色がちぢむ蜃気楼です。
目立たないので、よく景色をおぼえていないと見のがしてしまいます。
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二像の蜃気楼
いわゆる蜃気楼といえばこれです。
ほんとうの景色の上に逆さの像ができるものです。
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三像の蜃気楼
本当の景色の上に逆さの像、さらにその上に、ちぢんだ正立の像ができるものです。
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魚津市埋没林博物館が蜃気楼になりました。
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春の蜃気楼は冷たい空気の上に暖かい空気がある(上の方が気温が高い)
というだけでは現れません。
ある高さの領域で気温が急激に変化する気温躍層がある必要があります。
例えば、海風が侵入する場合などが考えられます。
気温躍層の高さによって蜃気楼になる対象までの距離が違ってきます。
同じ日に同じ対象を観測していても、時間とともに気温躍層の高さが少し変化することにより、
違った姿を見せてくれます。
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14時24分 15時01分 15時16分(灯台の手前が蜃気楼になっています)
ある日の生地鼻灯台付近のようす

同じ高度気温分布で同じ対象でも、観測地点までの距離によって見え方が違います。

高度気温分布を作り、対象までの距離によって
どんな蜃気楼が現れるか見てみましょう
下図の左が高度気温分布表で右がそのグラフです。
ここでは、高度10m付近で気温が急激に変化するようにしてあります。

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高さ2mで観測する時、光路は下の図のようになります。
(横軸が距離で単位はkm、縦軸が高さで単位はmです)

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観測者から対象まで6kmある場合、12kmある場合、元の景色は下図のようになります。
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6km先 12km先 元の景色

対象が12km先にある場合、三像の蜃気楼になっていることがわかります。

気温躍層の高さによって蜃気楼が現れる範囲が決まります。
ある決まった距離にしか対象がない場合、
気温躍層が形成されても蜃気楼が現れないことがあります。
一方、富山湾ではその地形から、さまざま距離に対象があるため、
決まった距離の場合に比べて、
蜃気楼が現れる可能性が大きくなります。
これが、富山湾でよく蜃気楼が観測される理由の一つです。