富山の雪


1987年以降とそれ以前では気象データに大きな変化があります。
富山地方気象台(標高9メートル)の1968年から1986年と1987年から2005年の
それぞれ19年間の冬季(12月〜2月)を調べてみると、
平均気温は2.9度から4.1度と1.2度も上昇しています。
そして降雪量は前者が475センチ、後者が265センチで後者は前者の56%しかありません。
一方、降水量は前者が平均で694ミリ、後者は668ミリと大きな変化はありません。
気温の上昇が雪を雨に変えたのでは?
富山(標高 9m)1968年〜1986年1987年〜2005年
平均気温(12月〜2月)2.9℃4.1℃
降水量(12月〜2月)694mm668mm
降雪量475cm265cm
1987年以降の降雪量の1986年以前に対する割合56%

そこで、気温がより低いと考えられる標高の高い所を調べて見ることにしました。
神通川を上っていくと標高215メートルの猪谷があります。
この地点では1981年から降雪量を測っています。
それによると1981年から1986年が平均889センチ、1987年から2012年が700センチで
後者の割合は79%でした。
しかし残念ながら猪谷では気温を測定していません。
猪谷(標高 215m)1981年〜1986年1987年〜2012年
降雪量889cm700cm
1987年以降の降雪量の1986年以前に対する割合79%

富山県内には適当な標高で気温と降雪量を測定している観測点はないので、
標高が富山地方気象台より高く猪谷より低い標高180メートルの
石川県の白山吉野を調べてみました。
1981年から1986年と1987年から2012年のそれぞれの冬季(12月〜2月)の降水量は
前者は平均で851ミリ、後者は884ミリと大きな変化はありません。
一方降雪量は前者が827センチ、後者が561センチで後者は前者の68%です。
標高から見るとこの割合は気象台と猪谷の間にあります。
平均気温は1.3度から2.6度と1.3度上昇しています。
気温の上昇は気象台と変わりませんが、気温そのものは気象台より低い値です。
白山吉野(標高 180m)1981年〜1986年1987年〜2012年
平均気温(12月〜2月)1.3℃2.6℃
降水量(12月〜2月)851mm884mm
降雪量827cm561cm
1987年以降の降雪量の1986年以前に対する割合68%

さらに標高の高い所で気温と降雪量を測定している観測点ということで
標高471メートル岐阜県の河合を調べてみました。
1979年から1986年と1987年から2012年のそれぞれの冬季(12月〜2月)の降水量は
前者は平均で515ミリ、後者は544ミリと大きな変化はありません。
そして降雪量は前者が895センチ、後者が873センチで後者は前者の98%です。
ほとんど変化はありません。
一方、平均気温は-1.1度から-0.5度と0.6度上昇しています。
河合(標高 471m)1979年〜1986年1987年〜2012年
平均気温(12月〜2月)-1.1℃-0.5℃
降水量(12月〜2月)515mm544mm
降雪量985cm873cm
1987年以降の降雪量の1986年以前に対する割合98%

1987年以降、気温の高い地域では雪の一部が雨に変わり降雪量はかなり減少したが、
もともとの気温が低い地域ほど降雪量に大きな変化がないことがわかります。

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