冬の蜃気楼

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富山湾では二パターンの蜃気楼が現われます。
おもに春に現われるものを「春の蜃気楼」、
秋から春にかけてよく現われるものを「冬の蜃気楼」といいます。
 少し冷えて、やや風のある日、海岸に出かけてみてください。
対岸の景色はいつもと変わりませんか?
 水平線の少し上にまるで鏡をおいたかのように、本当の景色の下に逆さの像ができていたら、それは蜃気楼です。
 これは砂漠の蜃気楼の仲間で、初めて話題になった頃、冬によく観測されていたため、この名前がついています。

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もともとのようす冬のしんきろうに変身!!

長い鉄板の下を暖め、鉄板ごしに向こうの景色を見てください。
冬の蜃気楼ができていませんか?
 鉄板付近の暖かい空気の層と、その上にある冷たい空気の層を光が通るとき
屈折し蜃気楼ができます。

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自然の中では海の上の暖かい空気の層とその上を吹くやや冷たい空気の層を通してできます。
 実験に比べ二つの空気層の間にそんなに大きな温度差がない分を距離で補います。

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みかけの鏡の高さは距離によって違い、
近いほど低く、遠いほど高くなります。

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 手前にある舟の見かけの鏡の高さは背景の高さより低くなっています。

冬の蜃気楼は夏以外の季節にかなり頻繁にしかも長時間観測できます。
また、富山湾に限らず日本各地で観測されています。
テレビを見ていると、赤道直下の海でもこの蜃気楼が見えていました。

pic_38.jpg 石川県で見た冬の蜃気楼

pic_39.jpg 沖縄県西表島で見た冬の蜃気楼

日の入りの蜃気楼
冬の蜃気楼の仲間に「日の入りの蜃気楼」があります。
日の入り直前、みかけの鏡によって太陽の上縁に逆さの縮んだ像ができ、
まるでラグビーボールのように見えています。

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日の入りの蜃気楼 蜃気楼とみかけの鏡

逃げ水
アスファルトの上に見られる「逃げ水」は冬の蜃気楼の仲間です。
アスファルト付近の空気層の温度と、その上の空気層の温度の差が大きいため、
短い距離にあっても蜃気楼になるのです。
逃げ水の中をよく見てください。
近くの自動車などが逆さの像として映っていませんか?

逃げ水の中に逆さの自動車!!

 冬の蜃気楼をたてにした(?)蜃気楼を見ることもできます。
冬の晴れた日、南に面した壁があると、そこは太陽の光を浴びて暖まり、
その付近の空気層も暖かくなります。
でも少し離れるとそこはもう冬の冷たい空気
下(?)が暖かくて上が冷たい空気の層を通して蜃気楼ができるのです。

壁ぎわの蜃気楼というわけですみかけの鏡は立っています