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レンズ設計工程のフローチャート

レンズ設計工程は製品開発・設計工程の中でも比較的上流にありますので、開発コンセプトに合った光学設計仕様の作成が最初の作業になります。

開発コンセプトの内容を光学特性・性能に置き換えて設計仕様項目を設定し、具体的に数値化します。また仕様項目ごとに光学設計における技術要素に展開し、重要な要素はどのようなものかを把握します。技術要素とは、レンズ構成や使用する硝種等の機構的要素と、球面収差やコマ収差等の光学的要素を指します。重要な要素が従来技術では達成が困難と判断された場合、ボトルネック技術としてオーソライズして、対応策を検討することが大切になります。

設計仕様値や技術要素が決まりましたら、初期データの作成になります。初期データは実績のある既存のデータや特許データを使用して作成するのが効率的です。また新規に取り組む場合は、近軸理論からレンズパワー配置を設定して作成する方法もあります。

初期データができましたら、仕様を満足するように収差補正を行います。曲率半径やレンズ間隔・肉厚などレンズパラメータを変化させて球面収差等各収差を補正しバランスを取りながら、仕様の実現をめざしていきます。昨今の収差補正は設計ソフトを使用した最適化自動計算が主流ですが、収差補正初期段階ではグローバル最適化、レンズ構成や収差状況が把握できてくると局所的な最適化と最適化方法を使い分けていくのが効率的です。最適化の状況によっては手動で収差補正することもあります。

収差補正をしながらMTF等の結像性能も評価していきますが、仕様を満足するまで収差補正と性能評価を繰り返して行われるため、この工程が最も時間を費やすことになります。

仕様を満足する設計ができた後は、各パラメターの感度計算製造誤差シミュレーションを行って生産性の評価や光学部品の公差の決定を行います。感度計算結果が厳しく生産性がないと判断された場合は、再度収差補正や初期データの作成までさかのぼって設計を進めなければなりません。

以上が大まかな設計手順になりますが、設計者個々が効率よく設計を進める手順を確立することが最も大切であると考えています。

レンズ設計工程のフローチャート

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