魚菜王国いわて

国内海産物の価格の低迷

ワカメ
ワカメの価格低下があってから久しいが、これは、輸入ワカメの影響をモロにうけたものだ。
実は私の家でも、以前、ワカメ養殖をしていたが、零細であった分、割りに合わなくなるのも早く、やめてからもうかなり経つ。
養殖漁業からすべて手を引いたのは、漁船漁業専業を、私が選択したことにあるのだが。
あの当時でさえ、資材購入分と人の手間賃を引いて赤字か、トントン。
その後も価格は下がったから、ワカメ漁家の苦悩がわかる。
今は陸前高田で、協業化を試しているところである。

国内産のワカメは、海外産と比べて品質が良いゆえ、漁業者側は差別化をはかり、販路を確実なものにして価格低下を防ごうとしている。
しかし、以前から問題になっている海外産とのブレンドを、販売業者が勝手にやって、高く売りつけている。
おそらく、大資本商社が始めたことなのだろうが、自由経済だからといってやって良いことと悪いことがあるはずだ。
まあ、このブレンド問題はおいておくが、海外からの輸入で儲けた分が、ワカメ漁家の減収分になっているのは、誰でもわかる。
その減少分を搾取しているのが、商社と言えるだろう。
商社とは、そういう手法でしか、儲けを出すことができないのだろうか?

マグロ
マグロの空輸は、何年も前にテレビで紹介されていた。
もともと、マグロは凍結しなくても、何十日かは氷でもつ。
そこで、東南アジアなどの漁船が漁獲したマグロを空輸するのだから、日本のマグロ漁船にとっては脅威である。
日本に比べて、漁船の建造費用、人件費、資材物価は比較にならないほど安い。
しかも、マグロを獲る技術は日本製である。

現在、海外へとマグロを求めて航海する日本のマグロ漁船は、青息吐息である。


もし鮭が、日本で漁獲されるものだけ日本の市場に出回っているのなら、岩手の漁業界は、前途洋々たるものであった。
漁協の経営基盤は、秋鮭に支えられている、と言っていい。
しかし、海外からの油っこい鮭が、日本の市場を席捲し、大不漁となっても、以前の価格に戻ることはない。
漁がよければ安くても問題ないのだが、2年連続大不漁もあって、見通しが立っていないのが現状である。
海外との賃金格差が縮まらないと、輸入鮭の価格は相対的に安く、したがって、魚価が回復する見込みはない。



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