魚菜王国いわて

民主政と利益誘導について

国民(一般市民)と国家(自治体)との関わりは、税金徴収と予算執行に集約される。
国家は何のためにあるか?
この問いに答えるならば、現代ではやはり、国民の要望に応え国民を食べさせていくためにある、という答えになるだろう。
民主政国家の当然の答えである。
ところが、民主政というのは、選挙によって国民が悪い選択することもある。
今、日本が置かれている、いや、世界中の愚かな民主政国家が置かれている状況は、まさに悪い選択をした民主政である。

利益誘導をいう言葉をご存知であろう。
選挙で「ここに皆さんのために道路をひきます。新幹線を通します。港湾を作ります」と言って、票を集めるようとする光景は未だ普通である。
これが利益誘導である。

三陸沿岸の国道45号線を車で走ってみると、この利益誘導道路が見当たる。
現在建設中の三陸道山田道路から大船渡の三陸道までの間に、最も渋滞で悩んでいる地区がある。
それは、釜石から鵜住居までの道路で、特に朝はひどいものだ。
三陸道が部分開通する前から、ここは岩手県の45号線上で最も渋滞するところであった。
しかし、なぜかこの区間は、そのままで改善されていない。
不可解なのは、新三陸トンネルの大船渡側と山田道路である(新三陸トンネルの開通はそこが難所であったがゆえ理解できるのだが)。
この両地区は、現国選代議士の票田であり、一方、釜石地区は、市長が政権とは程遠い立場の人間である。
この差から、釜石地区は道路整備から取り残されている。
もし本当に岩手のことを、沿岸のことを考えているなら、大船渡地区や山田地区より釜石地区の道路整備が先のはずだ。
ここに利益誘導のあからさまな事実が見出すことができる。

宮古の場合でたとえるなら、ある候補が「三陸道促進、港湾建設、沿岸空港設置等の事業により雇用創出あるいは県内陸部との格差是正する」と主張したとする。
対立候補に「今後の環境汚染、財政悪化、資源減少を考えると更なる道路建設などはやめて、市民の自立を促すような地域の新たな価値観を創造するよう努力し、資源循環型の社会を構築する」と主張する人がいたなら、あなたはどちらを選びますか?
従来の考えの方なら、恐らく前者を選ぶと思いいませんか?

選挙において、候補者の提示した利益誘導策を、国民が選択したことにより、日本が抱えている諸問題の原因を作ったと言っても過言ではない。
利益誘導は民主政の帰結かもしれない。



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