魚菜王国いわて

第三セクターと責任

第三セクターを、現代用語辞典で調べると、「民間と地方自治体の出資による官民共同経営組織」となっています。
事業出資は、普通、官のものか、あるいは、民間のものしかなかったのですが、官民の共同出資という新たな出資形態を作り、それを第三セクターという言葉で表現するようになったのでしょう。(←ホントウかな?)
9月22日付岩手日報では、県内の第三セクターの45%が、赤字決算だとしていました。
赤字率は全国第二位であり、この調査結果を出した東京商工リサーチ盛岡支店では、次のように指摘しています。

「第三セクターは民間が手を付けない不採算部門を行っているという言い訳を錦の御旗にしているとコスト意識が低くなる。時代に合わなくなった組織の淘汰が増えるのではないか」

「民間が手を付けない不採算部門」は官がするべきことで、第三セクターの位置付けとしてはふさわしくない。
というより、そもそも第三セクターとは何なのか?
もしかして、新種の責任のがれの手法ではないか、という疑いを最近になって考えるようになりました。

どうしようもない超過債務の例が、同紙でも挙げている「陸中たのはた」。
誰が責任を取っているかといえば、これも結局、田野畑村の住民です。
第三セクターは、非常に中途半端な社会的位置にいます。
責任の所在が不明確なことから、明らかに官のやり方です。
これなら、第三セクターという名はまやかしです。
全国的にも有名な第三セクター鉄道である三鉄も赤字続きとなりました。
この赤字の責任は、すべて県にあります。

頭にくるのは次の発言です。

県の包括外部監査は三月「現状のままでは破綻の恐れがある」と厳しく指摘。

これは、11月5日付同紙の、八戸新幹線開業の特集(1面)で、三鉄を例に引き出して語っている記事「銀河鉄道の行方」を中にあります。
そんなことは誰でもわかります。
そこのどこに原因があるのか、ということを「厳しく」語らないと。
監査が自分の仕事だけすればいい、というようなコメントの仕方は非常に頭にきます(今日は勝手に頭にきています)。
他の領域へもっと踏み込んで、部署同士が喧嘩するくらいの指摘がないと解決しないのではないでしょうか。

責任は誰が取る?
(2002年11月27日)

加筆
地方自治体には、ご存知のとおり、カネはありません。
もしカネがあるならば、第三セクターなどという出資形態など選択せず、自治体が全額出資するはずです。
これを考えると、第三セクターとは、足りない分を民間から資本を募る、という性格のものになるんじゃないでしょうか。
出資した民間会社や個人は、赤字事業の担い手である自治体事業に投資したのですから、出資金は寄付的な性格が濃くなります。
第三セクターで最も尊敬されるべきは、出資した民間会社、または個人であり、その人たちが経営責任を問われるのは、道義的におかしいと思います。
逆に、問われるべき責任についてですが、第三セクター事業によって恩恵を受ける住民にも、責任はあると思います。
例えば、「三陸沿岸の悲願のため」に建設したはずの三鉄に対し、周辺住民が全く協力していません。
これは、その三鉄の負債を、周辺住民が免れることができない、ということを示すものです。
(2004年6月7日)



地方へ

トップへ