魚菜王国いわて

自然電源促進税

温暖化抑制には原発が必要?
ちょっと前(5月17日)に、経済産業省から、「2002年度エネルギー需給実績」が発表されました。
これを見てみると、エネルギー需要は増える一方。
1990年との比較で、家庭用電力、乗用車など増えているのがわかります。
反対にバスは微減ですね。
私の家では、10年前に比べれば、乗用車利用は明らかに減っています。
私が乗らなくなりましたから(笑)。

この「2002年度エネルギー需給実績」の評価として、地球温暖化を防ぐには、原子力発電が重要な位置を占める、と新聞発表されています。
嫌ですねえ。
原発をもっと作るんですか?
原発って、安価ではなく、かなり金がかかっているのに。
その分を私たちは電気料金で支払い、原発立地地区の住民はややもすれば被曝し、原発のゴミは厄介なものですから、管理するためのカネも永遠にかかります。
「原発は安全だ!」という人は、自分の土地に誘致して、カネをもらいなさい!
安全なら、東京や大阪の臨海地帯に作ればいいし、放射性廃棄物もおまかせします。
どうぞご自由に!

反比例型目的税
さて、原発を増やさずに、化石燃料を燃やす発電所を減らすにはどうしたらいいんでしょうか?
それはやはり太陽光発電、その他の自然電源ですね。
そこで、税金を使って太陽光発電を流行らせましょう!
その名は題名の通り、「自然電源促進税」!

本当は「電力税」と名づけようとしたんです。
で、これを検索にかけてみると、ドイツの電力税がヒットします。
最初にヒットするのは、「社会経済研究所」のサイト。
しかし、 論文の著作権がどうのこうのと書いているので、そんなところは見たくありません。
インターネットは「情報の共有」が主な目的で、商売は二の次。
あらまあ、話が横に行ってしまいました。

電力税は炭素税のことであり、炭素を排出する燃料などに税金をかけるもの。
それによって、二酸化炭素を抑制しようとするものです。
だから電力税でも良かったんですが、「電源開発促進税」というのを見つけてしまい(見つけたというより、知らなかったのです)、それがなんとまあ、ひどい税金なんです。
これは後述しますが、これにちなんで「自然電源促進税」としたわけです。

私が増税法案を作成する時は(笑)、反比例関係を利用する目的税しかありません(炭素税などはこの方式がほとんどでしょう)。
これを「反比例型目的税」とでも命名しましょうか。
この例は、このサイトを立ち上げた時に書いた「社会の転換には税金を使え!」(←ファイル消失)で、すでに反比例型目的税は持ち出していますが、命名したのは今回が初めてです(笑)。

同じ要領で考え、購入した電力量の電気料金に外税方式で数%を掛け、それを「自然電源促進税」とします。
その使途は、当然、自然電源に振り向けられ、最初は家庭向けの自然電源用発電の促進補助です。
とにかく家庭用は自前で賄うようにするんです。
ここでちょっと谷直重さんのサイト「ようこそ我が家の太陽光発電へ」のページ「粗っぽい計算による勘ぐり」(←リンク切れ)をご覧ください。
ここにはいろいろ有益な情報が詰まっていて読めばわかりますが、家庭用の電気を自分で賄うということは、「電源開発促進税」は払わなくてもいいわけで、当然、私が提案する増税法「自然電源促進税」も払わなくてもいいのです。
「自然電源促進税」を導入しても、家庭用発電施設が普及しない場合は、割合(%)を上げて増税し、領収書には税金額を大きく表示するようにします。
そうすれば、いくら電源税を支払っているか自覚するでしょう。

全世帯に普及したら、今度は事業所、会社を対象にし、利用できる自然電源を眠らせておかないようにし、それから足りない分はしかたがないから、ガス発電でも使うとかすればいいと思います。
家庭向けの補助の方法として、「累進補助」方式にし、つまり所得の多い世帯には少ない補助、所得の少ない世帯には大きい補助をします。
極端に言えば、高額所得者には補助なしにして、本当に生活の厳しい高齢者だけの世帯には全額補助とか、まあ、いろいろ細かいところは任すとして、所得を考慮した補助が望ましいのではないでしょうか。

電力会社と国が口裏を合わせて原発促進をし、広報活動では「原子力エネルギーはどうしても必要だ」と国民を洗脳していますから、もう国を相手にしても始まりません(でも、太陽光発電は、国からの補助があるはずです)。
ですから、この「自然電源促進税」は、県でやったほうがいいです。
目的税は目的が達成したらやめてもいいですし、全世帯が太陽光発電になったら、税金は0円ですからね。
うん、やはり「反比例型目的税」は素晴らしい!

原発目的税である電源開発促進税
懸案の「電源開発促進税」についてですが、ようこそ我が家の太陽光発電へに書いてある通り、1kwh当たり44.5銭(42.5銭?)を私たちは支払っています。
電気量の約2%です。
この税金の使われ方がまた問題なんです。

ここで「原子力百科事典ATOMICA」の「エネルギー予算の概要」のページを参照してください。
電源三法制度を表したわかりやすい図を見ると、「電源開発促進税」の使途は、「電源立地勘定」と「電源利用勘定」に分かれていて、「電源立地勘定」はほとんどが交付金であり、原子力発電所費用のようです。
エクセルファイル「電源開発促進対策特別会計歳入歳出予算(財務省,文部科学省及び経済産業省所管)」(←リンク切れ)をダウンロードしてみると、「電源立地勘定」は平成15年で2,507億円、「電源利用勘定」の方は2,348億円で、「電源利用勘定」の「電源利用対策費」2,066億円の内訳は、はっきりと原子力予算となっているのが1,273億円で、一応半分より多いくらいで、ほとんど原発用の「電源立地勘定」よりはマシです(マシという表現が適当かどうか?)。

先ほどの「電源利用対策費」の中に、「太陽エネルギー発電等開発導入促進対策費」という名目で685億円計上されています。
これが太陽光発電の補助に向けられているのかもしれませんが、「電源開発促進税」総額4,855億円からみれば、たったの14%にすぎません。
また、同じ項目に、「石炭火力発電開発導入促進対策費」16億円、ってのがあるのも、首をかしげてしまいます。
こんなわけで、原子力発電促進のために、「電源開発促進税」を私たちはコツコツ払わされています。
これじゃ、先ほど紹介した谷さんのように、太陽光発電で自家発電し、税金を払わないようにしたほうがいいですね。

石炭火力発電所
疑問符の石炭火力発電についてですが、「WORLD WATCH」誌の「MATTER OF SCALE」で、「石炭をめぐる現実」を掲載しています。
「MATTER OF SCALE」とは、データ比較をしているコーナーです。

肺炎を起こすスモッグの主要構成物質である酸化窒素(NOx)を、新型車で年間1万トン発生させるのに必要な台数・・・・50万台
同量のNOxを平均的な規模の石炭火力発電所で発生させるのに必要な数・・・・1基

主要な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)を、ミシガン州モンローで年間1,750万トン放出していた石炭火力発電所の数・・・・1基
木々を伐採して同量のCO2を大気中に放出する場合に切り倒さなければならない本数・・・・7億6,100万本

2003年後半の時点で、イラク戦争の余波で死亡し、その死が大きな政治問題になったアメリカ人の概数・・・・300人
広く容認されている統計モデルに照らして、毎年ミシガン州モンローの石炭火力発電所が原因の病気で死亡すると思われる人の数。(ジョージ・ブッシュは、石炭火力発電所の新規建設を優先事項に掲げた新しいエネルギー政策を売り込むスピーチの場としてこの発電所を選んでいる。)・・・・300人

2000年のオハイオ州チェシューの人口・・・・2,500人
アメリカ電力会社(APE)の石炭火力発電所による汚染をめぐり、市民と同社との間で話し合いが長期化し、同社が結局汚染を止めるのではなく、町そのものを買い上げるという結論を出した後のチェシャーの人口・・・・12人

出力100万kw規模の標準的な天然ガスや石油火力発電所で毎年排出される二酸化窒素(SO2)の量。(酸性雨の主因である。)・・・・44トン
同出力の石炭火力発電所から毎年排出されるSO2量・・・・3万トン
(「WORLD WATCH」2004年1/2月号p46)

これを読めば、誰もが首をかしげたくなると思います。
さあ、「自然電源促進税」をやってみましょう!

という私は、太陽光発電をしてないことを告白しておきます。
非常に難しい問題を抱えています。
また、私が世帯主でないことも理由の一つです。
(2004年6月1日)

加筆
検索していたら、「家庭用太陽光発電設備普及と国の補助金制度(1994〜2003)」というページを発見しまして、国の太陽光発電の普及補助制度が書いてありました。
国の補助制度の欠陥を指摘したものです。
何と、補助金が余っていて、次年度繰越がかなりあるんだそうです。
たまげました!
どうして余るんだか?
やはり、上記の「自然電源税」のような「反比例型目的税」方式にして、自分の出した税額を自覚させるような効果を税金にもたせるべきだと思います。

上記のページでは、補助のあり方を提言してあり、消費者の購入への動機を与えるために「発電原価保証方式」を勧めています。
具体的に言えば、発電設備を20年で償却する場合の発電原価を計算して、現状の売電価格との差を埋め合わせるような補助の方法です。
また、太陽光発電を次のように認識しています。

「太陽光発電設備は逆潮流で系統へ繋がっているという点から見ると個人の屋根に有っても社会全体のエネルギー供給のインフラの一部となっているのである。」

「素晴らしい!」の一言に尽きますね。
このページは「太陽光・風力発電トラスト」サイトにあり、さすが専門家!という感じです。
インターネットは素晴らしい。
「知識や情報の共有ができている」と、実感した今日でした。
(2004年6月2日)

加筆U
上記の反比例型目的税と似たようなものが、地球白書にありました。

環境に及ぼさない製品の製造と購入を促進するために、政府は優秀な製品については税還付を行い、基準に満たない製品に課税することもできる。製品の効率性、耐久性、環境配慮の度合いなどに応じて、段階的に還付や課金を行うシステムを立ち上げてもよい。課金(fee)と還付(rebate)を組み合わせる手法はフィーベート(feebate)と呼ばれ、エネルギー生産者を対象にある程度実施されているが、消費者を対象としたものは導入されていない。このフィーベート・システムはエコラベルやEPR法制と連携させれば、さらに効果なものとなるだろう。
(「地球白書2004-05」p203)

反比例型目的税は、目的が達成されたならば廃止すればいいのです。
税金なんてものは、目的のないものなんて必要ありません。
例えば、自然電源促進税は、100%自然電源となったら、やめればいい。
いつまでもやっていると、その税金は悪用されます。
余った公のカネが良く使われた例は、ほとんど聞いたことがありません。
(2005年1月10日)



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