魚菜王国いわて

韓国産混入の宮城産カキ

宮城産のカキに韓国産のカキが混入されている、という報道が、5月8日付「河北新報」に掲載されました。
岩手日報では何の報道もなく、たまたまその日に限って、河北新報を読んだのでわかったことですが、このような事件は、他所では、頻繁に起こっているのかもしれません。
水産物の偽装はたくさん行われているのかな、って思えてきます。

以前、親戚が、私の家に遊びに来たときです。
たまたま獲りたてのカキを、近所の養殖漁家からもらい、それを生で食べてもらいました。
その親戚も漁師ですが、今まで、生ガキを旨いと思ったことがなかったそうです。
私の家で食べて、カキを旨いと初めて感じたと言ってました。
それほど市場に出回っているカキは、美味しくないようです。
私も買って食べた時はマズイの一言でした。
あんなもの、もう買ってまで食べたくありません。
10年ぐらい前ですかね、私のところでもカキ養殖をしていました。
カキは旨いものだと思っていましたし、そのような鮮度の良いものしか食べたことがなかったのは事実です。
したがって、私が市販のカキを食べてマズイと思うのは、無理がないのかもしれません。

生食用販売のカキは、滅菌処理しています。
一方、加工用販売のものは、滅菌処理をしていません。
滅菌処理をすると、どうしても味が落ちます。

現在でも、鮮度さえ良ければ、滅菌処理せずに生で食べても、食中毒にはなりません(保証はしませんが)。
私が養殖漁家から頂くものは、処理していませんし、それでお腹を壊したことは一度もありません(あまりに美味しくて食べ過ぎによる腹痛はあります)。
いくら滅菌処理しても鮮度の悪いものはダメで、逆に滅菌処理しなくても鮮度が良くて、その辺の海水(岩手も海水はまだまだきれいです)で洗ったものは大丈夫です。
それを不衛生に感じる方は、生の味を賞味できないと思います。

最近、HACCP導入で衛生管理が厳しくなっています。
これは、加工・流通・販売業者の怠慢からくる食中毒事件に端を発し、水産業界が危機感を感じて取り組んだものです。
しかし、必ず食中毒は起こると思います。
なんとなくですが、人間の体の方が弱くなっているのではないか、と私は思います。
これだけ衛生環境の良い日本だけが、なぜか、O157で騒がれるのは不思議です。
もしかして、私が普通に生で食べている同じものを、他の人が食べたら、お腹を壊す人がいるのではないでしょうか?

さて、韓国産のカキ混入に話を戻します。
石巻地方の3漁協の指摘で出た疑惑に対し、一部業者から自主的に事実を認める申し出があり、それで混入が明らかになったようです。
この業者の場合、混入ではなく全量すり替え。
すなわち生産地表示の偽装。

記事にあった、宮城県かき出荷協同組合連合会三浦勇理事長のコメントは、理解に苦しみます。
偽装が始まった理由を、15年ほど前からはじめたカキむき作業の週休2日制と、年末年始の長期休業のために、仲買業者が安定供給できなくなったためである、としています。
つまり、その穴埋めとして仕入れた韓国産カキを、そのまま原産地表示すると売れないから、偽装したわけだ。
最後に、この三浦理事長の「再発防止策」を転載します。

安定供給できる生産体制づくりが最優先だ。これが解決されれば、すり替えはなくなると思う。消費者の信頼を回復していくためには、安全で安心なカキづくりに生産者と仲買業者が一体となって取り組んでいくことが必要だ。
(2002年5月8日付「河北新報」)

つまり、カキ生産者が休まずに安定供給しなければ、偽装はなくならない、ということでしょうか!
生産者だって休みたいですよね。
何の理由にしたって、偽装は許されません。
三浦理事長は、辞任すべきではないでしょうか。
8日付河北新報の、三浦理事に対する一問一答を読めば、本当にそう思います。

なお、転載に関してですが、新聞のバックナンバーを他県の人間が手に入れるのは簡単ではないという理由から、一部引用しました。
ネット上の河北新報のページも毎日更新されていますから、もうこの記事を見ることは難しいでしょう!
ぜひとも、関係者は見てほしいです。
9日付「河北新報」では、宮城県に対して届け出をした韓国産輸入カキの取扱量が、かなり少ない、という報道。
前日の偽装記事では、加工用カキについて取り上げていましたが、今回は、それを生食用として販売された疑いもある、とのこと。

まるで生産者をバカにした行為です。
宮城県のカキ生産者は、仲買業者に食い物にされ、しかも、消費者に対する信用も同時に失いました。
金儲けをするにも限度があります。
(2002年5月10日)



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