魚菜王国いわて

ブッシュの罪

イスラム世界の複雑の事情、そしてイラクの建国事情をまったく無視し、さまざまな押し付け的なことを要求し、さらには言うことを聞かないから殺してしまえ!的な傲慢な態度で、戦争を起こす。
まさに、今書いた文章がその通りである、と思えるような文章が「WORLD・WATCH」9/10月号に載っていました。
「FROM READERS」の欄に、つまり、読者の欄に、次のようなことが書かれています。

◆ワールドウォッチにしては政治色が濃すぎる
7/8月号の「Note From a Worldwatcher」に掲載された「大量破壊兵器」の記事は(執筆者の名前が記されていなかったので、おそらく編集者の論説であろう)相変わらず政治色が濃く、そのため私の貴誌に対する敬意も失われつつある。
近いうちに、貴誌の請願書も、知名度の高い他の環境団体の請願書と同じようにゴミ箱に捨てられてしまうだろう。論争することには構わない。政界では、勝つために論争術が必要とされる。だが、これによりバランスが失われた結果、貴誌は、最初から最後まで通読したいと思う雑誌ではなくなった。
イラク戦争に反対する人の多くがそうであるように、貴誌もまた、アメリカだけに焦点を当て、邪悪なフセインとバース党の支配体制には言及していない。思想と言論の自由を享受している貴誌のスタッフも、崩壊以前のイラク政府の支配体制には間違いなく何らかの嫌悪感や恐怖心を抱いていたはずである。
また、認めるか否かにかかわらず、民主主義が環境を保護する上で最適の体制ということも理解しているに違いない。いかなる状況にあっても、災害や失敗は起こりうるが、言論の自由や民主的な政治体制が確保されていれば、失敗に気づき、是正措置を取ることができる(好例として、ラブキャナル汚染事件と汚染除去のためのスーパーファンド法がある)。
私は、先制攻撃を支持しているわけではなく、またブッシュ政権を擁護しているわけではない。ブッシュ政権は石油の利権にこだわり、必要と思われる環境政策を実施していない。だがそれでも、イラク攻撃を正当と考えるいくつかの理由がある。最大の理由が環境の保護である。的外れと思われるかもしなれいが、「環境を軽視し、されに石油によって獲得した多額の資金を用い、環境破壊を進めたフセイン政権を打倒した」のである。フセインはイラク南部の湿地帯の水を流用し(本来の用途に使用せず)、クウェートの油田に火をつけ、イラク国民に対して大量破壊兵器を使用した。動機は報復と権力の保持だった。
貴誌は、ブッシュ政権がイラクの政権交代を行うために用いた手段ばかり論じている。「嘘もつき通せば、真実になる」という考えには同感だ。だが、ブッシュ政権が誇張したほどには大量破壊兵器の存在が、明白で切迫してはいなかったとしても、やはりその脅威はあったと思う。
フセインが所有していたとされる兵器に関しては誤解や誇張もあったかもしれないが、オランダや、フランス、ドイツでさえ、その存在を信じていたのである。国連の制裁措置が解除された後、大量破壊兵器プログラムが再開されるという疑念もあった。
貴誌には賛同できる記事も多いが、議論されている多くに私は疑念を抱いている。とくに戦争の「機会費用」についてのみ論じられているが、資金を、戦争ではなく他の問題の解決に使ったほうが良かっただろうか?そうであったかもしれない。
政策とは常に予算獲得をめぐって競われるものであり、その中から政策を選択し決定するのが政府の役割である。今回選択されたイラクの政権交代という政策にも、これを支持する確固たる理由があった。環境と同様、治安の確保というのも、健全な社会の繁栄のための基本的要素である。アメリカ政府を非難する記事ばかり書いていると、筆者自らの信頼が失われることになるだろう。
   ダグラス・コンドン   スターリング、バージニア

◆エド・エアーズより
この記事は論説ではなく私が執筆者です。編集の過程で執筆者名が抜け落ちてしまったことを、お詫び申し上げます。記事の中でアメリカの役割ばかりが論じられ、アメリカが攻撃した邪悪な支配体制について言及されたいないというご指摘はごもっともです。
たしかに、フセイン政権は邪悪といえます。しかし、カンボジアのポルポトも、ナイジェリアのアバチャもリベリアのテーラーも、そのほかの残虐な独裁者も同様に邪悪です。アメリカはこれらの国に軍隊を動員して、国を解放することはありませんでした。
仮にアメリカ人が、解放運動が戦争の正当な理由であると議決したなら、それでも構いませんが、実際、カンボジア、ナイジェリア、リベリアなどと同様、イラクでも解放運動は実現しませんでした。今度のイラク戦争は、民主的な議論やアメリカ国民による決断の結果ではなく、政府の一部が、アメリカに核兵器、化学兵器の脅威が差し迫っていると欺いた結果なのです。
(「WORLD・WATCH」2003年9/10月号p9)

次に「WORLD・WATCH UPDATES」を紹介します。

2003年7/8月号 4ページ
ブッシュが演出した「大量破壊兵器」
対イラク戦争へのアメリカ国民の支持を得るためにブッシュ政権が用いた脅し戦術は、突然、主要メディアの批判を浴び始めた。ブッシュのイラク脅威論の主要な「証拠」?イラクがアフリカでウラニウムを購入しようとしたという主張?がアメリカ中央情報局(CIA)によって作り事として否定されていたこと、そしてCIA長官が個人的にホワイトハウスに、ブッシュ大統領の主張を撤回させようとしていたことが、明らかになったのである。
(前掲書p16)

以上から、CIAがブッシュに対し「証拠」がウソである、と進言していたことがわかり、ブッシュの暴走が明らかにされつつあります。
すでにアメリカ国民から見放されつつあるブッシュは、人気挽回のためにイラクを極秘訪問しました。
一方、ヒラリーの方は、堂々と訪問しています。
なんと姑息な手段を使うブッシュでしょう。
アメリカ国民にウソをついてまで戦争をしたがることに驚きを覚え、もし、彼がイラクの地に生まれ、フセインと同じ環境で育ったならば、フセインと同じことをしたかもしれません。
ブッシュとフセイン、キム・ジョンイルの3人は、似た者同士なので、はやり素手で取っ組み合い、あるいは口げんかをさせて、テレビ番組にしたほうが、余程、世の中のためになりますね。

これは、先月(10月12日)の「たまに更新するつぶやき」で紹介した記事への批判と回答、そして、記事のアップデートでした。
今号の「WORLD・WATCH」では、ものすごく秀逸な記事が散見されます。
「エコファンドの知られざるパイオニア」「『持続可能性』を再考する」の二つの記事は、全部紹介したいくらいです。
(2003年11月30日)



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