魚菜王国いわて

アメリカの情報操作に世界の国はうんざりしている

題名をそのまま付けたいような新聞記事を転載します。

北朝鮮の核兵器開発をめぐるワシントン発のニュースにはしばしば驚かされる。特にことし七月相次いだニューヨーク・タイムズ紙の”スクープ記事”は刺激的だった。
▽北朝鮮はミサイルの搭載が可能な小型核弾道弾頭の製造技術を開発。南北軍事境界線に近い黄海側のヨンドクトンに高度な核実験関連施設が確認された。(一日付)
▽北朝鮮は米国との非公式協議で、使用済み核燃料六個分のプルトニウム抽出を終えた、と伝えた。(十五日付)
▽プルトニウム抽出に伴って出る放射性ガス、クリプトン85が検出された。ガスの発生源は第二の核施設の可能性がある。(二十日付)
だが、韓国政府が、これらの報道を正しいと確認したことはなかった。?永吉国防相は「北朝鮮の技術で(ノドンミサイルに)核を搭載するのは不可能だ」と議会証言。ヨンドクトンの位置も正確には確認されなかった。
プルトニウム抽出については、高泳国家情報院長が「再処理したのは少量」と議会証言した。
さらに二つ目の核燃料再処理施設の存在について、外交通商省当局者は「仮説」にすぎないと否定した。韓国政府関係者は、ブッシュ政権から出る情報は「いいかげん」と不満を漏らしている。
中央情報局(CIA)など米情報機関がこのほど公開した米議会への報告文書でも、これらの情報は確認されていない。当のニューヨーク・タイムズ紙までが十月中旬、「北朝鮮の核の脅威は不明確」と報じた。
一連の報道が続いた時期、ちょうど中国外務次官らが、北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議の開催に向けてパウエル米国務長官らと密接な協議を進めていた。六カ国協議の開催に反対するブッシュ政権内のタカ派が情報をリークした?との判断で、ワシントンの外交筋は一致している。
こうした情報操作の疑いをかけられているのは、米国家安全保障会議(NSC)の大量破壊兵器拡散担当上級部長を務めるロバート・ジョゼフ博士。レーガン政権の国際安全保障政策担当国防副次官補などを歴任したタカ派の専門家だ。
ジョゼフ部長は、イラクの大量破壊兵器開発をめぐっても情報操作をした、と非難されている。
ブッシュ大統領はことし一月の一般教書演説で「英政府は、フセインが最近アフリカから大量のウランを入手を図ったことを探知した」と述べた。その部分は、ジョゼフ部長がCIAの反対を押し切って挿入させたことが米上院情報特別委員会の調査で明らかになった、と伝えられている。
北朝鮮の核開発についてもいわゆる「裏の取れない」不確実な情報は多々ある。その中から、自分たちの政治的立場に都合のよい情報だけを選んでリークするのは情報操作だ。ジョゼフ部長は”同志”のジョン・ボルトン国務次官らと組んで情報操作を図った、と野党民主党は批判している。次の六カ国協議の前にはどんな情報が流されるだろうか。(共同通信編集委員 春名幹男)
(2003年12月8日付「岩手日報」夕刊4面)

北朝鮮の核武装で、日本にも核は必要だ、と今まで言っている人たちは、アメリカのこの情報操作をどう受け止めているのでしょう。
以前にも書いたと思いますが、危機を煽ることは非常に簡単ですが、それに反対する言論を論理づけることはいかに難しいことか。
危機を煽るデータの捏造は、アメリカの戦略家にとっては簡単なことらしく、そんなインチキなデータで国民を脅し、防衛予算を獲得していく、そして、対北朝鮮政策を強行路線へと導く単純バカ(つまり軍事プラモデルオタク、石破防衛庁長官)が、わが国の中枢にいる、と思うと憂鬱になってしまいます。
記事から分かるとおり、アメリカ国民も、ブッシュの馬鹿さ加減に愛想を尽かし、あの何とかというお菓子でくたばってしまえばよかった、と思っている人もたくさんいると思います。
これでは、利用される米軍や日本の自衛隊がかわいそう。
彼らは、ウソの上塗りを信じて「人道援助」するわけですから、反逆してもおかしくない。

次にバカそうな(一応「そうな」を付ける。フリをしていそうですからね)ラムズフェルドが、イギリスの団体から表彰されました。
次に引用します。

有名人らの訳のわからない言葉を批判している英国の団体が、今年の「大賞」にラムズフェルド米国防長官を選んだ。
イラクについて報道陣に話した「何かが起きなかったという報告は常に興味深い。なぜなら、知っていると知られていることがあるからだ。また、知らないと知られていることがある。知らないことがあることをわれわれは知っているということだ。しかし、知らないと知られていないこともある。知らないことを知らないということだ」とのコメントがやり玉に挙げられた。
「われわれは彼の言おうとしていることを分かっていると思うが、本当に分かっているのかどうか分からない」の同団体の広報担当者。
(2003年12月8日付「岩手日報」夕刊4面)

理解しようと試みても、なかなか難しいラムズフェルドのコメントです。
きっと馬鹿なフリをして、その場を逃げたのでしょう。

田中宇さんの先週のコラム(せめて帝国になってほしいアメリカ)では、アメリカは、過去のイギリスのような帝国支配すらする気もなく、他国を陥れるただの覇権国でありたい、という思惑を指摘しています。
これでは、アメリカは、本当に世界中の嫌われ者になりそうです。
今度の大統領選挙で、ブッシュが再選されるかどうか、に、過去に例のないくらい注目が集まるでしょう。
そして、もし、再選されるようでは、アメリカ、反アメリカ、という新しい勢力図が構築されそうです。
(2003年12月14日)



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