魚菜王国いわて

鈴木明さんのコラム「波」より

今日は、オタク雑誌ラジオライフ3月号のコラム「波」からです。

筆者は「南京大虐殺のまぼろし」を書いた方です(あるバカどもが、その題名を「南京大虐殺はまぼろし」と勘違いして読み、それで「南京大虐殺はなかった」と政治利用するようになりました)。
それでは「波」の一部を転載します。
が、最初に言っておきます。
この事実をページに載せたから、お前は戦争賛成とか(旧来の)右左とか、という話はナシです。
事実から読者自らの考えを派生させてください。

3月号のコラムは映画「東京裁判(小林正樹)」と「ニュールンベルグ裁判(スタンリー・クレイマー)」の内容です。
最初に「東京裁判」からで、場面はその開廷のところです。

しかし、この後、冒頭陳述において日本側弁護団を驚かせたのは、アメリカ側から送られてきた弁護士の演説であった。実質的に主任弁護士を務めたブレーニー弁護士は、次のような激しい言葉で判事たちを驚かせた。
「戦争そのものは決して犯罪ではない。かつての歴史を振り返ってみれば、あらゆる国際法は国家利益の追求のために戦争を引き起こしたことを非合法としたことは1度もなかった。それに、罪を問うのは国家に対してであり、個人に対して行うものではない。また、戦争において行われる殺人は罪には問われない。真珠湾では多くのアメリカ人が死んだが、もし彼らの殺害を犯罪とするならば、ヒロシマに落とした原子爆弾で何万人もの市民の生命を奪ったことも犯罪ではないか。私はその落とした人を知っている。名前をいうこともできる。もし平和に対する罪、人道に対する罪を罰するとすれば、この人たちも罰しなければならないのではないか」
法廷は騒然となり、清瀬一郎以下の日本側弁護団の間でも私語が交わされる。実は「ニュールンベルグ裁判」でも、マクシミリアン・シェルの弁護士の口から「原爆投下は戦争犯罪ではないのか」という言葉が出る。
ウェッブ裁判長は直ちに閉廷を命じ、小林正樹は「ウェッブは、前日のブレークニーの発言はこの裁判とは何の関係もないものだから、すべてなかったこととして、あらゆる速記録から抹殺するといった。日本で発行されているすべての東京裁判記録にこの言葉が書かれていないのは、そのためである」というナレーションを入れている。
(「ラジオライフ」2003年3月号p104)

次にナチス・ドイツ戦犯の裁判映画「ニュールンベルグ裁判」のラストシーンの場面です。

映画の中で、マクシミリアン・シェル扮する弁護士は最後の言葉としてこういったのである。
「ヒトラーが政権の座に就いた時(ナチス党は選挙によって第1党となった)、ドイツには失業者があふれ、生活はどん底であった。この時ヒトラーに投票したすべてのドイツ国民は犯罪者なのか?ソ連は1939年にドイツと不可侵条約を結び、これが第二次世界大戦の引き金になった。ソ連に戦争犯罪の責任はないのか?ローマ法皇庁はヒトラーと約束を交わし、その存在を黙認した。ローマ法皇庁は?チャーチルは1938年、1938年にですよ、イギリスにもヒトラーのような強い指導者が必要であるといった(第二次大戦が始まったのは1939年)。チャーチルに責任はないのか?アメリカの大資本家たちはヒトラーの再軍備に大金を融資して大儲けをした。彼らは無罪なのか?責任はドイツだけにあるのではない。全世界が責任を負うべきなのである・・・」
(前掲書p104)

「全世界が責任を負うべき」ならば、つまりは戦争を抑止する方向に動きべきだと、暗に指摘しているんじゃないでしょうか。
他の方々はどう解釈するかは勝手です。
(2003年3月29日)



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