魚菜王国いわて

「生産調整に関する研究会」

食糧庁の「生産調整に関する研究会(座長・生源寺真一東京大学大学院教授)」が6月28日、コメの生産・流通対策の見直しを目指す中間報告をまとめた。市場重視のコメ政策を提言、過去30年にわたり実施してきた強制感のある減反政策の廃止への道筋を示唆する内容になった。
中間報告では、減反への参加・不参加を農業者自らが経営判断に基づき決定するものとし、また米価下落分の一部を補填する「稲作経営安定対策」を廃止、余剰米処理は生産者の自己責任を基本とした。
一方、コメ流通の見直しでは、JA系統の自主流通米を柱とした「自主流通計画制度」の廃止を提言。規制を「必要最小限」とし、農家直売など多様な経済活動を許容するとした。
28日の研究会会合では農協関係の委員を中心に異論が続出、生産者の「自己責任」など一部の文言を修正する異例の展開になった。
(2002年6月29日付「新潟日報」)

以上新聞報道からですが、農業と他の産業を比較した場合、農業は、あらゆる面で、単位収益性が劣っています。
これは、農家のみなさんから聞かないと分からない問題ですが、完全に市場原理に基づいた農業は、この日本でやっていけるのか?という疑問を私は持っています。
同じ底辺産業である、私の携っている漁業は、まあ何とか頑張ればやっていけるものですが、日本の農業は、外国産との競合が激しく、というより、かなり条件が悪いと言わざるを得ません。

ここで国というものを考えます。
グローバル経済という国境を越えた経済活動は、今や当然のことですが、国という概念がある限り、その国は、国民を食わしていく義務があります。
いくらグローバル経済がいいといわれても、それは、世界中の人間を養うというものではありません。
日本の食糧自給率を考えると(考えなくても)、農業の位置づけは、最上位にあっていいものです。

今回の市場重視型の中間報告によって、コメ生産が行われた場合、ますます外国産に対して不利になり、農業就労者が減少するのではないか、と私は不安視しています。
外国産に対しての差別化が、今の日本の農業の対抗手段ですが、不景気で消費者が飛びつくのは価格の安いものになりがちです。
これを考えると、どうしても安い外国産の方が有利なように私は思います。

人間生きるためには、いくら学問が進歩しても、やはり食べ物は必要です。
地球上ではやがて人口に対して絶対的に食糧が足りなくなります。
日本が世界の国々と”比較して”金持ちである限りは、食糧は輸入で賄えるでしょう。
しかし、金持ちでなくなったら、つまり、経済状況がかなり悪化したらどうなるのでしょうか?
その時を考えたら、基本食糧を確保するのが、国の最低限の役割でしょう。
市場重視を考えるなら、離農者の魅力となっている一般サラリーマンの賃下げ、というより、上昇しかしない賃金にも市場原理を導入して、企業業績が悪化したら賃金も下げるというような施策をしないと、この中間報告は無意味なものになると思います。
(2002年7月2日)



反グローバル(多様化・小規模化)関連

トップへ